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ハマりたくなかったんだけどなぁ、この男に。アラフォー男二人の翻訳家BL
前巻、静の失言…からの椅子に座りにいくくだりのside:朔太郎からスタート。静視点から見ていると大らかで明るい朔ばかりに目を奪われてうっかり忘れそうになるけれど、そうだ、朔太郎という人は静よりもナイーブで、脆いところがある人なんだった。
この作品を読んでいると、自分の偏った見方や安直な考え方に気づかされて、ハッとすることが多いです。
環の話も、まさにそれ。
環ってあんなにいい子で二人のことも慕っているんだから、カムアウトするのに何の問題もないんでは……と単純に思ってましたが。
“いい子”な環にも“いい子”なりのしんどさがあるし、朔はそれにちゃんと気づいてるし、お互い気遣い合うからこそセンシティブな話を切り出すのには勇気がいる。
これを踏まえた上で、環の口から出た「そうだといいな」という掛け値なしの言葉は何倍も深く心に響きました。
ただいい子なだけじゃないけど、やっぱりいい子だよ、環。
静の友達の真鍋くんも、前にサラッと「彼氏」と口にしてる場面があって、古い友達だから当然知ってるのね、いい関係だね、ぐらいに思ってたら、こんな歴史が。
真鍋という人がまた、いかにも悪気なくああいう発言しそうでもあり、だけど本当に静との友情を大事にしてて心から反省してるのもちゃんとわかる。ほんの少ししか登場しないキャラでもブレがなくて説得力あります。
少ししか登場しないといえば、多治見さんのたった1コマの回想「センスいいね」を見た瞬間、何だか目の奥が熱くなってしまった……すごく印象深いお人で、大好きでした。
武市くん、可愛い印象だったけど、朔と同じぐらいに身長が伸びてる! 笑顔で巣立っていく姿が感慨深かったです。
柿沼さんのエピソード。
仕事と、家族と、自分自身……身に染みるテーマでした。
自分を犠牲にしなくちゃいけないことはどうしてもあるし、犠牲が必ずしも不幸なばかりではないし、でも犠牲にしすぎるのも違うし。どの選択が最善なのか正解なんてわからないのに、ある日突然、決断を迫られることって実際にある。
こういうリアルで苦しい話、私はあまりBLで読みたいとは思わないほうなんだけど、スモブルはすっと心に沁みてくれます。綺麗事すぎず、非道すぎでもなく、地に足ついていて、光もちゃんとあって、バランスがいいからかな。
翻訳への情熱よりも家族を取った柿沼さんが久慈父に心酔しているというのも、静にしてみれば皮肉な話。学者としての謹厳さを讃えられたことも、柿沼さんを静と見間違えたことも……ほんと、言葉では説明しがたい複雑な心境だよね。何とも奥深いエピソードでした。
この1冊を通して、いろんな人の人生や想いと触れ合うことで心の中に積もっていったものが、ひとつの力になって臆病な朔太郎の背中を押す。
静に気持ちを「報告」した4巻でも思ったけど、こういう構成が神がかって素晴らしいです。
多治見さんが亡くなったときMRの仕事に虚しさを覚えて泣いたのが、今は「何ひとつ無駄じゃなかった」と涙するのも、胸熱……!
夜桜のシーンも素敵でした。
BLを読んでると、桜が舞う夜の印象的なシーンによく出会うんですが(私のユーザーネームの由来)、またひとつ名場面がリスト入りしました。
大好きシリーズ7巻。
前巻の久慈視点は振り返り含めラブも濃いめだったけど、シリーズ通してラブよりライフ。恋愛面で大きな波が立つわけでなく、人生を歩む中で少しずつすり合せたり調整したりもたれかかったりして…パートナーとして在る2人を今回も楽しませてもらいました。
朔太郎はちょっと悩んでいるときも、嬉しいことがあったときも久慈の家に話に行きたくなって、久慈は朔太郎を玄関で待ち構えて、2人で一緒に分かち合う。素敵な関係になったもんだ。
個人的に前巻が盛り上がったためか、今回はちょっと淡々とした空気に落ち着いてしまったかな?
ただそんな安定した2人のさりげないキスや、日常から地続きのエッチが好きだったりします。色気もなくて、喋ったりして、でも相手に欲情している。その空気感。
また1巻から読み返して、2人の歩いてきた人生をしみじみ噛みしめたいなと思います。
7巻も良すぎました~~!!
