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表題作君がいなきゃ涙さえ出ない

榮枝十李,20歳,後輩,医大一のモテ王子
門宮志磨,24歳,先輩,チャラ系医大生

あらすじ

先輩、俺を彼氏にしてください
甘やかし王子×心に傷を持つチャラ系医大生。
押しかけ同居でぐいぐい迫られて!?

「先輩のこと、ずっとこうしたかった」なぜか医大一のモテ王子・十李が押しかけてきて恋人になりました!? 門宮総合病院の一人息子である志磨は、実家とは疎遠。チャラい格好、浅い人付き合い。そうやって自分を鎧っている。だけどまっすぐに気持ちをぶつけてくる十李との同居のなかで志磨は初めて大事にされる喜びを知り、いたわるような甘い快感に心まで蕩かされそうになる。しかし十李は、志磨がひた隠すある過去に接点があるようで!?

作品情報

作品名
君がいなきゃ涙さえ出ない
著者
沙野風結子 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784576211688
4.2

(56)

(32)

萌々

(12)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
13
得点
231
評価数
56
平均
4.2 / 5
神率
57.1%

レビュー投稿数13

初恋の人の封じた記憶を辿る物語

構内に小さな社がある大学医学部が舞台。
挿絵は小山田先生で、魅惑的。

サークルの飲み会の帰り、志磨は店を出て自宅に帰る
自宅扉に寄りかかる、泥酔した十李が居た。志磨は仕方なく自宅に引きずり入れて介抱する。
翌朝起きると、十李は先に起きて卵粥を作り、志磨に具す
・・昨夜の泥酔は何だったの?といった奇妙な冒頭。

十李は、志磨に近づくのが目的だった。
展開は、サスペンス調。
十李は強引に志磨と同居を始めて、
門宮家の跡取り問題、両親の虐待、元家庭教師の二階堂、自殺未遂、悪夢
・・・と、志磨が触れたくない過去のトラウマ解消に関わる。

十李のトラウマは、電車と志磨の悪夢に関連があった 
・・長い時間をかけた初恋成就物語。


門宮志麿:医学部四年生 三浪 門宮総合病院院長の一人息子 ホクロが色っぽい

榮枝十李:医学部四年生 現役合格 校内一の美貌の秀才 中学生では引き籠り 高2で医大を志願 志磨を「運命の人」と言う

貫井大:医学部四年生 三浪 テニスサークル 志磨の友人

1

いつも心に十李を

急にイケメンがおしかけてくるBL設定や名前などがちょっと食傷気味だったので、一旦寝かせてから読みました。徐々に浮き上がるシマの苦しみや劣等感、十李の恋の始まりの語りは苦しくもありドラマティックで、目に浮かぶようでした。
監視カメラだけ、間一髪で…等は少々調子いいのだけど、シリアス具合が丁度良い塩梅で読みやすかったです。
ノンケがズルズルと押し切られ環境に慣れ男にハマってしまうBL大好きですー。元家庭教師が攻めを挑発するの、もっとやってほしかった。笑

十李の言葉がとても優しくて響きました。どうしても自責癖が抜けないシマに伝えた「俺の大切な人を、悪者扱いしないでください」という言葉は、魔法のように彼の中に違う考え方を育ませる。
たとえこの家族のなかで無価値であっても、それがすべてではない、父親の考え方が正しいとしても自分は受け入れなくてもいい、と考え方が変わっていくところにとても感動しました。物事に対する今までの考え方と、新しく生まれようとする考え方の心理描写がとても丁寧ですごい。こういうの読みたかったんです。
でもって十李は甘ーくて優しい言葉責めもシリアスな場面も言葉が優しくて良かった。。受けの中を「戸惑ってて可愛い」という表現!

でもちょっとキャラの癖が弱いように感じてしまいました。絵も表紙もとても美しいのですが。

1

執着攻めは好きなんですが…

完全帯惹かれ購入です。
年下にグイグイ攻められるだと……好きなヤツじゃん。買うしかないじゃん、読むしかないじゃん。と期待に胸膨らませて手に取りました。

んーと…前半はめっちゃ良かったです。
ミスター準グランプリをとるほどのイケメンに、何でかストーカーばりにグイグイ迫られて困惑する様…ニヤりました。でも「ただのワンコ後輩が先輩を翻弄しているの図」じゃないな…とチラチラ見え隠れするので、どんな背景があるのやら、ドキドキしていました。

