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表題作ライオンハーツ

その他の収録作品

  • 一番好き(描き下ろし)

あらすじ

これは2匹のライオンの物語。


「好き」って気持ちからは
どうしても逃げられなかった――。


小さい頃に結婚の約束をした
幼馴染みの礼央と獅子丸。
しかし、男の子同士は"いけないこと"と教わり、
その気持ちに蓋をしたまま時は流れて、
あれから10年――。
高校生になった2人は別々の学校に通っているけど、
帰り道はいつも待ち合わせ。
ともに過ごすその時間が1日の中で一番の幸せだった。
でもそんなある日、
女子と歩く礼央を偶然見かけてしまった獅子丸。
ずっと見ないように蓋をしてきた気持ちがざわめきだして……。

作品情報

作品名
ライオンハーツ
著者
三田織 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784829686751
4.7

(159)

(127)

萌々

(23)

(8)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
16
得点
751
評価数
159
平均
4.7 / 5
神率
79.9%

レビュー投稿数16

心を揺さぶられるお話

三田先生のふんわり優しい絵柄が大好きで、単話でも追っていたこちらの作品。
でも毎回心が痛くなるくらい礼央と獅子丸のすれ違いがツラくて切なくて、購入してからだいぶ寝かせてしまっていました。

改めてまとまったのを通して読んでみても、やっぱりツラいし苦しいところもたくさん。
そして自分自身の中にある礼央への気持ちに序盤から悩み続けている獅子丸の葛藤には、ものすごく考えさせられるモノもありました。

ただ好きなだけなのに。ただ一緒に居たいだけなのに。
それが同性というだけで簡単には叶わない願いが悲しくて、自分の思うままに生きられずに苦しむ姿に心を揺さぶられて。

たしかに獅子丸は周りを気にしすぎていたところもあったし、周りが何と言おうと礼央と一緒に乗り越えてほしかったけれど。
あの場面で逃げ出してしまったのもきっと仕方がなくて、急にすべてが怖くなる彼の行動はとてもリアルだったな、と。
失ってから気付いても遅い、なんてよく言うけれど。失ってから大切だと気付いて、その後にどう動けるか?というのが大事なんだなとしみじみ思いました。

たくさん時間はかかったし、たくさん傷付いて苦しんだけれど。
それもふたりにとっては必要な時間と経験だったのでしょうね。
礼央を探しに行った先での出来事すべてが、それを物語っていて本当に感動でした。

心がかき乱されるところもありますが、最後にはものすごく優しい気持ちにさせてくれる素敵なお話でした。

1

裏表紙買い!!

表紙&裏表紙に惹かれました!
特に裏表紙の子供時代が可愛らしくって、一目惚れです。
買って大正解!

幼馴染同士の初恋と成長物語。
読後、色々考えてしまいました。

あたたかで優しい目線で読めますが、可愛いだけではなく、主人公たちの心や気持ちが傷ついてしまうシーンもあります。
そこをどう乗り越えていくのか、解決に向かうのか、ひとつひとつ考えながら読み進めました。

勿論フィクションですが、恋する思いに関する悩みって絶対あるよねと。
そして、世間の認識と違うからと傷ついたりしない世の中になればなとしみじみ感じました。

タイトルのライオンハーツと複数形になってる事が、読後改めて心に刺さりました。
世間や大人の言う事に左右されてしまうのは決して弱いからではないよと、声をかけてあげたくなりました。

1

すべての人に読んでほしい!

この物語は世界中のすべての人に読んでほしいと思いました。気持ちを伝え合ったあとは、同じ気持ちだから1人で悩んでたときより心強かったはずなんだけど、やっぱり怖いよね。気持ちってどうしようもできないし、大事なものだから手放すこともできない。読んでて何度も泣いてしまいました。1人じゃない、2人だけじゃない、まだまだ周りには同じ思いを抱いてる人がいることに気づいて、向き合っていくことができて本当によかった。頑張らなくていいことに頑張ってしまう、隠さなくていい感情を隠してしまう、逃げなくていいのに逃げてしまう、こんな世界で生きている誰かの支えになってると思います。2人の周りが、世界が、もっともっと優しい場所になってほしい。心からそう願います。2人が宝箱を捨てなくて本当に良かった。素敵な作品です。

