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表題作ロング・エンゲージ

鳴町 了
28歳,商社勤務
久瀬 了
28歳,フリーランスの美容師

その他の収録作品

  • ホリデイ・シーズン
  • バカンスのお土産

あらすじ

久瀬には長い付き合いの“友人”がいる。体の相性はすこぶるよく、彼・鳴町が自分にベタ惚れなのを知りながら、都合のいい関係を続けていたけれど……? フォーエバー・ロマンス♡

作品情報

作品名
ロング・エンゲージ
著者
安西リカ 
イラスト
緒花 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525759
4.1

(100)

(42)

萌々

(33)

(20)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
16
得点
405
評価数
100
平均
4.1 / 5
神率
42%

レビュー投稿数16

もっと読みたい!

数冊読んだくらいですが安西リカ先生のご本の中で1番好きなのがこの作品です。
久々に読み返してみました。
やっぱり好き!
鳴町と久瀬のキャラがそれぞれお気に入りなんだな。
生真面目で融通が効かないまっすぐキャラの鳴町は高校生の時から久瀬ひとすじ。
ふわふわチャラい久瀬は女の子も大好き、イージーカムイージーゴーで生きてきた。

再度の読み返しで何故か?この2人があの少女マンガ原作ドラマに出ていたあの2人のアイドルで具現化されてきて止まりません。
(キャラが似てるんだろうけど)
といっても名前も覚えてないし所属グループも知らないです、ファンの皆様ごめんなさい。

2人の交際が始まるバス道のシーンやプロポーズのシーンもすっと頭の中で上映されます。
先生の描写力!
ある箇所ではケラケラ笑いながらある箇所ではワクワクしながらそしてほぼ微笑みながら最後まで読めます。
もっと読んでいたくなるわたしにとって癒しの小説です。
鳴町が久瀬の協力で両親と少しずつ距離を縮めていく続編が読みたいのですが贅沢でしょうか。

0

喜ばしいよりも心配

美容師の久瀬はバイセクシャルで、女の子とは誘われるまま誰彼ともなくエッチするが、男は高校から付き合いのある鳴町だけ。鳴町とはセフレ関係のただの腐れ縁なのに、高校の時の「男は俺だけにしてほしい」という彼の希望を受け入れ、以降もなんとなくその約束を守り続けている、というお話。
真面目で有能できっちりとした会社員の鳴町と、チャラくて適当でふらふらしている久瀬。
真逆といってもいい取り合わせな二人で、特に前半の久瀬が、自分のモテにあぐらをかいているような様子だったので、どんな風にまとまるのかな、と気になって読み進めていきましたが、久瀬のことをずっと一途に思い続ける鳴町の、押し続けた上での忍耐勝ちでした。
鳴町的には長年の思いが叶ってやっとちゃんと恋人になれた(ていうかそれ以上)というところですが、久瀬がいい加減過ぎて、鳴町は本当にそれでいいの?などと喜ばしいよりも心配そして疑念が先に立ってしまいました。
こんなスパダリならもっと相応しい優良物件がそこらじゅうに転がっているはず。初恋にとらわれているのが勿体ないです。
作中に登場する「キャッシング枠は貯金じゃない」という言葉の意味がよく分からなかったのですが、久瀬が妹への結婚祝いを考える上で、カードのキャッシング枠を最初の資金源としてカウントしているのを見て、これのことか、と理解しました。

安西先生の御本を読むの4作目ですが、やはりこれも3分の2が本編で、3分の1が後日談でした。
あとがきを読むと、そういう構成が多いようですね。
この本の後日談「ホリデイ・シーズン」では、明かされていなかった鳴町の家族のことが出てきます。
物語だからある程度は仕方ないですが、仲のいい大家族で育った久瀬が立ち入っていく展開はちょっと、私には無理でした。

2

一途で堅実な攻めと・・・

読みたい作品リストに入れてあったのですが、BLアワード2024にノミネートされていたので取り急ぎお迎えして拝読しました。

先に読まれた方々のレビューにある通り、攻めの鳴町がとにかく一途・・・!!!
一途で硬派な攻めキャラが大大大好きなので、控えめに言って最高でした。

受けの久瀬はフラフラしていて軽〜い性格ということで、これどうなるんだろうなぁとドキドキしながら読み進めていたのですが、その辺り心境の変化がとっても丁寧に描写されていて素晴らしかったです。
ここまですんなりと展開についていける作品は多くないので、そういった部分でも感動しました。

そして、緒花先生のイラストも最高of最高でした!
先生の作品が大好きなので幸せな気持ちになりました。
高校時代の告白シーンを始めとして、二人の様子がどんな感じなのか気になってウズウズしたタイミングにどんぴしゃでイラストが供給され、その度に心の中で感謝の土下座をしました。


BL小説については完全に新参者で、安西リカ先生は名前こそ存じ上げていましたが実際に作品を拝読するのは初めてでした。
他の作品も読ませていただきます☺︎

0

読後の幸福感最高!

