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表題作彼は恋を止められない

堤雪郷,26歳,音楽クリエイター
三原蒼,攻めの4歳年上,大手資材メーカー総務部勤務の会社員

その他の収録作品

  • STOP!(書き下ろし)
  • あとがき
  • キスマーク(書き下ろし)

あらすじ

付き合って半年の年下彼氏・雪郷と同棲を始めた蒼。なれそめは蒼が職場の人間関係と恋人の浮気に悩んでいた時、雪郷が寄り添ってくれたことだった。ループアニメーションに自作の音楽を添えた短い動画は蒼の心をやさしく癒やし、それからずっと一緒にいる。お互いにまだ遠慮があって、夜のお誘いもぎこちない。けれど時間を積み重ねていけば解決する――そう思っていた時、別れたはずの恋人が連絡してきて……? やきもちやきとさみしがりやの、やさしい恋の物語。

作品情報

作品名
彼は恋を止められない
著者
安西リカ 
イラスト
街子マドカ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525360
4.1

(86)

(34)

萌々

(37)

(10)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
16
得点
350
評価数
86
平均
4.1 / 5
神率
39.5%

レビュー投稿数16

付き合ってる二人の日常と、掻き乱す元彼たち

安西先生の現代ものがとても好きで、色々読み漁っています。

こちら、攻め受け共に元カレに再会するけれど、元鞘には戻らず気持ちを確かめ合う、一組のカップルのお話でした。

良くも悪くも大きな事件や波はなく、穏やかな物語です。
安心して読めるし、攻め・受けどちらも好感の持てるキャラだったんですけど、なんというかこう…今ひとつ気持ちの盛り上がりとか、このキャラのここに萌える!!というのは感じられなかったかなあ、と思い、「萌」評価で。

攻めが受けのことを「蒼ちゃん」呼びしてもいい?って聞くシーンが自分的一番の萌えシーンだったかな(*´艸`*)

自分には贅沢すぎる嗜好品を手に入れてしまった…という感じでいつまでも受けに遠慮し、いつか振られるんじゃないかとビクビクしていたり、元カレとどこか張り合ってしまったり…そんな余裕のない攻め様の姿がなんだかリアルで、愛しくなるお話でした◎

二人の生活を掻き乱すそれぞれの元彼にやきもきしつつ、元彼たちからのちょっかいを乗り越え、絆をより強いものにしていく二人の姿がキラキラしてました・:*+.

大きな事件があるわけではない、あるカップルのちょっとした波を乗り越え絆を深めていく、日常系のお話。そういったものが好きな方に、きっととても響く作品だと思います✨

1

応援必至の年下彼氏

もうすでに付き合っているふたりの、自信の無さから生じるすれ違いのお話、です。

お互い、大好き同士なんですよ。
大好きゆえの手探り感がかわいくって。
とても良かったです。

年下の雪郷の焦燥が手に取るようにわかって、どれだけ「蒼ちゃん」のこと好きなのよ、ってそのケナゲさに思わず応援したくなります。
大丈夫、キミ、めっちゃ頑張ってるよ。
愛されてるよ、って。

このすれ違いの「焦れもだ」、ちょうどいい分量でした。
長過ぎず、かと言って舌足らずにならず、の絶妙な分量。
そして、腹立つ元カレには小気味よい制裁、と。

スッキリ爽快なラストで、読後感良し、でした。

1

2人のもだもだがとてもいい


元彼とまだ完全に切れてなかった状態で関係をもってしまったがために遠慮が消えない2人の話


浮気性の彼氏(荻野)と10年もの間何度も別れようとしながら別れられなかった会社員の蒼(受け)と以前から蒼が好きでたまたま蒼が弱っていた時に居合せ棚ぼたに近い(一応頑張った)形で付き合うようになった音楽配信などを生業にしている雪郷(攻め)

自分に自信がない雪郷は荻野の元に帰ってしまうのではないかと恐れ、蒼は自分がちゃんと荻野と別れる前に寝てしまったからだとお互い遠慮しあって付き合ってるのになかなか距離が縮まらない。
そんな時、半年海外にいたに元彼が帰国して、ヨリを戻そうと蒼に接触を試みる。

お互い大好きで、好きすぎて遠慮しあってて、でも雪郷は独占欲いっぱいで蒼が離れてしまうのを心配してるという関係がどストライクでした。
心が狭い雪郷の必死さがとても良い。
結局、雪郷が自信を持てば解決する話ではありましたが、その過程がとても良かったです。

