坂道のソラ

sakamichi no sora

坂道のソラ
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神75
  • 萌×227
  • 萌11
  • 中立3
  • しゅみじゃない17

95

レビュー数
13
得点
519
評価数
133件
平均
4.1 / 5
神率
56.4%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
シリーズ
ダリア文庫(小説・フロンティアワークス)
発売日
価格
¥619(税抜)  ¥669(税込)
ISBN
9784861346330

あらすじ

恋は、夜のバスの坂道みたいに寂しいものだと思っていた。高校生の河野一吹は、毎朝バスで乗り合わせる会社員の大柴賢司と親しくなる。悩みを抱えていた一吹を彼は優しい言葉で救ってくれる人だった。やがて互いを深く知ったふたりは自分を変えるために彼女をつくろうと約束する。しかし賢司と過ごすにつれ、一吹は自分の恋がとても近くにあることに気づいてしまい…。

表題作坂道のソラ

大柴賢司,IT関連会社の副社長,33歳
河野一吹,一人暮らしをしている高校2年生

その他の収録作品

  • あとがき
  • 三年後のソラ

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レビュー投稿数13

「傷」が繋いだ運命の赤い糸

初めて読んだ作家さんでしたが、読んでいくうちにとてものめり込みました。

三十路超え社会人と高校生の恋愛ということに初めは懐疑的でした。
共通点がなく年齢差もある、極端に言うと大人と子供で自然な恋人関係になるのって難しいのではと思うからです。
自分と照らし合わせて、ありえないという思いがあります。

しかし、今回は一吹(受け)が持っている傷を初めとした引力がすんなり理解できました。
2人のバックグラウンドや傷、周囲との関係性や一人で抱えるしかない悩みなどがじっくりと書かれています。
その上で構築されていく関係性であるので、自然に引き込まれ魅かれ合っていく2人にさほど違和感はありませんでした。
読んでいくうちに、絶対に起こりえないことじゃないのかもなという気持ちに変わりました。

SNSの使い方も巧みで、妙に大人びてる高校生の一吹がアバターの力を借りて幼くなっている所など人物が多面的に見えました。
しかもアバターがボロボロのうさぎって庇護欲をそそられそうです。(笑)
賢司との出会いや友人関係を通して成長する一吹もとても良い気持ちになりました。

賢司(攻め)続きは自分の年齢と近いのもあって親近感がありました。
わりと初めから一吹に特別な好意を持っているのは伝わりましたけど、
結論を出すまでめちゃくちゃ考えたというのも分かります。
手出すの早くないかなと思ったけど…

余裕があって格好良い大人、純粋で素直な子供とお互い思っていたようでしたが、年の差があるからこその幻想なのかなと思います。
でも2人が結ばれるために良い意味で作用した気がします。
付き合いが長くなるにつれその幻想は崩壊すると思いますが、等身大の自分達を確認しあって絆を深めていきそうです。

最後にちょっと気になった所がありました。
一吹が母親に「賢司さんはノーマル」と言うのですが、当事者がそういう言い回しってするのでしょうか。
しかもニューヨークで常に英語に触れてる母親からすれば、じゃあ息子はアブノーマルなのかと違和感ないのかな。

1

溢れる優しさ

朝丘さんのBLものを読むのは初めてでした。
昔ノーマルもののお話は読んだことがあったので、BLも読んでみたいなーと思い、表紙もすごく優しい絵柄のこちらの本を選んでみました。

SNSのやりとりがメインなのでページ数の割にさくさく読めると思います。
現代のネット社会ならではのお話で、こういう出会いもあるんだろうなあと思いながら読んでいました。私も一時期悩みを打ち明ける場をSNSに求め、すごく助けられたことがあったので感情移入しやすかったのもあります。
一吹が一癖ある人物でしたが、そこに大柴さんも惹かれていったんでしょうね。ちょっと冷めたところありますけど、嫌な感じはしないですし。
そして大柴さん、かっこいい。トラウマを抱えているとはいえ、なんて大人な対応のできる人物なんだろう。カッコイイ。笑
優しさ溢れる作品でとてもほっとしました。