最初はチャラくて仕事にプライドない久瀬に共感できなくて鳴町の一途さが不思議だった。だけど人生に彩りを添えてくれた人って考えると納得、そんな人中々出会えないし。
同居は良いきっかけだった、そこから久瀬が鳴町の存在の大きさに気づいて変われたし。互いに人生に良い影響を与えてるのすごい。
久瀬は悩んだ分、鳴町のプロポーズ嬉しかったよね〜鳴町は尚の事。
2人の新婚生活は甘々。そこへ絶縁してた鳴町兄が連絡してきますがこの時の久瀬の対応に拍手。鳴町の気持ちを第一に動いててこれは鳴町も惚れ直すよね。
最初は気持ちに圧倒的な差があった2人だけど差が無くなってお互い大好きなのが伝わってきて嬉しくなりました。
イラストも表紙が秀逸。楽しく清々しい気持ちになる作品でした。

4

真面目一途攻めの想いにグッとくること間違いなし

はぁ〜〜良かった……読後の幸福感に包まれ、ちょっとニヤニヤしながらレビューを書いています。

クソ真面目一途攻め×楽天的で誘われれば誰とでも…のバイ受けのストーリー。

高校時代に一世一代の告白をしてなんとか体の関係に持ち込み、そこから10年以上!!も一途に久瀬を想い続けている鳴町。なんでだろう、こう書いてるだけで何かグッとこみ上げてきちゃう…良かったね鳴町、本当によく頑張って追いかけたなぁ、という感じです。

受けの久瀬も、すごくいいキャラをしているんですよね。フワフワしているようでいて、鳴町とした「別の男とは寝ない」という約束はきちんと守ってる。「まぁ女の子とは寝ちゃうんですけど…)
楽観的でなあんも考えてないように見えて、実はそうじゃない。ちゃんと地に片足は付いてる(決して両足ではないんですが笑)。

久瀬は手の怪我をきっかけに自分を見つめ直し、鳴町に飽きられてきているのでは…!?と危機感を抱き、色々と頑張る(←雑ですみません;)んですね。
本当にただ軽いだけの人間だったらそんな風に自省することもないと思うし、鳴町が話したがらない家族についても、自分は知りたいと思っている、今は話してくれなくても、ただその事実を知っていて欲しいんだ、という言葉は出てこないはず。見た目も中身もまぁ軽いけど、好青年なんです笑

電子では書き下ろしの後の掌編が、攻めの鳴町視点のストーリーでした。
もうこれを読むと、鳴町が久瀬に飽きるなんてこと絶対ないなって分かってしまい、ニヤニヤと萌えが止まらなくなりますご馳走様です!!

自分が久瀬を好きなことは揺るがない。だから逆に、自分が久瀬から同じように「好き」という気持ちを返してもらおうなんて思っていなかったんですね。。切ないよ〜泣けるよ〜本当に本当に追いかけ続けて振り向かせせることができて良かったね!!と、脳内で滝のような涙を流しました。

また、何度も読み返したい小説ストックが増えて幸せです◎
これからの寒い季節に、ポカポカ心が温まるストーリーに触れたい方にぜひぜひおすすめの一作です。

3

遊び人受けだけど意外と純粋

遊び人の受け(しかも女の影あり)
ということで、買ってはいたものの中々
手が出せなかった今作ですが、
安西先生熱が高まり思い切って読んでみました。
いや〜〜今作もめちゃくちゃ良かったです!

今作を読んで、
安西先生作品が好きな理由の一つに
主人公の人間的な成長というものが
描かれているのが大きいのかなぁと思いました。

今作でも受けか久瀬君が鳴町に愛想尽かされた
のではないかと勘違いし、
自分の生活態度や仕事に対する意識を改める
シーンがあるのですが、こちらが個人的に
グッと来ました。
だけど久瀬の根本にある自由な性格は
変わっておらず、鳴町と結婚しタイに行くとすぐ決断するシーンもすごく良かったです。

攻めの鳴町がとにかく久瀬一筋なのがいいですね。
執着とかではなく、本当に純粋に
久瀬の事だけを思っていて、会話の節々に
溢れる思いにキュンキュンしました。

超おすすめです!