ただ、荻野は何を考えていたんでしょうか。
蒼がいながら自分の世界が広がらないからと何度もつまみ食いをくりかえし、別れようとしても言いくるめ、でも弱音も吐かせてくれない、蒼に恋人ができても、よりを戻そうとするのは蒼だけだと言いよってくるとかほんとふざけてる。
蒼の痛みはどうでも良いのか。
蒼は離れていかない都合がいい相手だったのか、本当に離れていって欲しくなくて後悔してるのか、彼の心情をちょっと知りたかった。
最後の掌編で、自分も落ち着こうかななんて言ってたけど、蒼を傷つけていた10年くらいは後悔してへこんだ上で、相手が見つかってもなかなか捕まらなくて必死になれば良いと思います。

そして、雪郷のマネージャーの奥村がすごい。
雪郷が仕事しやすいように彼の意に沿うための行動力が。
蒼との同居のための不動産選びから、蒼が断らないような策を与えたり、恋敵への牽制までも引き受ける、超優秀な参謀。

そして要所要所で登場する蒼と荻野の共通の友人・嶋田。
どちらかと言うと蒼と雪郷の味方でいてくれるちゃっかりしてるけど気の良い友人がいい味出してました。
彼には早く春が来ると良いなと思います。

蒼にも雪郷にも当て馬がいるけど全く相手にされていないのが面白かった。
遠慮がきてなかなか心の距離が縮まらなかったけど、でも結局甘々なお話で、とても楽しかったです。

2

出来上がってるとこからスタート

すでに付き合い始めて同棲するところからのスタート。サラリーマンの受け、蒼とデジタルアーティストの攻め君。攻めの雪郷は億ションを買えるほど稼ぐレベルのアーティスト。

ただ、二人の付き合うことになったきっかけが、蒼のややこしい元カレとうまく行かなかったときに先に体から入ったためで、お互いに遠慮や配慮しまくりの関係。一緒に住めばそのうち…って思いつつもそんなうまく行かず。雪郷は元カレに敵わないと思いながらも嫉妬し、蒼は気持ちは決まってるのに今までのように強引に元カレに振り回されそうに。
すんでのところで、お互いわかりあえて一歩進め、より結びついて良かったね、と。

安西リカさんらしいお話で、読んでるとやきもきしちゃいますが、優しいお話でほっこりします。
書き下ろしは攻め視点で語られていて、他人の目からはお金持ってるし、仕事も順調だし、ゲイを隠してないし、そして男前!と何拍子も揃ったある意味スパダリなんですが、蒼の元カレと自分を比べちゃったり、はたまた別れの際に自分の元カレに言われた言葉にトラウマ持ってたり、かわいい。

そして今っぽいというか、SNSでの匂わせ合戦が書かれてたり、仕事でボカロが出てきたり、流行りな感じが日常ぽく感じました〜

1

惚気ですか???

最初から付き合っている2人。
順風満帆だったはずが、受けの元彼が現れて本人はまだ別れたと思っておらず…というお話です。
元彼が出てくるとはいえあまり大きなスリルもなく、付き合ってるカップルが更に絆を深める話で言ってしまえば「2人の惚気か?ご馳走様です!(ありがとうございます!)」
という感じで安心して読めました。
読みやすいという代わりにサラ〜っと読めちゃったなという印象です。
こういうカップル本当にいそうだなというくらい平凡で普通の人たちの恋愛なので、リアルで少し生々しかったかな…w

受けの蒼の、「万事にこだわりがないのでグイグイ進んでいく人と一緒にいるのは楽」という感覚や、丁寧に接されるとつい猫をかぶってしまうというところにすごく共感できたので、蒼の行動には違和感も不満もなかったです。
むしろ、恋愛だけでなく人としてのコミュニケーションの取り方を、蒼を通して学びを得たような気さえします。

そして2歳年下の攻めの雪郷は一途で可愛い!
自分のポテンシャルに気づいていないデキル攻めは最強ですね!
とにかく2人は大好き同士なんだから、小さいことは気にせず幸せになってほしいです。

当て馬の荻野は最低だけど華ありすぎでしたwwwこの人にも、誰か価値観を変えてあげて!とも思います笑

0

最初から付き合ってる

 攻め・堤雪郷(年下、ゲイ、クール、美形、余裕)
 x
 受け・三原蒼(年上、ゲイ、健気、美人、誘い受け)