2

相手の立場に立って考えられたらきっと大丈夫

 三田織先生の柔らかい絵、優しい空気の漂う物語が好きなので、久々に新作を読めて嬉しいです。幼馴染で両片想いから始まるストーリー。獅子丸も礼央も優しい性格ですが、少しずつ2人の違いが見えてきます。普段頼りがいがあるのは獅子丸の方だけど、いざ付き合い始めると彼は周りの視線を気にしてしまうんですね。これは育った環境、家庭の空気、経験などによるものだから、私はけっして彼に非はないと思うんです。礼央の強さは彼がすごいんじゃなくて、きっと今まで何か獅子丸より恵まれていたものがあったんだと思う。

 だから、一度の過ちで手を離すんじゃなくて、気持ちが落ち着いてから獅子丸がどうして耐えられなかったのか考え、礼央の方からも寄り添う行動をとって欲しかったなと思いました。自分が傷付いたことを伝えるだけでもいい。これだけ長い間一緒に過ごしてきてお互い好き同士だと分かっているのに、急に完全にシャットアウトしてしまうのは、あまりにも酷過ぎるように感じてしまって。ただ、獅子丸が子供であるのと同時に、礼央も同い年の子供ですから、極端な行動に出てしまった彼の行動も責めるのは難しい。お互い強いわけじゃないと分かり、今後は何事も2人で向き合っていこうと心を決められたこと。この貴重な経験を大切に、共に歩んでいって欲しいですね。

1

好きな人のライオンになりたい。

ちょこちょこ連載読んでいたのですがまとめて読むとまた良いですね。
好きな人のライオンになりたい、そんなふたりのライオンのお話。
幼馴染同士の初恋、実ったあとは幸せかと思いきや……。
周りの反応に悩み苦しんで宝物を手放そうとしてしまったしーちゃん。そんなしーちゃんを責めずに頼って欲しかった玲央。
宝物を捨てなくてよかったという表現がとっても暖かくて、染みる。
そして表紙をみるとふたりのライオンが。とても素敵な表紙です。

3

ライオンを覗くとき、ライオンもまたこちらを覗いているのだ。

紙の本を買ったら分厚さに驚きました。余裕で自立する厚みです、すごい。

礼央(れお)と獅子丸(ししまる)という、名前がライオン同士の幼馴染み両想いBLです。ほのぼの青春BLかなと思ったらビターでした。

両想いなんだけれど、獅子丸が男同士であることを引け目に思っており、上手くいくはずの関係が上手くいかなくなってしまいます。

幼い頃に母親から言われた、男同士はダメだという言葉が、心に引っ掛かり続けている、獅子丸。

その母親の言葉は、獅子丸が礼央と結婚すると無邪気に言ったのと同じくらい、特に深い考えがあるでもなしに何気なく放たれたものだと思うのですが、まだ幼かった獅子丸には刺さり過ぎてしまうんですね。

ストーリーの本筋からは少しずれてしまうのですが、獅子丸と母親の関わりが、子供を持つ身としてはグサッときました。

親として我が子に望むのは元気に生きてくれることだけだったはずなのに、いつの間にか余計なことも願ってしまうもので、それが子供を苦しめてしまうことにもなると。

時々、基本に立ち返らなくては。生まれたてでふにゃふにゃな我が子抱きながら、死なないよう育てなきゃ! と強く思ったことを思い出さないとですね。


礼央周りに魅力的で興味深い脇役が多かったです。お母さんや友人のゆかりん、そして先生など。

とくに先生とその同性のパートナーさんについてはスピンオフを読んでみたいなと思いました。

1

涙との負け戦

今月は泣けるヤツに出会わなのかぁって、ちょうど考えてたところ―

ここにあったわ。

オーソドックスな設定のピュアBLだと思いきや、
途中から涙を堪えるのに必死でした。

いや、どん底に突き落とされた感じではなく、
初めて「世間の冷たさ」を知った瞬間みたいな。
怖くて心細くて… そのせいで失敗もたくさんしたけれど、
それでも自分らしく強く生きようって。

そんな気持ちを思い出させてくれる作品でした。

普段BLを読まない人にもオススメです。

2

お互いがお互いのライオン

2人で過ごす日々がこんなに幸せだったんだということは失ってから気づくものなんですよね

礼央がしーちゃんの前からいなくなってしまってからはずっとうるうるしながら読んでいました。

1度は逃げてしまっても弱虫のままでも
礼央に会いに行ったしーちゃんの気持ちは
すごく強いなと思いました。

相手のことを想うと「強く」なれる、
そんな存在こそがライオン…しーちゃんと礼央にとってはお互いがお互いのライオンだったんですね!

