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確実になにかが動きはじめている3巻。
2巻では相関図がよく分からずやや混乱してしまうところもありましたが、3巻では組関係でのそれぞれの思惑も判明し…
BLとしてはもちろん、裏社会ものとしても楽しめました。おもしろかったです。
やはり3巻はなんといっても、百目鬼と矢代の関係性の変化が見どころでしょう。
なにがいいって、じわじわと気持ちが波立ち、彼らの中で何かが本当に少しずつ動き出しているのがわかるむず痒さにたまらなくそそられてしまうのです。
「人間は矛盾で出来ている」とは1巻で非常に印象的だった矢代から出た言葉ですが、百目鬼と矢代の関係性とすんなりと恋愛にシフトしてはくれない過去のトラウマと内面の複雑さが描かれるたびにこの言葉がすごく良く効いているなと思います。
矛盾した感情のマーブリングがなんとももどかしく、2人の行く末を早く追いたい気持ちでいっぱいです。
百目鬼の中で芽生えた、日に日に大きくなる矢代への想い。
そして、奔放に振る舞っていたはずの矢代が百目鬼の前でだけ見せる、無自覚なほんの少しの変化にも萌えの欠片をひしひしと感じます。
シリアスかつ骨太なトーンのお話の中で確実に育ち始めている、まだ名前がないなにかから目が離せません。
気が付いていない2人の気持ちを知るのは読者のみ…なんてところも非常に好みでした。
BL的にはたぶんほんの少~し、それぞれ自覚の面で前に進んだ感じはあったけど、それはちょっと置いといて、ヤクザなお話が面白くなってきたなあっていう三巻でした。
気付くべき人がちゃんと事の真相に気付いていて、察するべき人がちゃんと察してる、上に立つべき人が立っているという組織の人員構成がとても良い。それだけで清々しい気分になってしまいます。矢代は最強の後ろ盾を持ってる美味しいポジションだったのか~。
エピソードは古風なヤクザやってんな…って印象です。三巻にきてもまだヤクザ世界で矢代に何をさせたいのか分からないような。大ゴマ使って「極道の自分を肯定してみせろ」とは言われてたけど、これは矢代の自己肯定の話になっていくの?
影山と久我は癒し枠に納まり、出てくると空気が和む感じでほっとしました。矢代も百目鬼も膿んだ傷をぶっ刺し続けているようで、見ていてずっと辛かったです。
や〜3巻も色々凄かったし、なんと言っても百目鬼の
「手伝います」×2
が最高でした!
凄く気の毒なんだけど、矢代の右手動かなくなって大正解などと思ってしまいました。
もう生活の全てにおいて百目鬼のお世話になってくれ〜。
きっと普通の恋愛や普通のHなどした事ないであろう矢代が、もし好きな相手と両思いになって抱き合う時が来たらどうなるんだろう…そんな場面を見たくてたまらなくなりました。
もう既に百目鬼の言動に戸惑っててめっちゃ可愛いですけど、もし溺愛されたらどうなるんでしょうね…???
百目鬼の、父親のように性欲に支配されたくない、自分はそんな人間じゃない、と思いつつも矢代に対する汚したい欲望への苦悩も良きでした。
ヤクザ社会の跡目争いも面白く、ハラハラでございます。まだまだ血が流れそうです。
1巻から読み返していて3巻からまだ読んで無い事に気が付きました。何てこったい。
ようやく矢代銃撃の黒幕が判明しました。平田がどうして矢代を憎んでいるのか、竜崎がどうして平田の口車に乗ったかも判明しました。
しかし、特筆すべきは百目鬼の矢代への想いでしょう。3巻では2人の関係にギュンと来ました。
事件の真相に三角が勘づいていても「アンタは何も知らない方がいい」って言う矢代に痺れました。三角がどう動いて行くのかとても楽しみです。
そして案外と鋭い久我とニブチン影山は良いカップルでした。
3巻から巻頭に人物紹介が入る様になりました。
あああ、気になる!
これ、どうなるんだ!?
5巻までは4年前に一度読んでいるはずなのに、ハラハラドキドキが止まりません。
前回、殺し屋に命を狙われた矢代。
自分がついていながら、油断して矢代を映画館の外で待たせた百目鬼の自責の念と、胸の奥で否定できないほどに大きくなっていく矢代への想い。
そんな中、若頭補佐の竹原の姿が見えないことが気になった矢代は、病院を抜け出して…。
無茶します、矢代さん。
そしてそんなときの駆け込み寺が久保のところなわけで。
右腕を撃たれたことで動かせなくなった矢代のムスコさん的存在を百目鬼が何と…!というシーンが出て来ます。さらにそれを兄貴分に見られてしまうという展開も。
それにしてもやっぱり愛せないのは久我です。本当にこの子の軽さと矢代をバカにしすぎるところが大嫌い。
描き下ろしも含めて嫌い。久保の鈍感はもういいやという感じ。
むしろ矢代の久保への執着が、百目鬼の登場で薄らいでいっているのを感じられるので、百目鬼との出会いのスパイスとして「ありがとう」と思います。
嫌いと言えば、矢代がヤラセる代わりに情報を得ていた組対の刑事。
情報と引き換えにホテルで待っていたのは、百目鬼が警察官時代に同じ所轄にいた刑事でした。
このひとが「何様!?」というくらい嫌なやつ。
百目鬼の過去を面白おかしく揶揄する姿は、妖怪に見えましたよ。人間じゃない。
そのせいで「自分にも父親と同じ血が流れている」ことを再認識してしまう百目鬼の心中を思うとつらくて…。
ムショにいた頃からずっと何の感情も欲も感じていなかったのに、矢代に出会って、矢代の側にいたいという欲が出てから、どんどん大きくなる欲を抑えきれない自分に、父親を重ねるのがつらい…。
全然違うよ!と言ってあげたい!
そして…、誰が絵を書いていたか、見えましたね…。
出世欲で人を値踏みする人間は厄介なものです。
殺し屋が始末されて、次第に読者には全貌が明かされる事件の裏側に、まだまだ油断できない状態が続く予感しかありません。
三角が動いてくれるのか。それとも百目鬼が盾になるのか。
4巻に馳せ参じましょう!