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表題作気難しい王子に捧げる寓話

オズワルド・メルシア,エセルの元小姓で今は子爵,27歳
エセル,ルスキニア王国の王太子,21歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「薔薇の聖痕」を持つ王子は、伝説の英雄王の生まれ変わり──。国中の期待を背負って甘やかされ、すっかり我儘で怠惰な暴君に育ったエセル。王宮内で孤立する彼の唯一の味方は、かつての小姓で、若き子爵のオズワルドだけ。宰相の地位を狙う野心家は、政務の傍ら日参しては甘い言葉を囁いてくれる。そんな睦言にしか耳を貸さないエセルの前に、ある日預言者のような謎めいた老人が現れて!?

作品情報

作品名
気難しい王子に捧げる寓話
著者
小中大豆 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010576
4.6

(224)

(180)

萌々

(27)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
31
得点
1038
評価数
224
平均
4.6 / 5
神率
80.4%

レビュー投稿数31

面白すぎた…

なんて、なんて面白い作品なのか。
読み終えて思わず「はー、面白かった…」と声に出てしまった。ワクワクしました。
小中先生作品の中で1番好みかもしれません。
何もかもがとにかく良かった。好みど真ん中でした。

ファンタジー作品なのですけれど、とっつきにくさは皆無で驚くほどに読みやすい。
ひとたびページをめくってみれば、これまた驚くほどに物語の面白さに引き込まれ、次第にページをめくる手が止まらなくなります。
何か予定がある前に読むのはあまりおすすめ出来ません。
ぐいぐいと読ませてくれる展開の数々に、時間を忘れて一気に読んでしまいたくなりますから。
こんなことある?と思うほど、400P超のうれしい厚みが一瞬です。

主人公が最悪の未来を回避するために奔走する。
題材としては非常にシンプルかつ、媒体を問わずこれまでにも数多く描かれてきたものだと思うのです。
そんなシンプルな題材をここまで魅力的な味付けにしてくれるのか!と驚きを隠せません…

夢中になって読みながら、なぜこんなにも面白いのか?でいっぱいになりました。
読んでいて読み手のアンテナにぴんと引っかかる「あっ」となるようなエピソードと言葉が、シンプルな生地の中にまるで隠し味のように本当にさり気なく混ぜ込まれているんですよね。
時に苦かったり、甘かったり、かと思えばしょっぱかったり酸っぱかったりもする。
人生も人の感情も、そういった複雑なものがぐるぐると混ざって出来ているんじゃないかなと思うのです。

主人公・エセルの序盤の印象は最悪です。
その一方で、オズワルドの印象は悪いものではないのです。
どんな物事でも、片方から見たものだけが真実だとは限りません。
ふと反対側から見た時、もしかしたらより良く見えるかもしれませんし、もしくは見えていたものよりも良くないものかもしれません。
そんなことを思いながら流れに身を任せて読んでいくと、隠れていた物事が徐々に明らかになり、気が付けばあれほど厚みがあったはずの本が薄くなっていくではありませんか。

もうこれは、夢中になって読ませてくれる話運びの上手さが見事としか言いようがないのですが…
その合間に描かれる、登場人物たちに深みを持たせる隠し味が効いたエピソードがたまらなく良いものばかり。
文字通り目が覚めたエセルを始め、どのキャラクターも良かったのだけれど、中でもオズワルドが別格なほどに良かった。
決してお綺麗な心を持った良い攻めではありません。
好みは分かれそうですし、良い意味ですごく人間臭い人だと思います。
なんでしょうかねえ。中盤・終盤の彼の中で渦巻く複雑でまとまりのない感情に終始やられっぱなしでした。
こういう完璧さがない人って妙に目が離せなくて。
相反する感情のすべてをエセルに抱いてしまうなんて、それはもう…ですよね。

ファンタジーとしても、内政ものとしても、逆転ものとしても抜群の面白さ。
シリアスさもBL加減もちょうど良く、個人的にはこれ以上ないほどヒットした作品でした。

2

素晴らしい作品との出会いに感謝!

よく談話室で紹介されていて気になっていた作品。ようやく読みました。先生の作品は初読みとなります。
422ページと長い作品ですが、あまりの面白さにあっという間に読了しました!
前知識少なめの方が楽しめると思います。ネタバレ少なめでレビューします。


読み始めは、エセル王太子(受)のダメダメさに驚きました。ここまでダメな主人公は初めてというくらい。エセルが心酔するオズワルド(攻)も、腹に一物ある感じで胡散臭い。

そんなポンコツなエセルが、謎の老人から、過去、現在、未来の真実を見せられる辺りから、物語が俄然面白くなっていきます。
ここからはもう、本当にストーリーが面白くて目が離せなくなり、どんどん読み進みました!