あとがきに書かれていた「すべての人が宝物を捨てなくていい世界線」という表現がすごく素敵で大好きです。

5

モブ女がリアル

高校生の青春ど真ん中BLです。

獅子丸の兄夫婦の子供たちの感じはすごく三田先生らしい子供の描写だと思いました。
高校生の思春期、幼なじみの二人の恋の第一歩がじっくり丁寧に描かれています。
勇気を出してお付き合いを始めた二人ですが、周りからどう思われているか、気持ち悪いって思われたくない、怖いという感情がリアルというか、そこまで極端に言われてたり感じてるわけじゃないけど人ってデリケートだからそうか‥って感じになります。

獅子丸が怖くなって礼央から逃げて、礼央のこと傷つけて、それでも好きで、また始めたいとおもって礼央のところへ向かうシーンはこれで終わりかなーと思ったらまだまだで、礼央にも礼央なりにあって、ちゃんと考えるんですよね。
礼央たちにとって同じマイノリティのゆかりんもいるし、気持ち悪いって思う女子もいる。それでも自分の気持ちが1番大事なんだよと教えてくれるゆかりんはすばらしいですね。


登場人物たちそれぞれがきちんと考えて行動してる空気感が三田先生らしさだなーと思いました。
読んでいて泣けてきてしまいました。

3

間違いなし!

まとまって読めて嬉しい!

3

心の浄化にこの1冊

やっと書籍化…!
web連載で最終話まで追っていました。
だけど、やっぱり大好きな作品なので
紙媒体でも欲しくて購入してしまいました。
こういう心のオアシス的作品は絶対に紙本で欲しい派です。

幼馴染みのピュア~な恋のお話です。
幼馴染みの獅子丸と礼央は親友同士。
だけど、大きくなるにつれて互いを恋愛対象として意識するように。
そして、親友から恋人へ。

それはあまりにも自然な流れで全く違和感もない。
けれど、二人の周りはそうではなくて、
純粋で、素直で、正直すぎるゆえに
獅子丸は礼央を傷つけてしまいます。

そして、獅子丸の前から消えた礼央。

はじめは礼央の友人同様に心の中で「このヘタレ!」と
罵ってしまったりもしましたが、獅子丸の反応って
全然当たり前のことなんですよね。
ましてや二人はまだ10代。
立ち向かえっていうのも酷な話。

少し前まではあんなに甘ったるかった二人が
突然離ればなれになってしまったときは本当に辛くて、
獅子丸に対する嫌悪感しかなかったけれど、
追いかけてもう一度礼央を掴まえてくれたのも獅子丸で、
二人がもう一度向き合ってくれてよかった…

礼央が消えたとき、彼を匿ってくれていた先生カップルも
とても素敵でした。
おそらく病身であろう恋人が少しでも長生きして、
二人がずっといてくれたらいいのになぁと思わずにいられませんでした。

ちなみにこんなこと書くのも無粋ではありますがエロはありません。
なので受け攻めもわからないのですが…
将来的には獅子丸×礼央なのかなぁと思いつつ、
いや、メンタルの強さ的に礼央×獅子丸かもしれないと思いつつ、
リバかもしれない!とこっそり下世話な想像をしておりました。
こんなにピュアな二人に対してなんだか…申し訳ありません。

10

呪いの言葉を言ってはいけない

タイトルはこちらの作品を読んでるうちに心に浮かんで来た言葉でした。

子どもの為に良かれと思ったことや自分を正当化する為に他者を無意識に陥れたり、私たちが普段何気なく行ってしまう言動が、無意識に誰かを傷付けたり縛ってしまったりするお話でした。

それがこのお話で淡々と紡がれて行くのです。

かなりボリュームのあるコミックスでしたが、あっという間にに読み終わりました。礼央と獅子丸の目線と間の取り方で丁寧な感情の揺れを見事に描いていました。

お互いに好きなだけなのに最初は母親の言葉が呪いになって、恋人同士になって関係が深まりつつある時には、獅子丸を好きだった女子が再び獅子丸に呪いを掛けるんです。

正直言って礼央の良き相談者だった同級生女子の代わりに獅子丸を殴ってやりたかったです。
こんなにも獅子丸が弱虫になってしまったのもやはり親子関係からなんですよね。過保護故に周りが先回りして獅子丸を手の掛からない良い子のレッテルを貼っていました。

その点礼央は幼い頃から母親の娑羅場を目撃していたので、精神的にも自由で強かったです。

ずっと幼い時から自分の感情から逃げ続けて来た獅子丸が、礼央が失踪した事で否応なく自分に向き合う事になります。ここからの彼の必死さに凄く救われました。

本当なら家族に正直に礼央との事を話す事が出来ていたら直ぐに解決出来ていたんですよね。ただ、この事が無ければ獅子丸は何度も同じ誤ちを繰り返していたと思うから、この経験は大事だったのだと思いました。