十李の不登校と志磨の悪夢。
これがストーリーの肝です。十李が志磨に執着する理由がここにありました。話の展開は凝ってるんですが、当初のワンコ攻め溺愛どころの話じゃなかったのが不完全燃焼。
ベースは十李の志磨愛なのは間違いない。間違いないけど、志磨の家の問題・教育ネグレクトの話が濃度が濃過ぎてすごくイライラしました。結局、完全に親と分かり合えた!というスッキリ感がなく、志磨の心の枷だった両親との和解には至らず、ぼんやり解決に終わってしまったのは残念。
それがリアルといえばリアルだけど、あの父親が養子の話も無しで、志磨を後継者として見限って…じゃあどうするの?どうなったの?が分からないままのエンディングは、そりゃ無いよ〜。志磨も十李も晴れ晴れとした印象ですが、私の気持ちは晴れてません。

そうした家族の問題を中和するかの如く、セックスシーンが多いのは必然だったのかな。変態チックな十李にグズグズにされる志磨…うーん、何故か萌えなかったです。ワンコ攻めに強引にセックス展開に持ち込まれて悶える様は大好物なはずなのに、何でだろー…

私の萌えポイントに刺さらなかったけど、萌えを感じる方はたくさんいると思います(*´꒳`*)十李は最初から最後まで志磨に尻尾振ってるので、そういうブレない態度はGOODでした。

1

なんだか

電子書籍で購入。
小山田あみ先生の挿絵が素晴らしい作品。
ごめんなさい、「中立」評価です。
「しゅみじゃない」と迷い、挿絵の評価をプラスしました。

私にしては珍しく、あらすじや皆様のレビューを読んでから手に取ったからでしょうか。
思っていた方向と違いました。
あれ?あれ?と随所に違和感。

なんでしょう?

うまく攻め様の溺愛をキャッチができず。
たくらみのある、腹に一物のある攻め様だと思っていたので、最後に拍子抜け。

あとがきでの作者様の「好きで好きでたまらない初恋物語」の言葉に衝撃を受けました。
全然、読み取れてなかった。
あれ?そんな感じでしたけっ?
ものすごく得体の知れないおどろおどろしくて怖い攻め様の行動に背筋が寒くなっていたのですが。。。
最後にニヤリと暗い微笑みを浮かべるようなメンヘラ気質の執着攻め様なら納得ですが、いろいろあったにせよ、攻め様の精神状態は健やかでそこまで病んではいない様子。

というわけで、おそらく素直に読めていれば皆様のように高評価だったのかもしれませんが、相性が悪く、違和感に楽しめませんでした。残念。


2

医学生達の話

前情報はよく知らず、作家買い&絵師買い。小山田先生の表紙は珍しくふんわりタッチでしたが、内容はなかなかエグい。こんな話だったとは。終始謎めいたままストーリーは進み、攻めにも受けにも心の傷があるというのはずっと匂わせていたけど受けの境遇は痛くて可哀想だった。あとがきでこれを溺愛ものと言っちゃう沙野先生、ドSですか?私は結構痛いなあと思って読んでたんですけど。

恋愛関係においては溺愛かもしれないけど、受けの親子関係が辛い。教育虐待のお話。暴力でなくてもあれは酷い。言葉の暴力。お父さんが悪役なんだけど、1ミリも自分が間違っているとは思っていないタチの悪いタイプです。政治家とか医者とかの有力者の家を代々守っていくには自分を殺さないとやっていけない部分があり、父もまた被害者だったのかなと思いました。彼のした事は許せないにしてもね。「人格に欠けがあるのと能力の高さは表裏一体」というあとがきの沙野先生の言葉が深い。

萌えというのとは少し違うけどBLらしからぬ考えさせられるお話でした。

5

削ぎ落とされた優しいお話

先生曰くインフレ気味だったから削ぎ落としたとのこと
触手が出ないし痛い事も新たに起きない
表紙から伝わってくるイメージのままの受けちゃんと攻め君の二人再生をめぐる直球のロマンティックな恋物語でした

出会いから強烈な引力を感じながら恋仲になるには踏み切れない心の傷を抱えている二人
年下の攻め君はほんのり拗らせ執着風味に対して
年上美人受けちゃんは無自覚不憫属性
好みの組み合わせでした

毒親親ガチャ等と言葉はあるけど
家庭の頸城から飛び出す力を与えて支えた相手が互いにとって最も大事な人だったなら頑張れるだろうと思います
今回は直接的に苦しい時期のお話ではなく(勿論心の傷に苦しみますが)苦しみから解き放たれるお話でした