 遠慮しがちな雪郷、誘い下手な蒼。もう少し色っぽく且つ年上の余裕で誘惑したいと思っている。
 蒼の元彼(荻野)から、近いうちそっちに戻る、と連絡あり。
 荻野との関係で弱っているところに、雪郷がつけこんで体の関係を持った。そのせいで、蒼がいつ他の男に取られるか不安で、アピールしてくる奴にはめっちゃ牽制する。

 蒼の会社まで来て復縁を迫る荻野。女は別腹、ととんでもなくクソな浮気性な男。
 そんな荻野が美容室のスタッフに手回しして、カット中の蒼に会いに来る。飯食いに行こう、飯くらいいいだろって荻野が誘うが、なぜ着いていく!!! 拒め! って蒼のお人好しにモヤる。
 甘い顔立ちに愛嬌が滲み強引で甘え上手でどうしても憎めない、じゃないよ! 憎め! しかも酒飲んじゃう迂闊さ。
 二人きりでは合わないよって雪郷に約束したのに早速破る蒼。せっかく雪郷が蒼を信用してるって言ってるのに。
 会話していくうちに荻野も納得してちゃんと別れたっぽい展開になったところで、雪郷登場! 修羅場。

 帰り道の雪郷の心境がわからん。荻野のSNSを見て、インテリアに反射で写った蒼を見つけて二人きりで会ってるのに気づいた。そのときの蒼に劇伴をつけるとしたらこんな感じ、って劇伴を聴かせるシーン。よ、読めねえ……どんな思考してるんすか。
 もう猫かぶるのやめるね、と蒼は自分がいかにやらしいかを露呈する。

 後半の『STOP』は雪郷視点。
 蒼と出会った時のエピソードからはじまる。
 例のSNSにあげた写真についての雪郷の心情が出てくるけど、よく偶然切り取られたワンシーンだけで蒼の考えがわかるなあ、とあまり納得いかない。クリエイティブな人にしか分からないんだろうか。

 今度は雪郷の元恋人登場。悪いやつじゃなさそう。
 荻野と自分を較べて劣等感を抱く雪郷と、もう関係ないだろ信用出来ないのかってピキる蒼の、痴話喧嘩がかわいい。
 お風呂でのスキンシップがエロい。

0

面白い 凄く面白かった。

冒頭は、引っ越しシーン。
劇伴作家の年下彼氏・雪郷と同棲を始める蒼。
住まいは、雪郷がキャッシュで購入した億ション。

年上の蒼は、不安要素を抱えて居る。
蒼は別れてけじめをつけたと思っているけど、
別れを認識していない楽天家の元彼が日本に戻ってくる、しかも蒼と復縁できると強気で思い込んでいる。
焼きもち焼きの年下の雪郷とどうなっていくのか・・
これから先に現れる修羅場にワクワクしてしまう。

蒼は、雪郷より年上だけど、滅多に居ない美形という設定。しかも、押しに弱くて押し倒されると、すぐネンゴロになってしまう快楽に弱いタイプ。
そして雪郷は、思いやり深くて中々蒼を閨に誘えない。

もどかしい三角関係だけど、面白い。
これはきっとコメディに近いと思う。

1

ヒヤヒヤしたよもぉ~

再会復縁しないモノ。
年下今彼の雪郷が可愛くて健気で不安がってるのが伝わってきて、裏切らないであげてー!とヒヤヒヤしながら読みました。
蒼がフラフラして、なかなか雪郷を安心させてあげないの!
もしかして元彼を選んじゃう…?って思わせるところがあるんですね。

元彼荻野を忘れてない蒼の心理描写が筒抜けなので、雪郷に肩入れして読むと辛いです。
厚かましい荻野は蒼みたいな流されタイプには相性良すぎなんじゃない?
正直雪郷より荻野と一緒にいる方が、蒼には合ってる気がしました。
でも後半でこれから雪郷と素敵カップルになっていく片鱗を見せてくれたので、ほっとできて良かったです。