2

ほどけるような切なさと、泣きたくなるような優しさ。


朝丘戻さんの作品は初めて読みます。

読んでいてまず印象的だったのが、描写の豊かさ。

この物語は主人公である高校生の一吹(いぶき)視点で描かれているのですが、一吹の心情や抱える悩み、ふと振り返る過去の記憶等、それらが一ページ一ページにたっぷりと詰め込まれております。文章の厚みとでもいうのでしょうか。そういったものを感じて「これは読み応えあるかも」と読むのが段々楽しくなっていきました。

自身がゲイのあることを密かに自覚している一吹。
今まで友達というものを持ったこともなく、母の海外赴任で一人暮らしの高校生活を送っています。そんな誰も知ることのない心細さのなかで、ひょんなことから毎日同じバスに乗り合わせる会社員、大柴賢司(おおしばけんじ)と話すようになります。

気さくながらも細やかに自分を気遣ってくれる賢司との会話に、一吹はちょっとした憧れとともに彼と打ち解けていきます。
一吹は賢司に教えてもらった『アニマルパーク』というSNSに登録し、『ソラ』と名付けたウサギのアバターを作ります。その日からオオカミの『シイバ』こと賢司との文字の世界での会話が始まりました。
続き

本が好きで落ち着きのある一吹は同年代から見れば少し大人びている子供。
元来の性格もあるでしょうが人間関係の希薄さも相まって、一吹は他の同級生よりもどこか純真さが見られます。賢司との会話は年の差もあるせいか余計に子供のように見えてしまいますが、不器用ながらも周りの人たちに誠実でいようとする一吹の姿は読んでいて共感できました。

賢司は穏やかで他人への気遣いのできるいわゆる大人ですが、辛い思いをしていた姉を守れなかったという過去を今でも悔やんでいます。簡単に打ち明けることのできない辛い過去を気負いなく共有できたのが一吹でした。一吹は賢司に救われたと言っていましたが、賢司もまた、過去の傷に囚われず、一心に自分を慕ってくれる一吹の姿に救われ惹かれていったのではと思います。

毎朝バスで話をして、時間の空いたときにはSNSのチャットで会話をして。賢司との会話を重ねていくうちに一吹は自分を見てくれる彼の優しい笑顔、送られる文字から滲み出る温かさに触れ、寂しさを埋める以上の感情を覚えます。
初めて自分に共感してくれた人、初めて名前を呼んでくれた人、初めて友だちになった人。初めて、恋をした人。それが一吹にとっては全て賢司でした。
しかし女性との結婚を望む賢司に想いを伝えることはおろか、ゲイであることすら言えずにいる一吹。
一人、夜の坂道のような途方もなく寂しい恋をする一吹と隣で一吹を優しく思いやる賢司。
誰かを想う切なさと寂しさ、心を救う優しさが織り込まれた一冊です。

作中、SNSでの会話が多く出てきますが、アバターの存在が二人の心情をうまく表現してくれます。お互い真摯に向き合う二人の会話は読んでいて心洗われる気持ちでした。

個人的には賢司からの視点もあったら一吹の言動に恥ずかしがる姿や一吹への気持ちの変化等が見られて、二人の感情もより伝わって良かったかなと思いました。

イラストを担当されたyocoさんをきっかけに買ったのですが、とても良いお話でした。
装丁もまた素敵です。

5

キャラが生きてる

非常に朝丘さんらしい作品だと思いました。
本当に「大人」な人物を書くのが上手い作家さんだと思います。攻めである大柴の大人な対応を見て、受けである一吹と一緒に何度ズルイと見悶えたことか(笑)
SNSを使ったネットでのかけあい、時間の流れ、気持ちの変化も上手く書かれていたと思います。

