イラスト付き
篠口さんが復帰した日私は泣きながら読んでました。1巻が本当にしんどくてしんどくてキツかった。他の作品で得体の知れない感じだった黒澤さんがあんなに愛情深く傷ついた篠口さんの側にいるのも泣けた。すごいお話だった…辛かった分2の下巻では2人の静かな暖かい時間が流れていく時間がすごく良かった…心が癒された。円陣闇丸先生の挿絵も美しくて大好き。評判通り私もこのcp が1番好きだなぁ。大人の2人、お布団シーンの色気もすごかった……好き……。
(こちらは下巻のみのレビューです)
下巻は本編と短編数作の構成。
上巻本編ラストの翌朝から始まります。
上巻最後はかなりつらそうな篠口にハラハラしましたが、下巻は黒澤によって癒されていき、段々と落ち着いていきます。
黒澤が面倒を見るということで退院し、なんとか職場にも復帰。同僚であるSITの面々の温かさには、うるっとさせられました。
そして黒澤に誘われ、二人で黒澤のマンションに暮らすことに。この黒澤が篠口を口説くシーン。黒澤が、とにかく篠口の望むように好きにしていい、と最大限に配慮して熱心に誘う様子が、黒澤の深い愛情が感じられてキュンとしました。
その後も街中でフラッシュバックが起きた篠口の元に、仕事中でもすぐに駆けつけるなど、どこまでも優しく寄り添う黒澤。篠口の傷ついてかたくなな心も、この黒澤の溺愛に徐々に溶かされていきます。
本編終盤、黒澤の元妻について語られるシーン。想像していたよりもずっと込み入った事情で驚きました。黒澤の優しさや繊細さを、さらに好ましく感じられた、ちょっと切ないエピソードでした。
そしてようやく体も心も結ばれる二人。感無量です。翌朝の二人の会話、強い約束に、胸が熱くなる思いでした。
最終章では事件が発生、篠口は無事に任務を遂行し、神宮寺のピンチを救う。神宮寺は監禁事件で最初に篠口を助けた人物。しかも遠藤を取り合った仲。そんな二人がお互いに礼を言い合うシーンもまたジーンときました。良きシーンでした。(神宮寺の挿絵があるもの嬉しかった!)
そしてラストはパートナーとなった篠口と黒澤。保護犬を迎え入れることを決めるところで本編終了。犬を挟んで穏やかに語らう二人にほっこりして、ああ、本当によかったなぁという気持ちになりました。
短編も数作収録。
【暁】(約29ページ)
「甘い水」の攻め、神宮寺視点のお話。
監禁された篠口救出と、その後のSITの面々の様子を描いています。
神宮寺は、クールな部分もありつつ人情もあり、とても好きなキャラなので嬉しい♪
救出シーンは、非常に緊迫感のある描写でドキドキしました。素晴らしかった。
篠口への見舞い品について語らうSITの面々の会話はとても楽しい。良き短編でした。
【雨の降る夜は…】(約8ページ)
本編の約6年前。篠口が寮を出た直後。
街で偶然篠口と黒澤が会い、篠口の部屋に来て語らう。少し疲れた様子の黒澤。落ち着いた会話。しっとりした大人の雰囲気が素敵な短編。
【レイディ】(約32ページ)
二人の住むマンションに保護犬レイディを迎えてしばらくしてから。黒澤が帰ると篠口とレイディが寄り添って寝ていて…。
レイディに優しく語りかける篠口にほんわか。仲睦まじい二人の様子にほっこり。ラブラブな濡れ場あり。幸せそうで甘々な二人にキューンとさせられました♡
【ウィークエンド】(4ページ)
二人+一匹の穏やかな生活。黒澤の誕生日にケーキを焼いた篠口。幸福な日常にまたもやキューン。素敵なラストです♡
とにかくこれでもか、というほど、どこまでも篠口を甘く献身的に溺愛して癒していく黒澤に、始終キュンとさせられる下巻でした。
上巻冒頭で黒澤の
「時間をかけてでもゆっくり癒してやりたい」「そして…二度と他人に傷つけられることのないよう、腕の中に囲い込んでしまおう」
このモノローグにキュンとしたのですが、まさに有言実行というか初志貫徹というか。決意を実現した黒澤に、グッとくる物語でした。
本シリーズ、「甘い水」と「墨と雪」しか読んでないのですが、「Zwei ツヴァイ」の山下なども出てきて興味を持ったので、他の作品も読みたいと思います!