すごく好きだったのはモブの働き。イイ感じに的を射た発言で締めてくれるので、タイミングよくスッキリさせてくれて読みやすかったです。

4

元カレ問題

復縁も好きなんですけど、復縁しない人たちのモダモダも好きなので、
楽しめました。一般人のモダモダが好きな方にはお勧めしたいです。

書き下ろしで、攻の元カレも登場し、「元カレ問題、攻のケース、受のケース」という感じですね。雪郷(攻)の毅然とした態度に比べて、蒼(受)は…、ちょっとイラっとしましたww。
今カレが心配しているのを知りながら、なんで何回も元カレに会っちゃう?
しかも、これからも何度も元カレと会う機会多いパターンだよね?
”何を言われても今カレが大事だから!”と何度も繰り返すのが、余計に自己暗示に見えて一抹の不安をおぼえてしまうのでした。
が、このもどかしさに萌えました。

正直、雪郷よりも荻野に魅力を感じてしまいました。
メンタルは弱いけど性欲は強い蒼には、倫理観おかしいけれど、このくらいの強引さ、俺様感あるパートナーのほうが、本来は合っているから腐れ縁だったんだろうなと。(”女は別腹”は失礼がすぎる…)一周回ってちょっとお疲れ気味の今はポテンシャル高くて優しい年下の恋人(癒し)がよくても、何年か後に荻野(刺激)の倫理観が落ち着いたら復縁しそう…とか3人の感情の生々しさに妄想が捗りました。

描き下ろし、”キスマーク”で、荻野のセクハラをあしらい今カレを惚気る蒼の大人な駆け引き、このいやらしい感じ、嫌いじゃないので困ります…。

6

好きだからこそ素直になれない

今回は音楽クリエイターと大手資材メーカーの会社員のお話です。 

受視点で元カレの帰国で攻様との恋人関係が波立つ顛末と
攻視点で攻様の元カレが絡む続編とさらなる後日談短編を収録。

受様は新卒で大手資材メーカーで入社、
最初の配属の営業部で同期中で一番の成績を出し
花形部署の営業企画部に配属されます。

しかし営業企画部は自己主張の強い社員ばかりで
受様はリーダーと合わず孤立し、
仕事をさせてもらえない状況に追い込まれます。

受様はせめてプライベートで癒されたいと思いますが
楽しい事が大好きなラテン気質の恋人は
受様の愚痴を聞く事さえ厭って突き放すのです。

受様は様々な事が重なってぷっと切れてしまい、
新宿のゲイバーで受様に心配そうに声を掛けてきた
攻様と関係を持ってしまいます。

攻様は受様より年下の音楽クリエイターで
件のゲイバーで攻様に目を止めた受様の恋人の方から
声を掛けて受様も知り合いになった相手でしたが

1度寝たからと急に彼氏ぶる事もなく
自分の気持ちを込めた楽曲動画を送ってきて
恋人と別れた受様にお付き合いを申し込むのです。

そして「そのうち一緒に暮らしたいね」という
受様の言葉を幸いとマンションを購入して
お付き合い半年で同棲をすることになるのです。

音楽関係に興味のない受様は攻様の仕事を詳しく知らず
節税対策も兼ねての購入と言われた受様には
いろいろとびっくりする展開でしたが

受様を大切にしてくれて、よそ見はせず、
いつでも受様を最優先してくれる攻様との安定した関係は
受様に心穏やかな日々を与えてくれます。

そんな中、
自らフィットネスやサプリメント事業を起こし、
その関係で渡米していた受様の元カレが帰国、
「ヨリを戻そう」と連絡してきて!?

雑誌掲載作のタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で
同棲までしていながらどちらも遠慮が先立つ
恋人達のお話になります♪

攻様は知り合った当初こそ受様を誤解していましたが
誰にでも分け隔てない穏やかで優しい性格に惹かれて
恋するようになり

受様の心の隙をついて関係を持った事、
受様の元カレと比較して何もかも地味すぎる自分を
引け目に思っている事もあり

受様が心地よくいられる事を最優先として
受様はほぼお姫様扱い(笑)な
エッチもとっても控えめなのです。

受様は大切にされている事は嬉しいのですが
もっと攻様といちゃいちゃしたいと思っているのです♪

そんな恋人たちのお互いを思うが故(!?)のすれ違いで
受様がぐるぐるして、攻様がハラハラする様子を
楽しく読ませて頂きました (^-^)v

雑誌で本編は既読でしたが
今回文庫化で攻視点の続編が憑いた事で
本編では受視点で分かり難かった攻様の嫉妬や焦りが
リアルに感じられてより面白くなったと思います。

4

とにかく可愛い✧*。

蒼と雪郷、2人がとにかく可愛いお互い好きすぎて、遠慮しすぎて本音を伝えられないのがもどかしい。そこに荻野登場。2人が意識するのは当然でだし、荻野が強引な策士なのもあってどうなるかハラハラしました。 翻弄されてもブレずに相手を信じて、やっとで想いを伝え合えた2人に一安心。想い合って付き合ってるのにすれ違う2人が切なくて、そこも最高でした。 あと「STOP!」が秀逸。喧嘩からの流れも良いし、2人の好きって気持ちが溢れててHシーンで感涙でした。 街子マドカ先生のイラストも甘くて可愛くて素敵。心が潤う作品

7

こういう話好き!