私は終盤にかけての二人の関係を認めてもらえず、母と口論になったシーンで涙しました。自分の感情を上手く表現できないもどかしさや好きな人を悪く言われる嫌悪で母に酷い事を言ってしまう。自分の無力感や幼さに歯がゆさを感じてしまう、そんなもどかしさにやられました。
一吹に母が言った言葉は私も似たような言葉を母に言われた経験があるので、すごくリアリティがあり、母親だからきつく、強く言うんだよなあっと感じつつ、ただ好きなだけなのに、その好きを上手く表現できない一吹にも共感を覚えました。

BLはファンタジーだと思う反面、朝丘さんの作品を読むたびこんな風に葛藤している人もきっといるんだろうなっと思わせてくれます。
同性を好きになり、恋愛する難しさ、人間関係、秘密や嘘、好きになった相手の人生を想うと臆病になっ続きてしまうジレンマ。すごくバランス良く描かれていて、途中で飽きることもなく読めました!間違いなく、おススメ出来る作品です。

4

リアルな日常の一コマ

 高校生の一吹は、通学のために毎朝バスを利用しています。毎朝の通勤、通学場面と言えば、ほぼ同じ人が乗り合わせるというのが常ではないでしょうか。まず、この設定で私は「あるある」と思いました。一吹は、服装、雰囲気から、どんな人だろうと想像したりする場面がリアルです。(笑)
 
 一吹がバスの中で、痴漢に遭ったとき助けてくれたのが、まさにかっこいいと思ってた賢司だったのですが、賢司は一吹に「アニマルパーク」をやらないかと誘うのです。賢次はそのアニマルパークを運営する社長だったのです。

 アニマルパークというのは、携帯でゲームを楽しんだり、コミュニティーサイトのことなのだそうです。作品中でも、一吹と賢司がアニマルパークで会話をする場面が登場するのですが、これもとても現代風でリアルだと思いました。

 元々自分の性癖がはっきりしていた一吹と、どっちが先に彼女ができるかなんて持ちかけてしまう賢次はちょっと酷にも思いましたが、それでも、一吹の賢司を見る視線が切ないものが見え隠れします。
一吹の母が、一吹、賢司とのお付き合いを知ったとき、猛反対してけんかしてしまう場面があるのですが続き、私にはここもすごくリアルに思えたのです。祖父母の前では、まるで何事もなかったかのように振る舞う二人ですが、大人と子供の境界線のような危うさも読んでいてどきどきしました。

 静かな雰囲気で物語は進んでいきますが、本当にありそうな描写、子供から大人になっていく一吹が好きです。

1

リアル感が薄い

イラストが好みだったので購入。
本当にイラストは素敵!
朝丘さんの作品を読むのは確か三冊目です。

受けの一吹は高校生で母子家庭。
母親が海外赴任中のため、一人暮らし。
自分がゲイだと他人に打ち明けられず、友人を作るのも苦手。

攻めの賢司はSNSを運営する会社の経営陣のひとりで、一吹と同じバスで通勤している。
バスで知り合った一吹をSNS『アニマルパーク』へ招待する。

まず、朝丘さんの本の中ではかなり厚い!
しかしそのほとんどが、『アニマルパーク』での短文会話に費やされており、なんだかページがもったいない。
その分をキャラの掘り下げに与えてもらいたかったです。

一吹とクラスメイトとの会話や行動は丁寧に描かれていて、一吹がそれに苦悩したりするシーンは共感できるのですが、肝心のふたりの心の移り変わりがSNS中心なのでなんだか希薄。
いつものバスの中のちょっとした出来事をきっかけにしてスローテンポな出会いと日常が描かれているのに、ふたりにリアル感がなく本の中の人物という印象を拭えず残念です。

高校生受けと年上攻めは好きな題材で日常系も大好きなのです続きが、日常系だからこそかえってリアル感が薄いのが気になってしまいました。
ノンケでしかも会社経営という立場にある賢司が、一吹との関係を恋愛と認識し踏み込むくだりが受け目線のためよけい分かりづらいです。
両視点だったならちょっとは違ったのかもしれません。