表紙から抱いていたイメージは、ファンタジーラブロマンスという感じなのかな、と勝手に想像してたのですが、とんでもなかったです。
とにかくBLよりもまず、エセルの成長物語がメインなんですね。
エセルが老人に見せられた、悲惨な未来を回避するために奮闘していく。それが最高に面白くて、エセルが格好よくて、時にはスカッとします!

もちろんBLの方も、少しずつ進んでいきます。オズワルドがまた、外見は最高に男前ですが、腹黒くてひねくれていて、エセルへの感情も愛憎入り混じって、複雑というか何というか…。途中、これほんとにBLになっていくのかしら、とちょっとハラハラしましたw
でも時々攻め視点となって、明かされるオズワルドの本音からは、斜に構えながらもエセルへの執着を感じられるのが、なかなかに良きでした。

そして終盤、ドラマチックな展開!
最高に面白く、そして最後には胸が震えるような展開が待っています!
愛の告白やそれに続く濡れ場は、とうとう!と感無量でしたし、二人のロマンチックなやり取りに、胸が熱くなりました。

電子限定SSは、エセルの参謀マルジン視点の「ある家庭教師の決意」。エセルとオズワルドが結ばれた翌朝のお話。これが短いけどめちゃくちゃ面白くて萌えました♡ マルジンはちょっと可哀想だけどもw

読後は素晴らしい物語の余韻に、胸がいっぱいになりました。
こんなに素敵な作品に出会えて嬉しい!
大好きな作品がまた一つ増えました。
先生の他の作品も、ぜひ読んでみたいと思います♪

シーモアにてSS付き電子限定版購入

3

厚い本ですが、スラスラ読めました

最初、王子の性格の悪さが「気難しい」どころじゃなくてどうしようかと思いましたが、わりと早めにターニングポイントが来て助かりました。
謎の老人に見せられた最悪な未来を回避するために奔走する王子。
身近な人々への接し方を改める姿は好感が持てました。(庭師たちとのエピソードが好きです)
恋愛面は、すれ違い両片想いな状況が長く少し切なかったです。
物語の主軸は政治的な奔走で、先が気になってスラスラ読めました。

脇役ですが学者のマルジンが、いいキャラしていて好きです。
スピンオフとか、今後読めたら嬉しいな~と思いますが、本作がとても綺麗な終わり方をしているので、ないですかね…。

3

序盤の主人公がきついけど大丈夫!

主人公の王子が気難しい通り越して性格が悪すぎて、序盤の150Pくらいで挫折しそうになりました。そこを乗り越えると、なぜ王子がそんな酷い性格になったのかが解明されて、王子の周りも動き出して変化していくので、引き込まれるように一気に読了しました!
序盤の嫌な感じが長すぎじゃねって思いましたがそれも物語のエッセンスでした。谷深ければ山は高いようです。
攻めの執着も萌えました^ ^

3

複雑なのにするする読める

何重にもかけられた仕掛けがパズルのように解けていく感じがすごく好きでした。この作家様、他の作品ではサラッと終わっていたのでこれからもこの感じで書いて欲しい!

2

めっちゃ好みで面白かったです\( ´ω` )/

電子にのみついていたSSまで読みたくて電子で購入したのですけど、なかなか手が出ず。
でも、読み出したら一気読みでした!
とっても面白くて、ドキドキも萌えもたまらなかったです(≧∇≦)


受け様は王太子のエセル。
攻め様のエセルの近習の子爵オズワルド。

わがままで癇癪持ちのボンクラ王子だったエセルが、不思議な老人により『真実を映す鏡』を見せられ、そこで見た、過去、現在の知らなかった真実、悲惨な未来に打ちのめされる。

未来を変える為、反省してそこから動き出すエセルがカッコいい。
こんなにも清廉で高潔で賢いなんて。
これが本来のエセルなのだなぁ。

そして、実は腹黒で野心家のオズワルド。
エセルのことは、出世の道具としか思ってなくて。
エセルの本当の姿を見て慌てる姿には、攻めざまぁな気持ちで、せせら笑ってやりました。
参謀のマルジンから「あなたは気づかなかったのか」と断罪された時は、めっちゃスッキリ!
マルジン、よく言ってくれた(^^)/
そしてまぁ、拗らせてることよ(;^-^)

最後、どう決着するのか、最後までハラハラドキドキでした。
LOVEの方も最後の最後でようやっと(*´ω`*)
オズワルドの気持ちを信じられないエセル。
そんなエセルを仕方ないと苦く笑うしかないオズワルドに、またまたざまぁ(°⊿°`)と思いつつ、オズワルドの強い執着心にニヤニヤでした(*´∀`*)