表題作の「彼は恋を止められない」は受けの蒼視点、書き下ろしの「STOP!」は攻めの雪郷視点で進みます。

こちらのお話はそれぞれの話にそれぞれの元彼が登場するんですが、そいつらがどちらも身勝手で厚かましいんです。なので読んでて殴りたくなるんですが、結局は見向きもされないのでザマァみろって思えるので読後感がスッキリしてます。

それぞれの視点で元彼と今彼を比べてるんですが、それは決して元彼はこうだったのになぁとかという未練じゃ無くて、あくまでも今彼の良さを引き立てる事だったのが良かったです。

蒼にしても雪郷にしても、お互いがとても大切で大好きなんですよね。大事過ぎて臆病になってしまうんです。それ故に喧嘩にもならない。お互いしか入り込む余地がないんです。

こういうお話大好きです。もっともっと続きが読みたいと思ってしまうカップルでした。

4

後半が特に好き

先生買い。前半はちょっと辛かったけど後半が好きだったので、萌2よりの萌にしました。音楽関係者とリーマンのぐるぐる話、雑誌掲載分130Pほど+その続き70Pほど+あとがき+おまけ9P。1名しつこくカプに絡まってくる野郎がいやがるので、邪魔者がいるなんて絶対いや!って方にはおススメしにくいです。

「蒼ちゃんとくらしたい」と提示された物件は100㎡を超える都心の駅近物件。ぎりキャッシュで買えるという年下ワンコと一緒に暮らし始めてはみたものの、まだまだ色々お試し中。そんな中、長らく腐れ縁だった元カレがランチ時に会社に押し掛けてきて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
荻野(受けの元カレ)、嶋田(荻野と共通の友人)、奥村(攻めのマネジメント担当♀、クールでグッジョブ!)、中塚(後半登場、攻めの元カレ)ぐらいかな。奥村さん、いいんですよ。めっちゃクール。

++良かったところ

前半は受けの仕事上手くいかなかったという記述に凹み、くず野郎とすったもんだしていたというところにも超ブルーになってしまって、なんだか盛り上がれなかったんですけど。

後半、それまでなんとなくギクシャクしていて上手くいってんだかいってないんだか、なんだかしっくりこないなああと感じていた二人が、タクシーの中で言い合いするんです!そこが良かった!!!

他愛もない痴話げんかといえばそうかもしれない。でも「馬鹿」って言って。タクシー降りて。「ねえ、今の口喧嘩だよね?」って嬉しそうに受けが尋ねるのです。ああああ可愛い・・・良い!良いよ、君たち!とめっちゃ嬉しかったでした。

その後、元カレと自分を比べて、しょんもりしがちな年下ヘタレわんこを「ほら、雪郷かっこいい!」とウキウキ言う受けがめちゃ可愛く、愛おしい。「世界で一番大事な人が「気にするな」って言ってくれた。それなら万事解決だ」という一文が本当に嬉しく、ほんわか温まる心地でした。

くず野郎と和解?するあとがき後のお話は、うーん・・・もやもやするからちょっと横に置いておいて。
お互いを大切にできるから大丈夫よね、と嬉しい一冊でした。

6

攻め様がいじらしいんだよなぁ(*´ω`*)

作家買いさせて頂いてます。
相手が好きすぎて臆病になってる、付き合いたての2人のお話(*´ω`*)


受け様は、ごく普通のサラリーマンの蒼。
学生時代から付き合ってきた元カレの荻野ってのが、魅力的なのかもしれないけど、恋人としては最低のヤローで。
女の子は別腹って公然と浮気を繰り返し、ちっとも誠実じゃない。
ただ楽しく過ごしたいだけって、あんた気づけば周りはそんな人しか残ってないからね(# ゜Д゜)
とまぁ、私からしたらそんな感想の最低ヤローと、別れてはヨリを戻し、を繰り返してきた蒼だけど、今度こそ別れて、今は年下の攻め様、雪郷と穏やかに付き合い始め同棲することに。