6

一吹の一途さは間違いなく『神』

朝の通勤通学バスで毎日見かける、同じ顔。生まれるドラマ。
高校生の一吹は、痴漢にあっている所を目撃された事がきっかけで、
IT会社副社長の賢司と言葉を交わすようになり、友達になります。

人付き合いが下手な一吹は、下の名前で呼び合うような親しい友達はいなくて。
女の子の下品な話をする同級生の林田達に馴染めず、疎外感を感じています。
自分がゲイである事も隠しているし・・・
そんな一吹を自己紹介直後から親しげに下の名前で呼び、
話題も豊富で会話が上手い賢司に、一吹は好意を持ちます。
バスで一緒になる賢司と一吹として。
アニパーでシイバとソラとして。
会話を重ねるごとに、一吹は賢司に惹かれていきます。

とにかく、一吹の心理描写が素晴らしい。
一人の不器用な少年の、悩みや想いが本当にリアルに伝わってきます。
ひとりで居ることの寂しさ、ゲイであることの疎外感をずっと押し殺して来たこと。
名前で呼び合える友達を、本当はどれほど羨ましく思っているか・・・
林田に、初めて失恋話を打ち明けられた時の、一吹の喜び。
そして思わずカミングアウトして、それを大笑いされた絶続き望。
なのにまだ、林田と友達になりたいと願っている一吹が、いじらしくて泣けました。

そして何より、賢司に対する気持ちが恋愛だと気づいてからの、
一吹の想いが本当に切ない・・・胸に迫るものがあります。
いずれは家族を持ちたいと思っている、普通に女性を愛せる賢司に対して、
ゲイであることを隠して、ずっと片思いのまま友達としてでも傍に居たいと願う一吹。
とにかく、一途で一生懸命で健気で・・・
読んでいて、何度も何度も胸や目の奥が熱くなりました。
――強くなる。大人になる。呪文のように繰り返し念じる。
  強くなる。大人になる。賢司さんの幸せを、一番に優先する。
――女として生まれれば報われたわけでもないんだ。わかっている。わかっているけど、
  でも、男じゃなければ俺は、貴方が欲しいと言えたんだろうか。
ここは、号泣でした。

友情に、恋愛に、悩んで迷ってつまずいて必死に頑張る一吹に、
どうしようもなく心が囚われました。
穢れない真っ直ぐな一吹の想いが、キラキラ輝いている作品だと思います。
一吹に対する評価は、間違いなく『神』です!

ただ、肝心の攻め様の賢司が微妙・・・嫌いではないですけどね。
あと、一吹のお母さんは、私のあまり好きなタイプではなかったです。
嶋野は良かったです!名言も二つほどありました。
ただ、ミチルとくっつくのが早すぎ(笑)
片思い中が余りにも素晴らしかったせいか、両想いになってからがダレました。
駅のホームでキスとかあり得ない・・・
それで、少し全体評価は下がってます。

5

架空の世界の、ソラ。

何作か読んで、どうしても苦手な朝丘さんの作品。
最近ランキング上位に載っているこの作品は、表紙が素敵で好み!
もしや今度こそ?と期待を込めて手に取った。

が。
やはり私には合いませんでした。

母親が海外赴任中で、1人で暮らしている高校生の一吹。
本が好きで、人間関係に苦手さを感じている、健気で真面目な少年。
そんな彼が、毎朝バスで一緒になるカッコいい会社員と出会い、
親しくなる中で……

淡く優しい雰囲気、丁寧な描写、
『アニマルパーク』というSNSを上手く使っているのは面白いと思うし、
そのアバターのオオカミとボロボロウサギはなんとも可愛い!
書き残しておきたいような言葉も散見される。

ただ、根本的に、キャラクターがダメです。
こういう人物像が嫌いな訳じゃあないんですが、
このリアリティのなさが個人的には気持ち悪い。

所詮BL小説はファンタジーだと思うけれど、
どんな荒唐無稽な話であったとして、そこに自分の心と呼応する
確かな何かがあってこそ心を揺さぶられるのだけれど、
何故かこの作者の話を読んでいると、自分の根っことは違うとこ続きろから
人物像が生えているとしか思えない感覚になるのです。