ナイフの切先の様なお話を描かれる印象の沙野先生ですが今回はナイフに真綿を巻いてくださった感じの優しいお話でした
どんな作品もその作品に相応しい空気感を持たせる先生の力量を改めて感じ入りました

9

デトックスのラブストーリー

医大生の先輩(一見チャラ男)・後輩(超絶イケメン)、一目惚れから始まるプレーンな味付けのラブストーリーです。めっちゃプレーン。
作者様いわく、いろいろリセットしたくて…ということで、確かに”浄化”作用、デトックス的な作品でした。いつもより沙野オプションが薄味な気がするので、誰でも(もしかしたらファン以外の方が)、シンプルにその糖度を楽しめるかもしれません。

正直なところ、攻受の関係が少し唐突にはじまった印象を受けてもやっとしたのですが…さすがの沙野先生、ちゃんとこの”もやっと”は回収されます。はじめは少し不鮮明な輪郭の人物像がクリアになり、それぞれの過去が徐々に明らかになるにつれ、このLOVEの必然性がみえてきます。

攻も受も爽やかなイケメン医大生ということで、読んでて照れくさいくらい青春ど真ん中ですが、そこはやっぱり沙野先生!爽やかに変態に走る攻の描写がキレッキレです。特に、浴室に描かれる放物線事件、実家での密やかなゴム底の汁事件には極上のエロスがありました…。溺愛というかフェチ!受への愛がその排泄物にまで及んでいる攻の精神性にゾクゾクしました。やっぱり、官能描写は沙野先生の表現が一番腰にくるような気がします。小山田先生の絵が、さらにその官能みを盛り上げていて素晴らしいです。(しかもそういうカット多め♪)

ちなみに、何かと志磨に絡む元・家庭教師の二階堂には、いろんな期待をかけていたのですが(志磨への凌辱とか…)、意外と普通の脇役だったのが少し拍子抜けでした。が、再建手術の天才の志磨の父!!たった数ページの登場にも拘わらず、この人は逸材!(たぶん受‥)と勝手に盛り上がってしまいました…。

あと、やたら使いたくなったのが”教育という名の虐待”という表現。キレッキレですね。両親からの抑圧で涙も流せなかった受の情緒の再生と攻の初恋の昇華、2人の人生のリスタートへの祝福と幸せに満ちたラストにうっとり溜息がもれました。

11

攻の好きが伝わって来ます

作者買いです。沙野風結子先生の作品が出るたびに楽しみにしてるんですが、前作の「少年しのび花嫁御寮」とは全然違う普通の人々のお話でした。

十李(とおり)が志磨を好きな事は伝わって来るんですが、十李と志磨の過去と二人の繋がりが終盤までハッキリしないんです。
だから志磨が十李を好きになった時に、二人に決定的な亀裂が生じないか心配しながら読みました。

でも志磨は過去は忘れられないけど、未来を見て行動出来る強い人なんです。そして志磨は過去の事を凄く後悔してて、二度と同じ過ちを犯さないように頑張る真面目な人でした。

志磨の両親とか元家庭教師の二階堂とか、ろくでもない大人達が登場するのですが、志磨は十李が一緒に居てくれる事によって少しずつ乗り越えて行くんです。十李が志磨のことが大好き過ぎる気持ちが、嫌ってほど伝わって来る作品でした。


特異な設定とか無いのに読ませて来る文章力が、流石だと思いました。

6

まさに溺愛✧*。

表紙の美しさに惹かれて購入。医大生の志磨と後輩の十李の溺愛ピュアホワイトラブストーリーですが、志磨にも十李にも隠された過去が…。志磨の過去を知り、正論が通じない事に重苦しい気持ちになったけど、2人で立ち向かう姿にホロリ。十李の過去もしんどかったけど、それでも2人で居る道を選んだんだから末長く一緒に居てほしい。十李の思考回路が興味深かった、可愛さ余って憎さ百倍の逆バージョン?どうしょうもない位好きなんだなぁ。それが溺愛になってる。
小山田先生のイラストが美しくて眼福。面白かった。

4

とても楽しみにしている『アレ』が……

沙野さんのお話がお好きな姐さまならご存じの『裏テーマ』。
私はこれをとても楽しみにしているのです。
作者さまの工夫、特に「喜ばせたい」というサービス精神が垣間見られるのが好きなんです。「ありがたやありがたや」と思うのです。
残念なことに今回のお話にはそれがありません。
お疲れなのでしょうか?
余計なお世話だと思うのですが、ちょっと心配です。