4

受けザマァ最高

 受けが女癖悪かったり、女たらしだったり、女好きなのが大地雷のため、序盤はかなりきつかった。受けとモブ女のイチャイチャや性的な絡みを詳細に書く必要あるのか? 何を読ませられてるんだと思った。
 私の好きな「受けザマァ」シチュだとレビューで目にしたから、その布石だと思って頑張って読み進めた。
 受けの元先輩・疋嶋の「久瀬は一度痛い目を見た方がいいんだよ」のセリフが好き。
 鳴町はずっと自分のことが好きだし、男は鳴町だけだから自分は女遊びしててもいいみたいな考えから、一転して誠実になって良かった。
 傷付き焦り不安になる可哀想な受けが可愛い。
 
 でも受けが痛い目見てないから、受けザマァとは言えないかも……?
 受けザマァ寄りかな。

0

全力一途な攻め様、よきです(≧∇≦)

hontoさんにて限定特典がつくと知って、じっと我慢で電子発売を待ってました。
紙はコミカル、電子はしっとり、みたいなSNSを見かけたので、これは電子で買わねば!と٩(ˊᗜˋ*)و♪

先生の10周年の記念雑誌にて掲載されていたこちらのお話。

バイで女の子も大好き、でも男は鳴町だけ。
人生なるようになるさ、みたいなフラフラとした感じの美容師の久瀬。
最初、こんなケセラセラな久瀬の事を好きになれるかなぁ、せっかく10周年の記念のお話だけどなぁ。
なんて、少々不安に思いながら読み進めたのですが、自分のダメさに気付いた久瀬が変わろうとする姿がはなまるでした(*^^*)

一方、攻め様の鳴町。
高校の同級生として知り合って以来、ずーっと久瀬一筋。
脇目も振らず、ただただ全力で久瀬を好きでいる健気な一途さですよ。

いい加減ともいえる久瀬の考え方だけど、見方を変えたら、自由で軽やかで、そんな久瀬が好きな鳴町。

そんな2人がセフレから結婚に至るまでを、にまにまと楽しく読ませて頂きました。


安西先生って、雑誌掲載時が受け様視点なら文庫化の書き下ろしは攻め様時点って構成が多かったので、今回もそうだと思ってたら、こちらはの書き下ろしは変わらず久瀬視点だったので、ちょっぴり残念。

結婚して1年後に帰国した時のお話。
気遣いながらも自分の気持をきちんと言葉にする久瀬が成長してるなぁ。
とってもいい関係性の2人に落ち着いてるな、としみじみ思ったのでした。


イラストは緖花先生。
表紙から美しいですね〜。目の保養になります♡

9

一途な攻め

とても良かった。
楽天的で遊び人な受けと真面目で硬派な攻め。高校生の時に自分はバイかも?と気付いた受けの前におあつらえ向きに自分に惚れてる攻めが現れる。じゃあ試してみようと軽い気持ちで関係を持って、気がついたら10年。

攻めが健気で一途で良かった。高校生の頃に筋肉を褒められたことを今も大切にしていてジム通いを欠かさなかったり、結婚写真に感激して等身大に引き伸ばして飾ったり可愛い。

一方受けは攻めの成長と比べて自分の変わらなさに焦り始める。初心でおぼこかった攻めはそつのない立派な社会人になっていて、でも自分はだらしなくて見てくればっかりの暮らし。ここからの受けの巻き返しが良かった。

2人が結婚してからのエピソードも良かった。だって結婚してるんだから、配偶者なんだからと、結婚したからこそ踏み込める領域があるよねと実感させられる。独身主義だった受けが事ある毎に結婚して良かったと実感しているのも良い。攻めの家族との関わりの着地点も良かった。

6

ちゃらんぽらんだった久瀬の成長に好印象

高校時代からの友人の久瀬(受)と鳴町(攻)。
久瀬は女好きのバイで、高校生の頃鳴町からの「男は俺だけにしてくれ」という条件を受け入れて、女遊びをしながら鳴町と付き合っている。当然鳴町は女遊びに良い顔はしませんが、久瀬が好きなので受け入れて長年付き合っている…という2人。
あるきっかけで、久瀬は鳴町に捨てられるかも!?と焦り、仕事にも恋愛面にも少しずつ真面目に取り組むように成長していく様子が良かった!鳴町も報われて良かったよ…。

