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ああどうしましょう。
すっかりこの作品の虜になってしまいました。
1作目も素晴らしかったのですが、2作目となる今作はもっと素晴らしくて、3作目を読んだら一体どうなってしまうのかとある意味恐怖すら感じています。
2作目でも、何の縁もゆかりもない老人・ブロイルスの最後の晩餐に参加した際に、形見分けとして「願いの叶う薬」を貰った面々の物語が複雑に入り組みながら描かれていきます。
たった2錠の真珠のような薬。貰い受けた者によってこれほどまでに願いの選択肢・使い方が異なり、こんなにも人生が変化していくものなのかと非常に面白いです。
犬視点と来たかと、木原先生の引き出しの多さに驚きを隠せません。
私の中では今作のメインとなる2作はどれもハッピーエンドだと感じましたが、これは人によるかもしれませんね。
前作・今作に登場した者たちが過去で繋がっていたり、横続きで繋がっていたり、はたまた繋がりそうで繋がっておらず読み手だけがあっと気が付いたりと、物語の中で絶妙にエピソードが交差した時の気持ち良さ。
それによってどの人物の人生にも奥行きが出て深みが増していくのです。なんて面白いの…
薬を使った者・使わなかった者。どちらの選択も味わい深く、木原先生らしいほんの少しの苦味がありつつも、とても純粋で綺麗なお話だったなと思います。
普段あまり作品を読んで涙することはないのですが、書き下ろしの「Happiest」を読み終えて自然とぼろぼろ涙があふれた自分がいました。
2作目が大好きになってしまった。どうしよう。
次巻では全ての謎が明かされるようで、今すぐ読みたいような、もう少しじっくり読みたいような…贅沢な悩みの間で揺れています。
本当に素晴らしい作品でした。面白かったです。
ブロイルスという研究者が死に、その故人を偲ぶ晩餐会の席上で形見分けとして4人の出席者に配られた、なんでも願い事の叶う薬。
ここから始まるオムニバスの2巻。
高いIQをもつ犬のジョン視点で綴られる物語「eternal friend」、10歳のときに目の前で両親を殺されてどうにか人生を切り拓く少女ミアの物語「Girl and Dog」、それぞれの後日談SS2本「eternal friend and more」「Happiest」を収録。
ものすごいお話でした。
本書はディアプラス文庫から出ていますが、2巻はBL色は高くないです。後半の「Girl and Dog」は女の子が主人公で男女の恋愛物ですし、前半の「eternal friend」は性別は男同士ですけど恋愛というわけでもない。
でも読み応えは充分過ぎました。特に、「eternal friend」のドラマチックなことといったら。
何カ国語も解し、研究者と議論もできる天才犬ジョン。だがあるときから、普通の犬の振りをし始め、今では誰も当時の面影を感じない。老いて余命幾ばくも無いから単に本来の状態に戻ってしまったと思っている。
一方で、年齢は15歳でありながら5歳程度の知能しか持たない人間のニコラス。彼は研究所で働いていてジョンと仲良し。
二人は穏やかに過ごしていたのに、研究者が密かに購入したビルア種の子供に人体実験を繰り返して死なせてしまったところから話は急展開し、研究所にいた二人も否応なしに巻き込まれていくのです。
この急展開がまるで映画を見ているみたいで目が離せず、人間のオモテと裏の顔も鮮やかに描かれています。筆力が冴え渡ります。
最後の晩餐会に招待されて例の薬を受け取ったのはニコラスで、大事に取ってあったその薬を使用するのですが、叫びました。叫ばざるを得ない。
ただ、わからないところもあります。1巻収録の「dear brother」では、起こったと思ったことは現実には起きていなかった。
願いを叶えるのではなく、願いが叶ったという幻覚を見せるのかも、という可能性を示唆して終わったんですよね。
だとしたら、ニコラスとジョンはどういうことなんだろうと。ジョンの幻覚?