電子のSSはマルジン視点での、エセルとオズワルドが結ばれた翌朝のお話。
彼もやっぱりいい人でした。

紙の方が好きだけど、このSSの為に電子を購入して正解でした(≧∇≦)

2

下剋上サクセスストーリー

いやーーー!素晴らしい作品に胸が熱くなりました。高評価も納得。
小中先生は天才じゃないかなと。
ストーリーがどうとか…じゃないんです。全方位にパーフェクトで完璧です。

バカで愚鈍な王子が、自分の未来・国の未来・大事な人たちの未来を危惧して、心を入れ替えて国を変えようと頑張る物語。

「寓話」とタイトルにあるように、作風はおとぎ話めいています。
王子が自分の置かれた現状を知る術になったのは、謎の老人に見せられた不思議な鏡。この鏡が見せた、過去・現在・未来が、王子であるエセルにとっていかに残酷なものだったかを教えますが、これこそが彼を未来の善王たる道に変貌させていくきっかけとなります。

この鏡を見たあとの、エセルの180度転換ぶりはすごいです。ワクワクの期待感しかない。

王子ではあるけど、周囲の人たちに蔑まれ、疎まれてきたエセルの下剋上的サクセスストーリーに、読むテンションがどんどん右肩上がりです。厳密な下剋上の意味的には合わないけど、でもそんなイメージなんですよ。みんなにバカにされてきた愚鈍王子の覚醒……ゾクゾクしました。

BLパートでは、想い人であるオズワルドにも馬鹿にされてきたエセルが、オズワルドに情欲を向けなくなった途端、オズワルドが慌てふためく様子が最高に気持ちいい!まさに「攻めザマァ」展開でした。

素晴らしい王子に変身を遂げたエセルの、王子としての仕事ぶり、引いては国を滅亡に導く悪き者たちの暴露・制裁、味方を作るべく根回しに奔走する様子は、とてつもなく高揚感を覚えました。これは文字で説明するより、一度読んで欲しいです。この素晴らしいサクセスストーリーは、口伝えでは言い表せません。

最後の見せ場。父である王との対峙となった「円卓会議」。
これはすごかった。。。
半沢直樹さながらの悪の暴露となりました。
悪の罪は暴かれ、明るい未来への道筋が開かれた最高のシーンでした。BLであることを忘れて、手に汗握る白熱バトルに胸が滾りました。

オズワルドとの関係も攻めザマァ展開から、少しずつ少しずつ良い方向に向かっているんですよね。オズワルドもエセルも、お互いがお互いに嫌われている存在だろう…と思っているところからなので、心から求め合える存在となった2人には嬉しさしかありませんでした。

2人が運命の相手であることが明白なのは、物語を読めば分かります。この伏線がとんでもなくすごい。恐ろしくドラマチックな展開なので、うおぉ〜!!(驚)となりました。


色んな情報が、複雑でありながら且つ整然と構築されてる完璧な物語。小中先生の筆の魔法にすっかり魅了されてしまいました^ ^
品のない言葉で失礼しますが…マジでスゲーー作品です!
キャラクターや物語の進み具合、BLエッセンス、ストーリーの抑揚も全てが素晴らしかったです。おとぎ話っぽい雰囲気も、私の大好きポイントでした。

何度も読み返したくなる素晴らしい物語。
もちろん神評価ですが、もっとその上の評価称号を与えたくなる程の名作だと思いました。

2

このタッグの凄さと言ったら!!

もう皆さんが書いておられるので、今さら私が何を…とも思ったのですが、感動にうち震え、これを誰かに話したい!と思ってしまった次第です。
小中先生の大ファンになり、ただ今古いのから新しいの迄を追っ掛け中です。

現代物から王国物まで全てを網羅され、心を激しく揺さぶって下さる小中先生。
今回は笠井あゆみ先生とタッグを組まれ、否が応にも燃え上がる!!
表紙から1ページ目で既に耽美で、この世の物とは思えない美しい王子の王国へと誘われます。
そしてこの「美しい王子(受け)」がもぉなんとも、どーしよーもないダメな王子で。読んでいていつまで続くの?コレ??と心を痛め…。
はい、もうここで小中マジックにすっかり絡め取られているのですよね!
ここからもうエンジン全開っ。
何もかもおっぽり出して読み耽ってしまいました。

あとがきに「私史上、最長になりました」と。
え??
そうなの???
全く感じませんでしたけど?
私は電子のSSが読みたかったので、長さの感覚が最初から判らず。
本だったら分厚さとか、後どのくらいで終わっちゃう、となるので、これが電子の良さだなぁとしみじみ。