そもそも、傷付いて淋しい蒼の気持ちに寄り添うよう労るような雪郷のアプローチが、とっても優しくてじんわり。
そりゃストンとくるよなぁ。
恋人になっても、大事にしてくれて、蒼を何より最優先。
誰にも取られないよう独占欲も露で、その必死さと好きの態度ににやにやです。


荻野が蒼に復縁を迫りに来た時。
蒼にはそんな気持ち全く残ってないし、迎えに来た雪郷が、煽られることなく蒼を連れ出したのがかっこよくてすきっきりでした。


雑誌掲載分が受け様視点で、書き下ろしは攻め様視点。
安西先生は、この形式が多めなので嬉しい(*^^*)

書き下ろしで、雪郷が思っていた以上に荻野を気にしまくっていて、絶対的にあなたの方が誠実でいい男よ、と言い聞かせたくなりましたよ。
ラストのえちシーンは、けっこうエロチック( ☆∀☆)

ただ、あとがき後の掌握にまで荻野がでばっていて、ここでもかい!!と思ってしまいました。


好きすぎて、嫌われたくなくて、本音をさらけ出せない。
でも、遠慮っていうか、気遣いじゃないかしらね。
相手を大事に思いながら付き合う内に、ちょうどいい在り方に落ち着いていくんだろうな、と思える2人でした(⌒‐⌒)

5

昔の男の存在感がエグい・・・

酷い男と付き合っていた受け。
深く傷付いていたところを攻めの優しさに救われ、二人は付き合い始めた。
しかし、昔の男と切れる前に関係を持ってしまったが故に、恋人としての二人はぎこちなくてー・・・。
と言ったお話で、一途な年下攻めが可愛い落ち着いた雰囲気の日常系ラブストーリーになります。

私は元々安西先生の作品が大好きでして。
今回も、安西先生の持ち味がしっかり出た優しいお話なんですよ。
一途でいじらしい年下攻めとか、おっとり穏やかでありながら、意外と小悪魔な部分がある年上美人受けとか。
互いに好き同士でありながら、付き合い始めた経緯が経緯な故に、どうしても一歩踏み込む事が出来なくて遠慮しあったぎこちないやりとりになってしまう二人ー。
素の自分を見せて相手に嫌われるのが怖いし、やっと手に入れたのに、今度は他の人に奪われてしまうのではないかと不安で仕方ない。
自分自身が略奪したが故に。
そんな主役二人の複雑な心情描写なんかはとても巧みで、読んでてさすがだと唸らせられます。

ただ何だろう。
これは私の勝手な印象でしかないんですけど、こう、全体的に深みが足りないと言いますか。

恋人同士でありながら、何故かぎこちない二人。
そこに過去の男登場。
それをキッカケに、二人が触れないようにしていた問題点が浮かびあがる。
スレ違う。
本当の気持ちをぶつけ合った事により、心が通じ合う。的な。
すごくいいお話なんですけど、上っ面をなぞった感じでなんかサラッと読めちゃって心に残る部分が無いと言うか。

あと、これは完全に個人の好みの問題になってくるんですけど。
受けの昔の男、そう第三の男が好きじゃない。
ついでに、受けもなんかフラフラしてて頼りないから好きじゃない。

このな、第三の男ですが、華やかで自信に満ちていて博愛主義者で自分が大好き!ってタイプなんですよ。
浮気もし放題の自己中心的な彼に何回も別れを持ち出しては、結局元サヤに収まっていた蒼。
今度も蒼が自分の下に戻ってくるとみじんも疑わずに、かなり強引に迫って来るんですよね。
これがね、めちゃくちゃ出張ってくる上にやたら存在感があって、こうイライラすると言うか。
彼はただの当て馬では無く、ちゃんと魅力のある男性として書かれてるんですよ。
受けが惹かれても仕方ない風に。
ただ、私には酷いクズにしか見えない。
やたら強引で馴れ馴れしいのも気持ち悪い。
浮気して悪びれない所にも神経を疑う。
なのに主役級の存在感でもって更に魅力的な男で存在してるところに、もうイライラしてイライラして仕方ないと言うか。