スモブルを読んでいると変わらないものはひとつもなくて
自分も周りも少しずつ変化していくのだな・・と当たり前なことなんですが改めて思いました。
柿沼さんの登場、そして・・・色々と考えました。でもきっとまたいつか・・!
初見で久慈さんと雰囲気似てるな~と思ったんですが
こんな風に繋がってくるとは・・!
環くんへのカミングアウトも朔ちゃんらしくてすごく良かったし
久慈さんの涙にじんわりして(お洒落して文化祭来るところも好き)
環くんは飾らない言葉で伝えてくれて嬉しかったなあ
あの3人の空気感最高でした!
うぬぼれと反省の繰り返しっていい言葉だな~
何歳になっても悔しい気持ちをもつのって大事だ・・。
久慈さんから見ても朔ちゃんは熱い人間なのくすっとしました。
朔ちゃんの過去と今の頑張りとそれを抱きしめる久慈さん。
何巻でもこのふたりのお話しが読みたいよ。大人の夜桜デートも素敵でした~!!
家族のことや仕事のこと自分の頑張りだけじゃ
どうしたってままならないことがある中で、全部を頑張りたくて焦って…
そんな時に弱音を吐けてじゃれ合えて、
行く先を照らしてくれる光で温かみを与えられる関係なのが本当〜〜〜に沁みる。
何かあった時にちょっとしたことだけど顔を見たくなるっていうのも良い!
淡々と日常的なふれあいからあっという間に色気を纏うのも良い!
からっとしてるのなんでこんなに甘いのか!
いろんなことがふとした時に繋がって、いつか何かで役に立つ時もあるし、
役に立たなくたっていいし、自分の言葉で進めば良いんだってとこ。
とても沁みて穏やかな気持ちになりました。
まるっとお互いをて尊重し合って無理しすぎない範囲で真摯に向き合ってるか。
お互いと周りと人生大事にしてるとことても好きです。
もう七巻です。
びっくりです。
そして、もっとびっくりなのが、読めば読むほどにエモが深まっていった今巻。
その今巻は、吾妻の甥っ子環に、久慈との関係をカミングアウトしたことがハイライトのひとつなのでしょうが、
個人的には、柿沼さんとのエピソードがエモく、また致すときの老いの変化を感じつつも、それもすべて愛おしく感じるエピソード、また吾妻の伯父のエピソードなどに、とても胸震えました。
毎回思うのですが、等身大の飾らない男たちの日々や心情をここまでリアルに描くかもめ先生って、いったいどんな方なのでしょうか。
スゴすぎる!!(前も言ってるかも)
柿沼さんとのエピソードは、本当にエモが過ぎて。。。
柿沼さんにとって今回の結末は挫折とは違いますが、愛する家族を選んで、結果的にまた夢から一時離脱するわけで。
けれど、かつて社会人を選択したときよりは前向きのような別れの選択に、
こうやって人はタヒに向かって(大袈裟な言い方だけど、四十過ぎたら人生折り返し地点と言いますし)日々優先順位を取捨選択し、後悔と悦びを重ねつつ、迷いながら未来を切り開いていくのだと。
読み手側の身に染み、またその渦中に巻き込まれているだろう世代の心には突き刺さりまくるリアルさよ、、、、、
握手して別れるあのシーンは、本当になんとも言い難い感情が沸き起こりましたし、
また再会できそうな余韻を含みつつも、あれが今生の別れのようにも思えたし、、、
また、お話全部を通してすべての表現がすべてどこかに繋がっているような心情描写なのもジワります。
とくにラストの桜の花びら~のモノローグは、次巻もしくはその先のどこかにつながる描写になるのではとか、はたまたここだけの感情描写なのかとか、アレコレ勘ぐって読んでしまいました。
ただ七巻を読了後、言えることは、
あれもこれもと欲張っていたギラギラした若い頃と比べ、
歳を重ねると大切なものがひとつあれば、それが自らを支える光となるんだなあと。
常に岐路に立たされているふたり。
次巻の展開もとても楽しみです。
あと追伸、、
気のせいでなければ、僅かにふたりの目の下のシワが深くなってきているようなあ??!