序盤はちゃらんぽらんダメダメな久瀬ですが、成長した後は、明るくて鳴町は久瀬のこういうところが好きなんだろうなとわかるところが非常に良い。パートナーとして鳴町の暗い部分も明るく照らしてあげてほしいと思えました。

受けが女関係にゆるいっていうのはなー…と怖々読み始めましたが、安西リカ先生特有の丁寧な心の動きで気にならずに読了でき、2人のことも好きになりました。女関係が絶対の地雷!という事でなければ、読んでみてほしいです。

2

攻め、よく胃潰瘍にならなかったなぁ……。

両親のことが許せず、兄とも絶縁しているような潔癖な攻めなのに、よく受けのそばに居続けられましたね。
「男は攻めだけ」だけど、はっきり言って都合のいいディルド扱いだし……。

女とのあれこれには目を瞑り続けて……ってどんな苦行よ!!
それだけ好きってことなんだろうけど、胃に絶対穴が開くわ。

ついつい攻めに同情せざる得ませんでした。
受けをそこまで盲目的に愛するほど、受けの魅力がいまいち伝わってこなかったので……。

軽やかにといえば聞こえばいいけど、ちゃらちゃらとその場しのぎで面白くおかしく生きてきた受けが、30近くになって女の機嫌とったりあれこれするのに疲れて、いつまで経っても成長していない子供っぽい自分に気づいて、俺、やべーな……と気付いて。

ざまぁ展開はないけど、自分を見直して喝を入れてじわじわと変わっていく様子が良かったですね。

後半は、受けがなぁなぁずるずるではなくきちんと攻めのことを愛しているから一緒にいるというのが伝わってきて、攻め良かったねぇ!と思いましたが、再読はしないだろうなと思ったので萌評価どまりです。

2

大切なのは貴方だけ

今回は商社勤務の会社員とフリーランスの美容師のお話です。

攻様の告白でセフレとなった受様が攻様の恋人になるまでと
攻様の家族関係を絡めた続編短編とSSを収録。

受様は顔とセンスとノリの良さを生かして
28年世渡りしてきたと言っても過言ではないくらい
あくせく働いたり、努力するのは性に合いません。

美容師の専門学校に進みますが
学校を出てすぐに勤めた大手サロンは激務でひと月、
時代錯誤な業界慣例に辟易下ながら転々とした結果、

美容業界でもフリーランスが増えた事を追い風に
今は洗面台まで完備したブースを備えたシェアサロンで
1日3人、週4日ほど美容師をしています。

受様の頃からモテていた受様は順調に女好きに育ちましたが
一方で男にも興味深々で好奇心が抑えきれず
友人だった同級生に告白されると難なく受けて
セフレとして付き合い始めます。
この同級生が今回の攻様です♪

攻様の受様への告白はダメもとでしたが
受様が受け入れてくれた事で受様と共にいるために
努力を惜まない男であり

攻様は商社で猛烈に忙しく働いきながらも
仕事の都合さえつけば受様の誘いを断る事もない
一途な男なのです。

今回も受様に呼び出された攻様は断ることなくやってきて
食欲を満たした受様の性欲も満足させてくれるのですが

ホテルで面白半分に使用した拘束具で
受様は利き手の靭帯を損傷し、
10日の安静を言い渡されてしまうのです。

聞き手の仕えない受様を心配した攻様によって
攻様宅にての養生をすることになるのですが・・・

雑誌にて前後編てで掲載されたタイトル作に
本編後の続編を書き下ろしての文庫化で
性に奔放な受様が一途な攻様との付き合いで
変わっていくラブコメディになります♪

女好きで性欲過多な攻様に
健気に尽くす受様のパターンは多いですが
本作は受様が女好きな浮気男のパターンなので
どういう展開にワクワクで読みだしました。

受視点なので浮気されても受様にゾッコンな
攻様の気持ちはちょっと分りませんが
真面目でまっすぐな攻様に受様がほだされていく
というか惹かれていくのはわかりやすいかな。

そして受様が攻様に"嫌われてしまったのでは!?"と
攻様や読者的にはもう絶対ないと思う事で
右往左往するのがとても楽しかったです。

描き下ろしの短編も受様、攻様それぞれの
性格と気質がとてもよく出ていて
面白く読ませて頂きました。

8

30冊目おめでとうごさいます。

ここ最近の安西リカ先生の作品は軒並み神評価にしていたんですが、今回は萌2にさせていただきました。

久瀬が鳴町と手首の怪我がキッカケで同居する事になり、その時に鳴町の意外な面を知って彼を意識して行くお話でした。

多分読んでいて多くの方が引っかかるのが、久瀬の女好きの面だと思います。実際には読み進めて行くと最近では女性たちとは身体の関係を持たなくなり、鳴町と一緒に過ごす方が心地が良いと思っているんです。
でも、久瀬の周りの女性たちに嫉妬して敵視する鳴町を見たくて揶揄うという性悪さを持っているのも久瀬という人間なのです。