墨と雪2上で入院期間中でありながら正月休みを利用して外泊をした篠口。ただし独身の一人暮らしということでお目付け役が必要で、名乗りを上げた黒澤と共に年末年始を互いの家やホテルですごした2人。
墨と雪2下ではそんな正月外泊が終わり、再び入院生活に戻るところから退院を経て黒澤の家で同居(同棲)生活を送るようになるまでのお話。
いくら仕事柄、性犯罪被害者の心理を学んでいるとはいえ、知識で得たことと自分が体験することは全くの別物で、自分より20歳近く年上の同性から拉致監禁、果ては暴行まで受けていた自分に負い目がある篠口。そんな自分が人にどう見られるかが怖くて、供述調書で事件を向き合うことにも冷静でいられなくて、仕事復帰することに後ろ向きだった篠口が少しずつ前を向けるようになったのはもちろん黒澤のおかげで。
仕事復帰を決め、黒澤が傍にいるならと退院の許可も下り、事件後初めて職場に赴く篠口。温かく迎えてくれた職場の上司、先輩後輩に私まで泣けてしまった。どれだけの努力をして職場復帰をしたか、みんなちゃんと理解してくれていて、事件が起きてからもちゃんと仕事をセーブしてくれる。
甘い水で軋轢のあった神宮寺ともきちんと向き合えるようになってこの巻は感動の連続でした。とは言え、やはり心に負った傷は簡単に癒えるものではなく、たまに起こすフラッシュバックに黒澤が迅速に優しく対応してくれる。いやもう、激甘~!激甘なのに胸焼けしないのは篠口が甘えることに慣れていないし、甘えることに積極的では無いから。もうホントに「大人の甘やかし」で最高でした!
さらには黒澤の離婚した元奥さんの話も篠口が踏み込んで聞けて、やはりそこから2人の関係が一気に縮まった感が。他の人には話せない、過去や自分の裏側を他人と共有するという行為が(この2人に関しては特に)大きく、話の流れがもうホントに神ですね!
そしてたまたまなのか電子書籍の書店限定なのか、平河寮シリーズでは挿絵がないとばかり思い込んでいましたが、この墨と雪に関しては円陣闇丸先生の素晴らしすぎる挿絵が付いていて悲鳴をあげるほど、そしてしばらく見入るほど眼福でした。神宮寺のアサルトスーツ姿はもうひたすらご馳走様です!!と拝まずにはいられませんでした。
シリーズ通して他の本で主役を務めた人達がちょこちょこ出てくるのも彼らのその後が垣間見れるようで嬉しかったし、篠口救出の救助班サイドも読めて更にストーリーに厚みが出て読み応え抜群でした。
墨と雪、墨と雪2の上巻で拉致監禁された篠口に寄り添って、支えていく黒崎がめちゃくちゃイイ男で惚れ惚れします。
篠口の過去、わかった上で手元に置いておきたい。それでうまく同居(同棲)に持っていく手口なんかはさすが理事官!て感じですけど。
拉致犯と黒崎の違いは何なのか?二人共、欲しているところは同じなんだろうけど、やはり全く違う。。。
シリーズだけあって、天使のささやきから出てくる峯神や、遠藤、神宮寺、山下と絡んでくるのがニクいですね!
峯神が一押しでしたが、この作品を読んでみて「あ、、、、黒崎の勝ちかも」って思っちゃいました。
レイディを飼いだした篠口は立ち直りつつあるようで、、、、。事件を色々見てきて、米国で心理学も学んで、それでもやはり受けた傷はなかなか癒えないんだということなのでしょう。
黒崎が側にいて本当に良かった。
書き下ろしで、一誠って呼べよっていう黒崎、かわいい(笑)
このシリーズはまた続いてほしいな。出来れば天使のささやきのその後を読みたい!
身体に受けた傷は治るけど心に受けた傷は残る、というような事を言いますが、下巻はまさに精神的苦痛との戦いが描かれています。
上巻こそ、病院の外泊許可をとって入院生活から逃避するように、年末年始、黒澤としばしの休息にようやく息を吐けた篠口ですが、下巻では、職場復帰するもののフラッシュバックに悩まされたり、よくなったと思うと突然揺らいだり、日常生活を送ることすら思うように行かない日々です。
そんな中、職場の皆さんの適度な距離感のあたたかいフォローや、黒澤の献身的な振る舞いが、どれだけ篠口の回復の後押しになったかが分かります。
丁寧に、丁寧に、回復していく心が綴られた下巻。
上巻で黒澤の存在に安心感を覚えるようになった篠口が、下巻では、かけがえのない大切な人だと認識するに至る。
時にまだるっこしいくらいにも感じる場面転換もありましたが、総じて納得のページ数でした。
上下巻読んで思ったのは、1巻から併せて3冊読んでこそなのかなということでした。
1→2 というより1=2 と感じました。つまり2巻上下は続編の形を取った1巻の補完なのかなと。
「暁」は、1巻の救出劇、別視点でこちらも読めてよかったです。
「雨の降る夜は」は、篠口が寮を出てマンションに引っ越したばかりの頃のお話。
「レイディ」は、過去の時点だった前2作とは異なり、「2巻下」の後日談。甘々で可愛いお話でした。