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大きなサイズだしちょっとお高めだし、、、とは思いましたが、スペイン組とのひとときの思い出を是非読みたくて手に取りました。
カバーイラストもすごく素敵です。
これを読むとスペインの斜陽や戦いで傷ついていく人たちのことが哀れでなりません。
カイトが彼らと個人的に知り合い優しさや戦う理由や想いを知ると余計辛くなります。
好きになりたくないという気持ちがよく伝わってきます。
ビセンテだけじゃなくアロンソやフェリペ2世、レオまでがカイトを幼子のようにかわいがり甘やかせてるようです。
対戦時にはきっとカイトも苦しむだろうなと思いますが、史実と差異があるFLESH&BLOODの世界で彼らがどうなっていくのか見守っていきたいと思います。
拉致されてスペインに連れて行かれた海斗が、
エル・エスコリアル宮殿で不眠症のフェリペ二世の為に
寝物語を語る……ということで、描かれるイングランドでの出来事。
BLらしさを求めると全くの肩すかしだが、軽い読み物としてはそこそこ面白く、
何より本編のファンであれば、ここで語られるスペイン側の人物像によって
物語全体に大きく膨らみが増すことだろう。
不器用だが実はまっすぐで情熱的なビセンテの優しさ、
勝ち気で健気なレオの可愛らしさ、
寵臣アロンソ・デ・レイバの陽気で強かな男らしさ。
敵国であっても、親しく共に過ごすうちに見えてくる彼らの素顔は魅力的で
そんな彼らを悲惨な末路が分かっている海戦に送りだす海斗の辛さと葛藤は、
そのまま読者の思いとなる。
そして、日の沈まぬ国に君臨するフェリペ二世の孤独。
最後に語られるフェリペ二世の思いに、思わず涙が出てしまった……。
美しいカラーも、スペインの影を思わせる仄暗いモノクロも
共に挿絵が美しい。
ということで素晴らしかったのだけれど、いかんせん値段が高いのと
シリーズで並べた時に一冊だけサイズが違うというのが好きじゃない。
(画集なら別だが……)
ということで、その分減点で評価は「萌」×2。
いいお話でした。
でも、BLでもないし、ロマンスでもないし、FBファンじゃないと手に取らないだろうなあというエピソード。
主人公であるカイトの葛藤はわかるけど、この一冊で何度も繰り返されるので、ちょっとうざかったかも。
あと表紙と口絵のカラーは、とてもきれいでよかったです
はんたいに、モノクロのイラストは、暗くて重くて、あまり好きではないかも。
特に、最後の見開きのイラストは、おはなしがはればれとした朝のシーンで終わっているのに、空が黒くて不吉な感じに見えました。それも、この後のアルマダの海戦での敗北を暗示してるのかもしれませんが、後味、読後感がよくなかったので残念。
ともあれ、このシリーズは好きなので、同人のような入手が限られるものではなく、こういった形でサイドストーリーが読めることはうれしいです。
歴史小説を読んでいるときに誰もが感ずるだろうジレンマがあると思う。
それは、どんなに前半楽しく読んでいても、最後、主人公たちがどうなるか歴史的事実を知っていると、後半に行くにしたがってどんどん読むのが辛くなるということだ…
司馬遼太郎の有名な『竜馬が行く』『燃えよ剣』など、私は後半、何度挫折したかわからない。登場人物に感情移入すればするほどラストの展開に向き合うことがキツクなってしまう。
まさに海斗は実体験でそれをしてしまった。
スペインの歴史を海斗は知っている。
彼らの最後も知っている。
それなのに止めることはできない。
だから、感情移入しなくて済むように親しくなんかなりたくなかったろうに。
元来の彼の好奇心旺盛さとその裏にある孤独な魂が彼らと心を触れ合わすことを求めてしまう。やさしくて敏くて淋しがりやな海斗だからこそ。
そしてまわりもそんな海斗をほおってはおけないのだ。
私個人は世界史は大好きだったけれどそんなに詳しくはないので、松岡さんの書かれる世界観がどれほど史実に忠実なのかはわからないけれど。
それでも、海斗と同じように私自身もスペインの彼らに死んでほしくないと思ってしまった。本当に実在した彼らはもう、600年以上前にみんなとっくに神のおわします世界へと旅立っているのにね。
このお話をよんでフレブラに出てくるスペイン側のみんなが、とくにスペイン王が大好きになってしまった。
好きになりたくなどなかったのに。
それでも読めて本当に嬉しかったし。
読んでいる間、幸せなひと時だった。
カバーも素敵で。
大切な一冊になりました。
追記
ハードカバーになったのは、私のように数年後老眼になって小さい字が読めなくなる40歳以上の読者の為のサービスかと思った…
そっか、売り上げ単価を上げるためだったんですよね。ハイ爺さまのレビュー拝見して初めて気がつきました。めでた過ぎる私…
全プレサービスもあるので、要チェックです(*^。^*)
もともと松岡なつき先生は長編でこそ力を発揮される方と思い、1冊完結にはさほど期待値は高くなかったこともあり(し、失礼かな?)、お話に文句はあんまりないです。
海斗がフェリペ王に語り聞かせる、女官の失踪事件(ジェフュリー達が追うのですが)、えらいあっさり解決したなあ~とか、差別され舞踏を練習させてもらえないレオを海斗とアロンソが手助けして練習した結果、結局どうなったのかをできればスッキリさせてほしかったな、とは思います。
でもまあ、スペイン王フェリペ2世の人柄も知れたし、まずまず…という印象でした。
~~で、でもわたしは大判で彩さんの絵を見るのを、本当ーっに楽しみにしていたので、カラー口絵は1枚、というとこで涙が出ました…。ものすごいガッカリした…。本屋でレジ済んで待てなくてすぐビニールはがして中を見た時「ウソォ?!」と、危うく座り込みそうだった。なんで?!本編の文庫でも口絵カラー絵、2枚あるではないですかっー(それでも目の正月でしたけどねっ)。カバーが裏にも続く大きな絵だったからかなあ…。で、でもアップの絵も欲しかった…。
また、このお話、外伝『女王陛下の海賊たち』のように文庫では、なぜだめだったの?と思いました。
評価には、内容に対する評価に加え、大判で結構なお値段ということもふくまれています。本の体裁も評価の内と思いますし(それこそレーターさんに左右されるように。)、…読み終えてまず「この本(読後の充足感の程度とくらべても)、やっぱ高いよ…」と思った、それがいつわりない本心、感想だったので。