ほのぼのとした絵から想像出来ない辛さがこの作品にはあります。

2人は高校生なのでキス止まりなのも真実味があって良かったです。

個人的にはこの2人のこの先の進学先での成長も読みたいと思いました。そして、呪いの言葉を吐いてしまった女子のその後の顛末も読んでみたいです。作風的にはザマァ展開は無いと思いますが、成長して自分がどんなに愚かだったか後悔して欲しいと心から思ってます。

三田織先生の作品は初読みではありませんが初レビューでした。多くの方に読んで欲しい良品だと思います。こういう作品がこれからも増えて欲しいです。

11

優しいしんどい

最初から最後まで切なかったです。
仲良しの幼馴染が恋人になるまで…なんですけどね、
”男同士だとおかしい”
って否定する母親や女子生徒の存在がしんどいな〜と思ってしまいました。
なにも考えずにぱーーーっと楽しむっていう作品ではなくて”考える系”でした。

獅子丸をヘタレって一蹴できない状況がきちんと描かれているんでね、余計に切なくなっちゃうんですよね。”男同士云々”って言ってしまう人たちを一概に悪とするのも違う気がするし(そういう環境で生きてきた結果持ってしまった価値観なわけで…)、だから誰も悪くない状況で、自分の気持ちを素直に表現できないことに苦しむわけですね。自分が所属する世間の多くから”異質”なものと扱われるかもしれないというのは高校生にとって恐怖だと思います。レオみたいに周囲に理解のある友人や大人がいる子とは違うよな〜と気の毒になりました。とはいえ、”いくじなし〜”とイライラしちゃいましたがw

ただ好きな人を好きということに、どうしてがんばらなければならないのかというテーマにとても社会性が感じられる作品でした。ふたりが最終的に自分の気持ちを大切にすることができてよかったな〜と思いました。

7

優しい絵で癒されました。

久しぶりの三田織先生の作品です。待ってましたという感じで即購入、そして素晴らしいボリューム

今回のお話は幼なじみで初恋で、受け攻めどっちかわからないけど、レオ君が攻希望です。
動物って同性愛珍しくないそうで、ケニアでライオンの雄同士がカップルになってるとか…

獅子丸は母親の言葉が呪いのように頭の中に焼き付いているようで、礼央君への想いを閉じ込めたまま、心の奥底に隠しているみたいです。
礼央君の方が可愛らしい顔してても、男の子同士でも気にならないようで、これは偏見のない母親の影響が強いのではないでしょうか?
母親同士が違ってたらまた2人の想いは反対になってたかも?でも何だかんだ、礼央くんの方が強そうなので、ちょうど良かったかも?
世の中には偏見あるひともいるけど、味方になってくれるひともいるんだということを、ゆかりんが言ってましたが、そのとおりで、万人に好かれようなんておもったらだめなんだよね~
2人の初めてのデートのシーンが1番好きです。もう幸せ~きゅんきゅんする~そして切ない感じがとても良い
1度は離れてしまう2人ですが、どう考えたって好きという気持ちに蓋はできない
獅子丸君が自分を押し殺した生き方をしなくてほんとに良かった
一生後悔していきることになるだろうから
あと礼央くんの先生達のお話ももっと読みたかったです。
今回も三田先生らしい優しくて暖かな作品でした

5

「好き」で強くなれる

久々の先生作品うれしいです。
まず絵が、ほんわかキラキラやさしくてキャラとストーリーに合っている。これこれ〜。
1話でもうドキドキして引き込まれました。
347Pのボリュームで読み応えありまくり。

タイトルに込められた意味がいいですね。
でも強くなくてもいい、弱くてもいいというセリフに共感するし。
弱くても逃げても「好き」という気持ちからは逃げられなかった。2人一緒にいれば強くなれる。
というのが肝でストーリー運びに感動しました。

キャラもよくできてる。脇役まで。
獅子丸という名前がかわいいしいかにも強そうだけど、実はそうではなく、そう望まれて付けられた。
鈍感で寝逃げ癖があって、深く考えることが苦手。
母の悪気ない圧があったり、良い子だったり。
だから自分からは告白しないし。
いざとなったらパニックになって逃げちゃう。わかる。
そこからどうするかが大事。
獅子丸視点で進む意味がよくわかりました。