正直言って鳴町がそんなに一途に思うほど久瀬に魅力があるように思えなかったのが神になり得なかった理由でした。

ただ、途中からは今までの自分の至らなさに目が覚め、鳴町に恥じないようにと久瀬が生活を改めるのは凄く良かったです。
実は久瀬ザマァ展開も期待してたんですが、そんな事もなく、勝手に鳴町の気持ちが冷めたらと誤解はしてました。

久瀬が鳴町に対する今までの自分の態度を反省し、彼に対する気持ちがハッキリしてからはとても面白くて好みの展開でした。
雑誌掲載作である表題作よりは、書き下ろしの方が好みでした。

興味深く感じたのは久瀬が鳴町に女性と遊んでないと信じて貰えてないと思っている点でした。身から出た錆ではありますが、結婚してるのに女性と関係を持ってると思われるのも嫌ですし、それを許せる鳴町も嫌だと思いました。

この辺の認識の違いが凄く焦ったく感じたし、神評価に出来ない理由でもありました。
この辺りは書き下ろしの「ホリデイ・シーズン」と鳴町視点の「バカンスのお土産」で払拭されてましたが、もっと早くに書いて欲しかったと思います。
どうして鳴町が久瀬に惹かれたかとか、久瀬の良さはここに集約されてたので遅すぎるし少な過ぎました。

11

落ち着いたスパダリ

作家様買いです。
安心安定の安西先生の現代モノ。「好きで、好きで」の令和版だな~という印象でした。私は「好きで、好きで」はかなり好きだったんですよね。んでもって、なんか本作はそこまでグッとこなかったなぁ~、なんで?って考えまくったんですけど、受けのチャラ度かなwと考察しました。バイの快楽主義者wなので女遊びしてます。ゆえに、受けの貞操のゆるさに耐性のある方で現代モノが好きな方だとめっちゃハマるのかな~と考察…。スケベに対しても貪欲であけすけな受なので、エロがわりと多めな印象だったのにあんまり色気を感じられなかったんですよね。

自由気ままに人生を謳歌してた受けが怪我やら家族の結婚やらに直面しながら、大切なことや大切な人に気づいて大人になって身を固めるというところで、”年貢を納める”って言葉が久々に思い浮かんだんですけど、この表現ってまだ理解してもらえるかしら…。最終的には互いへの信頼に尽きる気がしたのですけどね、受けへの気持ちに安定感のある落ち着いた誠実がスーツきてるようなリーマン攻めは、もはや安西先生の十八番(これも古いか?)ですね。派手さはないんですけど、どの角度から見ても欠点がない、受けを全方位で受け入れ理解しサポートする、まさに結婚向きな地味系スパダリでした。

9

この人と決めたら

先生買い。通常運転、リカ先生らしいテイストの、しっかり地に足がついている感じになるお話でよかったんですけど、覚えている自信がなかったので萌にしました。雑誌掲載分160P+その続き60P超+あとがき+掌編。「好きで、好きで」が好きだった方で、ちゃらい受けが大丈夫な方でしたら。

フリーランスで美容師をしている久瀬。顔とセンスとノリが抜群に良くって、1日3人の予約だけでも力抜いて楽しくやってます(お金はない)。そんな久瀬に高校時代からずーーーーーーーーっと好きだ好きだ言い続けている鳴町とはホテルに行く仲で、ある日ホテルにあった拘束具をうきうき使ったところ、盛り上がりはしたものの利き手の靭帯を痛めてしまい・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受けの両親+主に妹とその恋人、実家近所の飲み友達、受けの美容師仲間(♀)、疋嶋(受けの美容師先輩)、道長(高校時代の同級生♂)、攻め兄ぐらいかな。受けの実家大変!ごめん、私は住めないwww

++攻め受けについて

攻めは商社勤務、お仕事を堅実に頑張っている方。受けが好きで好きで、ずっと好きって言い続けて連絡とって、側に居続けている、忠実わんこですねえ。喜怒哀楽がはっきりしている印象がないので、耳しっぽがあるって感じはしないですが、受けに誘われると嬉しそうにしてます。可愛い。