あと、受けになるんですけど。
彼はおっとり穏やかで人当たりも良くてと、普段ならとても好きなタイプなんですよね。
実際に、彼のそういう部分はとてもいいと思う。
ただ、なんか頼りなくてフラフラしてるように見えちゃう部分が受け入れ難いと言うか。

えーと、何だろう。
これまで何度も昔の男と別れようとしては、強引に抱かれてなし崩しにされてきただの、雪郷(攻め)があれほど嫌がってるのに、(相手から強引に来られたとはいえ)元恋人と会うだの。
そして秘密にするだの。
ついでに、「やっぱり憎めない」とかやってるだの。
なんか、話してわざわざ心配させる事ないとか、しっかり一度(当て馬と)話をして決着をつけたほうがいいとかごちゃごちゃ言ってるけど、全部後付けの理由だよなぁと。
こう、もうちょっとしっかり出来んもんかと。
そもそも、抱かれると流されてしまうって、女子かよ!と。
特に、心の中で雪郷と昔の男といちいち比べてるのが、読んでて一番嫌な気持ちになって。

いや、これね、雪郷がめちゃくちゃ一途でいじらしいんですよ。
蒼を離すまいと必死。
なのに蒼はフラフラフラフラした挙げ句、「好きな人を怒れるわけないよ」と言う雪郷に対して「ちゃんと怒ってよ!」みたいな。
このな、「ちゃんと怒ってよ!」ってセリフ、めちゃくちゃ甘えてるしヒロイン気取りだしと個人的に大嫌いなんですよ。
こういう事言ってる女、本当にイライラする。
いや、私の勝手な好みだし、蒼は男だけど。

評価を迷ったんですけど、攻めのキャラはとても好みだった事から、「中立」で。
う~ん。
受けと当て馬の好き嫌いで評価が分かれる気がします。

21

いい意味で、平凡でごく普通の日常を描いたお話。

作家買い。
安西さんはシリアスなもの、ほのぼのなもの、ファンタジーもの、と様々なベースで作品を書かれる引き出しの多い作家さまですが、今作品はほのぼの系に分類されるかな?良い意味で、平凡な、というと語弊があるかな?穏やかでごく普通の日常を描いたお話でした。





主人公は蒼。
彼には優しく穏やかな雪郷という名の恋人がいる。雪郷は蒼が浮気性の元カレ・荻野に疲れ果てたときに声をかけてくれた友人だったが、恋人になって以降はトラブルもなく、雪郷が買ってくれたマンションに同棲することになったという順調なお付き合いをしている。

男女問わず浮気を繰り返し、さらに蒼を大切にしてくれることのなかった荻野とは異なり雪郷は蒼を大切にしてくれる。大切にし過ぎて、夜の営みもあっさりしたものではあったが蒼は毎日幸せを感じていた。

このまま上手くいく。
そう思っていた矢先に、荻野が蒼に連絡を取ってきて―?

というお話。

蒼自身には荻野に対する想いは全く残っていません。
いませんが、雪郷はヤキモキする。心配する。
荻野は荻野で、蒼にちょっかいを出してくるし。

蒼が、雪郷を取るのか荻野を取るのか、というお話なのかな?と思いつつ読み始めたのですが、ああ、なるほど、そういう展開かー、と。実は蒼が初めて雪郷と身体の関係を持った時、蒼はまだ荻野と別れていなかったんですね。いわば、雪郷は蒼の浮気相手だったわけです。荻野のクズエピソードがてんこ盛り過ぎるので忘れがちではあるのですが、その「序盤」が蒼と雪郷の溝になっていく。

が、ベースとしては甘々です。シリアス度は低めです。
蒼が雪郷を取るのか荻野を取るのか、ぜひとも手に取って確認してみてください。

前半は蒼視点で紡がれていますが、後半は雪郷視点のお話に切り替わります。
雪郷視点になることで、蒼視点で描かれていた前半を補足する感じ。

終盤にちょっぴり濃厚な濡れ場があります。
この閨シーンに、めっちゃ萌えました。一般的にはハードに分類されるとある行為が描かれていますが、「この人だから」という愛情が透けて見える行為がエッチで、綺麗で、温かかった。

雪郷×蒼を取り巻く人物の中で重要なキーパーソンが何人か登場しますが、中でも蒼の友人の嶋田がお気に入り。ぜひとも彼メインのスピンオフを書いていただきたいなと絶賛切望中であります。

13

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