ごめんなさい、非常に個人的な感覚……なのかもしれません。

21

強さと弱さを多方面から感じさせる話

通勤通学バスで顔見知りから痴漢騒ぎで話すようになり、年の離れた友人から
涙が出てくるほど相手が好きになり、恋人になる話でそこに受けである高校生の
一吹の自分の性癖や人との接し方や様々な悩みと友人関係を背景にしながら
描かれるちょっぴり切なさを感じさせながらもラストはほのぼのとした雰囲気で
読み終わった後もいい意味での余韻が感じられる作品でした。

この作家さんはあまりハズレが無いくらい心に染み入るしっとりとしたストーリーを
届けてくれるのですが、この作品はそれ程心動かされるような展開では
無かったような気がします。
だからと言って面白くない訳ではないのですが、マイノリティーや友人関係
母親との関係などで他の学生よりも大人な一吹ですが、寂しさを抱えていたり、
人に本心を語るのが怖かったりと不安や悩みを賢司と出会ったことが切っ掛けで
いい方へ成長していく過程が丁寧に描かれているようでした。
ラブ的な要素と言う点ではちょっと控えめで一吹の成長記みたいな気もします。

6

健気な子供と

無自覚な大人のお話。

朝丘作品には、色んな事をいっぱい考えている健気でいい子の高校生がよく登場しますが、一吹はそんな主人公たちの中でも特にいい子。
一吹はゲイを自覚していて、朝同じバスに乗るカッコいい大人の男性に密かに興味を持っています。
そんな彼と、痴漢事件がきっかけで言葉を交わすようになり、、、
高校生の、子供のコミュニケーションスキルなんて、まだまだ発展途上。
それがSNSゲームでのアバター同士のチャットというクッションを置くことでどんどん成長していく。
そして周囲の人間ともちゃんと関係を築いていけるようになり、賢司に対する気持ちも恋愛感情なのだと自覚している。
一方、大人の賢司の方は今まで当然のようにノンケだったし、一吹が高校生なのもあって自分の一吹への感情の正体になかなか気付きません。
そんな二人なので、外から見れば既に両思いのいちゃいちゃバカップルなのに、無駄に紆余曲折したりもしますが、、、。

この主人公二人の、ちゃんと社会とつながって成長していくところがいい。
朝丘ファンじゃない人にこそオススメ。

8

表紙が好きすぎる。

さびしいのと、しあわせなのとが、何かもうカフェラテみたいに混ざり合って、でもそれが恋だよなぁと。
二人とも、大人っぽさと子どもっぽさのバランスが絶妙で、それがお互いにとって魅力でしかなく、恋人になる前の無意識に惹かれあってイチャイチャしてる感じとか、なんだそれー。
作者さんがあとがきで延々書いてられるみたいなことをおっしゃってたけど、くだらないやりとりも延々読んでられるわ。
相手の幸せを何よりも優先するんだとか、猫っかわいがりしたいとか、そんな気持ちがあふれてて、さびしいのかくすぐったいのかよくわからんでも萌えるー!という結論です。
ただ一つ残念なのは、少しでいいので攻めからの視点の文章を読みたかったなぁと。受けがかわいすぎて悶えてる気持ちを直で読みたくてしょうがないです。

6

切なさに共感

大好きな作家さんです。
今回もいつも通り、というより、いつも以上に切なくて、
読後は温かい気持ちになりました。

考え系の受だけどイラっと来ることはなく、むしろ、相手の性別問わず、
片想いの切なさがぎゅっと詰まっている気がします。
気持ちを丁寧に表現してあるので、読み進むうちに受に気持ちが
シンクロしていきました。

攻が受に告白の返事をする前後の場面の心理描写が秀逸!!
思わず涙…

最後に心から受に「良かったね~」と言いたくなる作品でした。

8

心を伝えることの大切さ

毎日通学のために乗るバスは、同じ時刻に同じ顔ぶれ。
見知った顔だけど会話もしない、ただそれだけの他人。
それが主人公が痴漢に遭ったことで見知らぬ他人の関係が動きだす。
ソラとは主人公が招待されたSNSの「アニマルパーク」で自分が作ったボロボロうさぎのアバターに付けた名前。
バスは坂道を走り、その坂の上に主人公の家はある。
クラスメイトは自分の事を「河野」と呼ぶ。
友達って下の名前で呼び捨てにするものだろうと思う。
なのにどうして自分は名字なんだろう?