お話自体は興味深く読みました。
チャラ男の医大生・門宮が『ミスター〇〇大』の後輩・栄枝に猛アタックをかけられる始まり部分から、門宮の家庭を根源とする過去のトラウマが明らかになって行く展開。
とてもドラマティックだと思いました。
また、栄枝との関係の中で、これからの生き方を決断する門宮がいじらしくてね。「頑張れがんばれっ」って、やたら感情移入しちゃったり。
そんでもって、彼を支え続けようとする栄枝の『年下ワンコぶり』も可愛い。

残念なことに、この2人が恋におちるシチュエーション(『一目ぼれ』的な)が私と合わなかったんです。
そんな納得できない気持ちを抱えながらも、最後まで面白く読んじゃったんで「やっぱり沙野さん、技巧派だ」と思ったんですね。
「甘い恋愛もの(作者あとがき)」とのことですが、文章はシャキッとしているのよ。グズグズと甘くない。そして、ちょっと暗い(様に感じる)。
『裏テーマ』も好きなんですけど、この文体がね、私にはたまらんのです。

8

あれやこれやが無い

先生買い。変な言い方で恐縮ですが、触手無いしファンタジー要素無いし、あらほんとに普通の(いや普通じゃない部分あるけど)医大生のお話じゃない!と少々びっくりした、本編250P弱+あとがき。年下一途なキラキライケメンわんこさんが気になる方はいいのかも。二人の恋話に萌えたのではないのですが、二人できちんと戦っていくところがいいなと思ったので萌にしました。

三浪して医大に入った志磨(しま)。父が高名な医者、そして総合病院の一人息子で、飲み会に行けばお持ち帰りしているチャラ男さんとみられています。ある日自分のマンションの玄関前に、同じ大学のミスターコンテスト準グランプリとなった1年生が転がっていたため、仕方なく自宅で寝かせたのですが・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
貫井、マユユ(受けの親友+彼女)、二階堂(受けの昔の家庭教師)、大学のサークル関係者少々、受け両親(強者・・)、攻め家族、内浦家の方々(受け実家が養子に迎えようとしている子の家)ぐらい。攻め妹がいい子です。

++攻め受けについて

攻めは。何かに苦しむ受けに寄り添い、過去に向き合わせ、前に向かって進んでいくのを支援する、とても粘り強い方だと思いました。受けがきっかけで医学部目指すってすごい努力家だよなあ。そして、過去に酷い目にあったのに、それを克服した頑張り屋さんです。かつ、エロい。やりたいこといっぱいヤッている気がする。さすが沙野先生の攻め。

受けが結構キツイ。東大医学部必須と24時間勉強な勢いの家って、無いわと思うのですよね、自由にさせてくれた家の出身なもので。なかなかいびつな家庭で育ったとはいえ、そして攻めの支援があったからとはいえ、きちんと自分の夢(医者になる)ということを思い出し前に進もうとするのは偉いと思うのです。こっちも頑張り屋さんです。

頑張り屋さん二人がきちんと自分の過去と折り合いをつけて前に進もうとする、後味良いなと思うお話でした。

7

期待を裏切られないシリアスもの

沙野先生×小山田先生ということで、書影が出た時からどんなお話なんだろと妄想していました。老舗レーベルの器に感謝!です。

導入部はなかなか受け攻めの関係性を把握しづらくて、ちょこちょこ中断しながら読み進めていたのですが、展開部に差し掛かり、主人公の志磨がチャラい医大生を装っていることがわかってから少しずつストーリーに引き込まれていきました。

志磨が悪夢にうなされる理由はなんだろう?同じ医学部ではちょっとした有名人の後輩・十李がまるでスパダリのように振る舞いつつ志磨に執着するのはなぜ…?すごく気になる二人の過去の接点を最後まで引っ張ってくれるので、もしかしたらキャラ心理に入りづらく感じることがあるかもしれません。

本作は一度最後まで読み終えてからまた最初に戻って読み返すと、十李側の言動がよくわかるようになっています。彼の真意を知りながら読むと、とっっても切ない。出会った頃から十李は志磨に恋をしていただけでなく、まるごと受けとめて優しく包んで縋りたいと直観したんじゃなかろうか……あの、思春期特有の怖さというか、無謀かつ無敵さで。(←妄想)

今回はスペクタクルな濡れ場をババーンと投入!というより、生々しくも美しいしっとりとしたエチシーンが分散して配置されていて、個人的には凄〜く好きなエロでした♡

中でも静かに興奮してしまったのは、追い詰められて自暴自棄になった志磨が、アルコールを大量摂取して十李に介抱されながらバスルームで致すシーン。受けが正気と狂気のギリギリラインでセックスに溺れるシチュがなんとも性癖なんですが、、かつ恥じらいを失わないタイプはド性癖でして笑