受けは軽いですねえ。「男は鳴町だけにする!」って言いきってきちんと守ってますが、女子には手をだしてたはず。ただ最近はもう女子にも手を出してない様子。気付いたら攻めだけになってたはず。金銭的にはかなり不安。キャッシング枠使って妹に結婚祝しようと考えるところに、「ぴぴー」と笛を吹きたいですね。しっかり生活の基盤を築いて将来をきっちり考えて・・なんていうのが全く無いように思います。ただ人生に対する軽やかさが、色々訳があった高校時代の攻めには救いで、良かったんでしょうね。

攻め受けのキャラにめっちゃ萌えるってところは無かったんですけど、レビュータイトルに一部書いた「この人って決めたら人生は充実する」っていうセリフというか一文が、すごく響いた一冊でした。その決められる人に出会えるかどうかっていうと、出会える確率低いように思うんですよねえ。だから出会えた久瀬はほんとに幸せなんじゃないかなあ。

9

キリギリス男は気付きました

大好きな現代ものキタ!
ファンタジーに比べると派手さはないけど、長い友人同士の恋愛模様に浸れる一冊です。


えーっと、これはあんまり見ない「受けザマァ」設定です。(攻めザマァはたまに目にしますが…)

読む前は受けザマァ作品だとはつゆ知らず。受けの久瀬は鳴町からの好意の上にあぐらをかいて女遊びし放題、美容師の仕事もゆる〜くだし、お金関係も少々だらしない陽キャのチャラ男です。

女子とヤリまくりの高校時代。
でも自分はバイかもと思うようになったとき、同級生の鳴町に告白され、興味があった男同士のセックスに誘います。2人はそのときから"セフレ"関係にあり、そしてその期間は実に10年。

楽天家の久瀬に対し、真面目一本の鳴町との親友兼セフレ関係に変化が生まれることになったのはセックス中のケガから。ケガをした久瀬を甲斐甲斐しく世話をする鳴町を見て、久瀬の鳴町に対する気持ちに変化が生まれていきます。恋愛観や人生観、仕事観にも繋がっていく"キリギリス男"の心の揺れ動きにご注目下さい。


作品は久瀬の視点でストーリーが始まっていきます。
受けザマァなストーリーなので、やっぱり久瀬が調子こいてる前半部は読んでいて何だかなぁ…という感じ。陽気で人当たりもよく器用に生きてますが、ベッド事情は奔放で、浮気じゃないけど不誠実感が見え隠れするのは私の中では低好感度↓↓。28の男にしては足元フラついてんなぁ…という印象です。


さぁて。◯◯ザマァにはこうした前半部の残念描写が重要です。今まで好き放題、ヤリたい放題してきた男のお仕置きとも言える展開が待ち構えています。機が熟した頃には、大事なものの存在を知ることになるのです。
久瀬は鳴町との付き合いは10年にもなるのに、彼がどう言う人物でどんな生き方・生活をしてるのか全く分かっていないし、分かろうとしてこなかった。
ケガをして鳴町の家で数日間世話になったことで、鳴町の大人の男としてのカッコ良さや凛々しさ、頼もしさを目の当たりにして鳴町に対する恋愛の意識が芽生えてきます。

BLとしての恋愛の動きはもちろんですけど、久瀬が自分の生き様を振り返り見つめ直していくのも、この作品の大きな見どころかなと思います。
与えられた時間は平等なのに、過ごしてきた時間の重みが全く違っていたことに気付いた愚かなキリギリスは、何を思いどう行動していくのか気になるところですね。

久瀬みたいなキャラクターはあんまり好みじゃないですが、でもどっか憎めない。彼のように大人になっても素直で無邪気に生きてることが羨ましいって思うからかな(笑)
久瀬が永遠の少年から脱却できたのは、鳴町がブレない硬派な男でとてつもなくカッコ良かったからでしょうね。意識し始めてあたふたしてる久瀬が余裕ないのが良かったです。あんだけの遊び人なのに、ちゃんとした恋愛は初心者なんて可愛らしいなと。

大事な存在が一番近くにいたのに気付かないなんてかなり平和ボケしてたようですが、久瀬のその明るくて無邪気な性格は鳴町にとって救いになってる部分でもあるようだし、お互いに無いものを補い合えるお似合いカップルかなと思います。

ま。表紙の2人から察するに、結末はなんとなく予想がつくかと思いますが、その結末に至る同級生ラブストーリーを楽しんで下さい(*´︶`*)

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