本当は友達が欲しいのに自分がゲイであることから仲間の話に入って行けない事が後ろめたくて友達が作れないでいた主人公・一吹が
バスの痴漢事件をきっかけに、ちょっとカッコイイなとおもっていた大人の賢司に話しかけられ、彼に誘われた彼の会社が運営しているアニパーというSNSに招待されたことで、年上の賢司にアバターを通して本音を話す事ができるようになる。
そして友達もいつの間にか出来、賢司への心が育って行く。

一吹は決して他人を拒絶しているわけじゃない。
彼の前の席になったクラスでも人気モノの林田は女の話しかしないが、続き頻繁に彼に話しかけてくるし合コンにも誘ったりする。
でも一吹は林田をうっとうしいとかバカにしたりはしていない。
何気に林田にゲイであることをカミングアウトするが彼はそれを冗談のようにはしてもだからといって一吹を卑下したり嫌ったりしていないのです。カミングアウトしたのも彼なら話しても問題ないと思ったからだと思う。
このホモの噂を聞いて一吹に興味を向けてくるのが林田の友人の嶋田。
彼が一吹の友達論を聞いて、自分も人に合わせていると言っているのだが、
友達とは無理に人に合わせるものではなくて、相手に興味がわいて知りたいと思い知ってほしいと思い、そして成立していくものではないのか?と・・・
それを解らせてくれたのが、賢司との何気ないチャットと、現実での会話。

大人の賢司にとっても一吹の存在は、その腕の傷とともに気になっていた存在だったようだ。それがバスの出来事をきっかけに・・・
彼は大人だけど一吹に合わせているという感じはしない。
一吹は媚びたような態度はとらないし、堂々として歳相応のでもしっかりとしたものをもっていたから、彼と本音で話すことができたのだと思うし、賢司の仕事と関係ないから一吹に話すこともできたのだと思う。
彼には、姉に対する罪の意識があり彼女の生まれなかった子供が生きていたら一吹と同じ歳と思うと弟のようなそんな愛おしい気持ちでも見ていたようだ。
彼の視点がないので、ゲイとわかっても彼と親しい間柄は続けることはできるかもしれないが一吹の気持ちを知ってしまったらそれは悩むことになる。
ラストへ向かっての彼の決断は、決定打は・・・もう日頃のコミュニケーションの積み重ねとしか言えないので、実を言うと欲情まで行くのに無理を感じてしまった感はいなめない。

車内で化粧をする女子高生ミチルが老婆に席を譲るとか、チャラ男の不器用な片思いも、痴漢をしたひょろりんも、皆それぞれにそれぞれの性格を出してすれ違ったり関与し合ったりしていく。
一つの出来事で人間関係が変わっていく様は、実に丁寧に描写され、心も描写され、主人公については本当に自然に成立していくのが見えたのだが、面白いものだ。
もう一つ注目するのは、一吹の母子の親子関係だ。
海外赴任しているだけあって、電話口で最後に「愛してる」と口にだすその親子関係は素敵だからこそ、一吹の性癖に関しても前向きに考えてくれるに違いない。

【3年後のソラ】では一緒に暮らしている二人の姿。
そして嶋田と林田とまだ友達関係でいるし、嶋田はミチルと上手くいっているようだし、賢司の姉も健康になったのだろうか?
そんな円満な姿を垣間見た。

yocoさんのイラストが素敵だった。
アバターのソラと賢司のシウバの可愛らしいこと。
作品を邪魔しない程度に自然に溶け込んで彼らがそこに息づいているようなイラストでした。

10

この作品が収納されている本棚

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