支配的な父親から息子としての存在を否定された志磨。男の人が初めて同性から愛情をもらうのって、大体父親なんですよね。同性の親から愛してもらえないのって、異性の親に疎まれるより悲しい。どちらかには自分のことを庇って欲しいし、どちらの愛情も子供は欲しい…。そういう小説JUNE的系譜のジャンル背景は今やすっかり過去の遺物となってしまいました。

著者があとがきによりますと、いったん頭の中をリセットするために今作を書かれたそうですが、やっぱり沙野先生の攻めは沙野風味でして笑
 
疵付いた志磨を両親から庇ってくれた十李。彼自身、過去に深く疵を負っても家族がいてくれたから立ち直り、初恋の人を手に入れました(多少ゴーインだが)。

やはり個人的には、苦しい立場にいたり、心に傷を負っていたり、密かにもがいている受けのことを攻めが見境のない愛情(多少病んでてもよし)で包み込んであげる系の執着愛が大好きなので、二人がきちんと過去の自分に決着をつけてラブラブになってくれてホッとしたし、最終的には素敵な家族になってくれたらめちゃくちゃ嬉しい。

そして二階堂。実は彼と志磨の、ちょっとDom/Subっぽい関係に妄想が止まりませんでした。二階堂にも彼なりに幸せになって欲しいけど、彼に見合うのはどんなタイプなのかな?

評価は神ですが、こういうお話は今の流れではなかなか読めない分、変にライトな印象付けをしない方がよかったかなと思います。サラッとまとめ上げられている技量を感じますが、わたしには非常にもったいなく感じられました。

小山田先生の儚げなイラストが美しくて、何度も見返しています。

11

溺愛とはなんぞや…;;

作家買いです。

チェンジリングから沙野さんの作品にハマり、
以降新刊・既刊どれも夢中になって読みました。が。
申し訳ないです…今回は私の嗜好には合いませんでした。

中立と迷ったんですが率直な感想ままの評価であげます。
(作品がどうのじゃなく私の嗜好に合わなかっただけ…)


終始、作者さんとの感覚のズレを感じてしまいました。

帯には「甘やかし王子×チャラ系大学生」と書かれ、
作者さんはプレーンな甘い溺愛モノにチャレンジしたそう。

しかし個人的には王子キャラは存在しなかったし
甘い溺愛もほぼ感じることが出来ませんでした…。

最初の数ページはキラキラ王子登場!だったんですが、
攻めの行動が怖くて背筋がゾッときてしまって;;

勝手に鍵をパクって、家人不在の家に上がり込んで
料理して待ってるって普通じゃないデスヨ…;
鍵を返したあとはしおらしく毎日待ち伏せ…;
言葉や態度こそ柔和だけど王子様要素とは?と違和感がありました。

攻めは受けに執着しまくって甲斐甲斐しく世話焼いて。
愛はあるはずなのに言動の端々から愛が感じられない。
何を考えているのかわからない得体の知れなさを感じてしまい怖かったです。

この時点で表紙のイメージとはかけ離れていて、
チグハグな印象を持ちました。心折れ折れです…。

ストーリー面では、
トラウマとの決着・問題解決…!という展開に「?」

トラウマに苦しめられる様子は丁寧に扱われています。
受けは苦しみ、攻めの言葉に救われて、という王道。
それでいて受け自身も流されるだけじゃなく自分で行動を起こすところは良き!
タイトルが回収されてグッとくるものがありました。

なんですが…。
苦しみの深さの割には決着がアッサリしていて、
問題解決の部分も中途半端で解決と言えるのか…。
私にはピンと来なくてスッキリしませんでした…。
むしろザマァがなくて胸クソ悪さが残りました…。

そして序盤から感じていた攻めの怖さは最後に理由が明らかになります。

が、私的にこれが大地雷で
読み終えたあとにドーンと落ち込んだ…orz
(性犯罪行為が苦手な方はご注意下さい)

とりあえず言えるのは、、、
あらすじや帯・表紙イメージの甘々溺愛ではない。
甘々王子攻めじゃなく執着攻めです(ФωФ;)

これをプレーンな溺愛と言えちゃう沙野さんだからこそ
今まで読んだ作品は楽しく萌えてきたわけですが…;;
今回ばかりは感覚のズレが個人的に辛かった1冊になってしまいました(;ω;)

(溺愛モノだと思いながら読んでしまったのでフィルターがかかった感想です)
(厳しめ評価ですみません)

14

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