それから「Girl and Dog」では最後まで、八尋にしっぽがまだある。
さて、これで、最後の晩餐の4人のお話は出揃いました。
無関係だった4人が、実はちょっとずつ絡み合って、あのお話に出ていた人がこっちのお話にも登場する、ということも起こり、相関関係が複雑になりつつあります。
次の3巻で一応最終巻ということになるのですが、どういう結末を迎えるのか全くわからないのと、2巻までは正体の知れていないブロイルスとその子供なのか関係もよくわかりませんがライヴァン。語られるといいなあと思います。
ニコラスの「こんにちは、ライヴァン」という声紋認証がね、可愛らしくて好きでした。
最初のお話にもっていかれました(っω<`。)
第3話「eternal friend」
亡くなった老人、ブロイルスより『願いが叶う薬』を貰った1人、ニコラスのお話。
ニコラスが働いているハイビルア研究所で、いつもそばにいる犬のジョン視点。
ジョンは犬とは思えない高IQの持ち主で、ハイビルア研究所の研究対象にもなっていた。
一方、ニコラスは知能が低く、15歳という年齢で5歳児程の知能だけど、汚れなき魂の持ち主。
研究対象でいることが嫌になったジョンは普通の犬になったふりをして、今では最後までニコラスを見守り続けるのが願い。
この2人、お互いが大事な唯一無二の存在ではあるけど、BLっぽさは感じない。
ジョンのニコラスに対する愛は、親のような無償の愛に思います。
2人の願いの結末に愕然としました。
そんなのないよ~(ノд-。)
更に隠されていた事実にも驚愕。
どうか、いつか2人が田舎の一軒家で穏やかに幸せに暮らしていけますように。
第4話「Girl and Dog」
「願いが叶う薬」を貰った少女、ミアのお話。
フェードアウトしたハイビルア、スターリンと暮らす内に、絆を強くしていく。
治安の悪いホープタウンで、逞しく生きているミア。
実はスターリンは、第1話の受け様だった八尋の兄であり。
繋がりがあって嬉しい。
書き下ろしでは、今の八尋とジョエルの姿も見れました。
尻尾の再生がうまくいったようで、よかったねぇ、と思ったのでした(*´∀`*)
やはり、八尋とジョエルが好きです。
1巻同様とっても読みやすい作品です。あとがきで続きの軽いネタバレがあるので、苦手な方はご注意ください。しかし軽いネタバレすら見たくない方は読む前にちるちるのレビューも見ないだろうから何も情宣にならない。
◾️ジョン&ニコラス
パートとケビン同様、構造が面白い話でした。犬の体に人の脳から人の脳に人の身体になったジョンと、犬の脳に人の身体から犬の言葉になったニコラス…色々なところがテレコになっていて、うまいなぁと。犬は人の身体を得るのだろうと思っていましたが、もとは人の精神だから薬も作用したのか。
私刑について一定の信念を持って動いたジョンにも"回り回ってくる日"がくるのだろうか。それともこの作品の神はジョンの振る舞いには目を瞑るかな。
◾️ミア&スタンリー
この一冊読むと、全くBL作品に思えません。一般的ライトノベルにありそうな少女と青年の物語。(3巻収録の単行本版あとがきで謎が解けました。色んなジャンルの雑誌にあわせて書いたものだったんですね。)
自分にはエイルの存在が最も印象的でした。登場シーンは多くないし派手な動きもないのに、かなりのキーマンです。
出産エピソードの柔らかさに、木原先生ならもっと地獄に突き落としてくるのでは?と何故か物足りなく(という感情ともちょっと違うんだけど)思ってしまう。
萌2〜神
《eternal friend》
犬視点も面白いな~と興味深く読み進めました。
一体どうなるんだと先が気になり読み進めましたが、勘が鋭くはない私は一人と一匹の願った結果に息が止まりそうになりました。
前情報やネタバレなしに読んでみてほしい。
地獄ではないけど悲劇要素大ありですよね、さすが先生です。
《Girl and Dog》
少女と青年の話です、BLではありません。
もちろんBL読みたさはあるのですが、どの話も一定して面白いんですよね。
BL読みたいという気持ちが勝たずに純粋に楽しみました。
きちんと前後があり深みもあるからこそ土台がしっかりしオリジナリティある話になるんですよね。
男女かー…と思わずに読んでみてほしいです。