一方レオは意外と肝がすわっていて。
お母さんは偏見がないようで男同士でもゴムはしなさいね〜とすっと出てくる。
そんな母親に育てられたレオだもんね。
自分が傷ついたのもあるけど、一緒にいることでしーちゃんが傷つくのは嫌だというのが強くて優しい。

美術の先生の
「相手が同性というだけで逃げたくさせるような この社会がクソなだけやん」
「ほんまは逃げる必要なんてないって言いたかってんけどな」
が名言だし大共感だし感動しました。

そして、あとがきの先生の憤りと決意にも胸を打たれました。
すばらしい作品をありがとうございます。

6

厳しさも優しさも感じられる物語

お互い好きで、ずっと一緒にいたくて、でも…
幼い頃に注意された「男の子同士はだめなの」の言葉。
心の奥底に隠した気持ちを抱えて高校生になりーーー。

優しさも厳しさも感じられるお話でした。

起承転結の『転』以降ずっと涙が止まらなかったです。
酷いことをした人への苛立ち、
傷ついた人の悲しみが痛くて、
やらかした行動を許せない人・許せる人の言葉が刺さる。

『好きだから一緒にいたい』のが本当の気持ちだけど、
『好きだから一緒にいるのが怖い』というのも本音で。
立ち止まって、逃げて、動けなくなって、前に進んで。
まだまだ偏見がなくならない世の中で生きるリアルさが伝わるお話でした。


(※エロ無しで攻め受けはありません)

礼央と獅子丸は仲良しの幼なじみ。
幼い日に「大きくなったらけっこんしよ」と約束したけど
男同士で好き合うのはいけないことだと教えられて…。

好きな気持ちが燻ったまま高校生になり、
とうとう抑えられない気持ちが動き出しました。

これからは友達じゃなく恋人。
気持ちを抑える必要がなくなって幸せなんですね。
初めて尽くしの初デートは楽しくて笑顔がいっぱい…!

けれど獅子丸は、偶然デートを目撃した同級生が影で
「気持ち悪い」と言ってるのを聞いてしまうんですね。

急に男同士で付き合う現実が怖くなった獅子丸は
一番最悪なタイミングで礼央から逃げ出してしまいます。
1人残された礼央はそのまま姿を消してしまいーーー。


最初読んだときは獅子丸への苛立ちMAX…!!!
どこをどう見ても獅子丸は卑怯だったなと思うんですよ。

でも、やんわりとバックボーンが見えてきて
なんか…仕方ないのかもと思えてくるのです。

礼央の周りは同性愛に寛容な人ばかりなんですよね。
同性愛者の友人・信頼できるゲイカップル・理解ある親。
獅子丸と恋人になった後も礼央の方がウンと前向きです。
相談相手がいる心強さがあります。

対して獅子丸は真逆で。
男の子同士がダメと言ったのは獅子丸の母親で、
兄夫婦は子宝に恵まれて普通の幸せ生活を送り、
彼女が欲しいと喚く友人に囲まれて、
獅子丸と礼央が恋人同士とはとても言い出せない空気。

最初は「獅子丸殴らせろや( `д´)⊂彡☆))Д´) パーン」
って気持ちで読んでたんだけど、なんかね、、、
獅子丸ばかりを責められないなって思えてくるんです。

(とはいえ獅子丸が逃げたタイミングがホント最悪で)
(悲しすぎて私はその部分を読み返す勇気はないです)
(この場面を思い出しただけで悲しくて泣けてくる…)

獅子丸がしたこと。
許せない人は厳しい言葉を投げかけて、
許せる人は獅子丸の行動を否定せずに受け止めます。

これって真逆なはずなんだけど、
どちらの言葉にも共感出来てシンプルに響きました。
厳しい言葉にも励ましの言葉にも優しさがあります。
(何度読み返しても泣いてしまう…(;///;))

あとがきを引用させていただいて
「何でふたりばっかりがんばらんといけんのか」と。

ホントこれ!です。
強くなきゃ生きていけない恋愛なんて意味わからん!
でもこれが少なからずある現実なんですよね…。

獅子丸は酷い役回りになっていたけれど、
作者さんの描きたかった気持ちにストンときました。
うん。獅子丸ばかりを責められねぇや。。。(;ω;)

さてさて、姿を消した礼央はどこへ?
獅子丸に裏切られて傷ついた礼央の本音など
最後の最後まで涙なしでは読めませんでした。
胸を熱くキュンキュンささてくれます!

礼央と獅子丸。2匹のライオン。
『ふたり一緒なら強くなれる気がする』(帯より)
厳しいけれど優しくてほろ苦くて温かいお話でした。

21

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