最後のページを読み終わった時なんて、この二人に思いを馳せ、じーんと涙ぐんでしまいました。

今回も小中先生お得意の「すれ違い」「(多分 きっと)両片想い」で、いつはだいたい攻めの心情がラストまで吐露出来ず、最後の最後でやっと私達の気持ちが受け以上に「はぁ~~~、もっと早く聞かせておくれぇぇぇぇ」と悶える所なのですが、今回は珍しく攻め視点も多くあります。勿論ハッキリと吐露してくれてる訳では無いのですが、あぁあぁ両片想いねぇと判る事が出来、とても気持ち良かったです♡。
ただ攻めが無理やり自分のこの想いをそーじゃないんだ!と自分自身に無理やり納得させる辺り、何回「アンタ、それ愛してんのよ!いい加減認めんかーい!」とめちゃくそカッコいい攻めに何回突っ込んだか 笑笑。
この主役の二人に、家庭教師&参謀(先生曰く脇役 笑)のマルジンもとても良い役どころでした。
そして電子限定のSSにはこのマルジンの語りです。
最初は「え?!マルジン??」と思ったのですが、これがもうサイコーでした。
だってぇ、最後の最後にやっと結ばれた二人の翌朝がえがかれているのですよぉーーーーー!!!
ハァハァ(*´Д`*)つい興奮してしまいました。

もっともっと長くてもヘーキのへーです。
やはり小中先生最高です。
笠井あゆみ先生のイラストだと、小中作品もこうなるんだ!
どっちもスゲェパワーだゼ!
と、まだ感動にうち震えております。
本当に今回もありがとうございました。

1

面白くて一気読み!

読み始めは攻めのオズワルドも受けのエセルも性格悪くてどうなることかと思いましたが、受けのエセルが鏡で真実を知ることにより心を入れ替えてからは面白くなっていきました。

真実を知ったセシルはそれまでラブラブだと思っていたオズワルドの本心を知ってしまい、どんどんすれ違っていく様子が切なくてそれでいてオズワルドの野心溢れる心理描写にゾクゾクしました。

また派閥争いや嫉妬で足の引っ張り合いをしたり、罪のない人が死刑になってしまったりといった描写がかなりリアルで面白かったです。

登場人物が多いですが読みやすい文章と分かりやすい説明でスラスラ理解できました。

2

楽しかったー(^o^)

読んでいる時間がとても楽しかった。
よくあるファンタジーの、魔法も特殊能力もモンスターや妖精や物言う獣などはでてきません。ひとつだけ、過去から未来までを見せてくれる鏡に出くわすだけ。
それについても誰が、どうして、の追求は極さらりとしたもので、読後に自由に想像出来るこの余韻が、とても良い時間。すてきな「寓話」・・・
主人公の改心、相手方の改心、それぞれに共感できるし、その他の登場人物、話の内容、展開、もんくなしに面白かった。

挿絵がちょっと私のイメージとは合ってなかったかな?
私のマルジンは憂鬱の雨宮で脳内再生されていたので、イラストに出てくる度、誰?ってなってびっくりした。

1

一気に読んでしまった…!

作家様買いです。
おとぎ話のようなお話で、一気に引き込まれて最後まで読みました。

エセルというルスキニア王国の王太子がいるのですが
その王太子がわがまま放題ですごいんですよ。
エセルは孤独で、そんなエセルの味方は子爵のオズワルドだけで
エセルも可哀想っちゃ可哀想なんですね。

そんなわがまま放題のエセルは
ある日謎めいた老人に過去、現在、未来が見える鏡を見せられます。
そのことで、実は味方だと思っていたオズワルドが自分のことをとても嫌っていることを知ります。
そしてー…。


ほんとにすっごく面白かったです!
シリアスなのかと思いきや、そこまでシリアスでもなく
変わろうとするエセルに動揺するオズワルドが面白かったです。
ある意味での攻めザマァだなぁと思いながら読んでいました。

オズワルドはオズワルドでかなり歪んでいるので
個人的にはマルジンに頑張ってもらいたかったのですが
エセルはオズワルドじゃないとダメなんですよね。
なんか切なくなりました。
自分を嫌いだと言っている相手を好きって辛いなぁって。

エセルはオズワルドのことが好きなのに
「相手がどんな女か知らないが、お前がどうしても妻にしたいと言うなら、僕も後押しする」って言うんですよ。
今までのエセルなら泣きわめいて絶対許さないはずなのに。

ここでエセルの底なしのオズワルドへの愛を感じて
とてつもなく辛く、とてつもなく愛おしい気持ちになりました。
まぁもちろんオズワルドの願いは全然違ったのですが…(*´▽`*)



エロがほとんどなく、最後の最後に1回だけなのですが
そこでやっと結ばれた…!と感無量になりました。
素敵なおとぎ話のようなお話を読めてほんとによかったです。

0

今年1番のファンタジー

タイトルの通り、今年1番のファンタジーに出会ってしまったかもしれません。
今年まだ始まって半分しか経ってないんですけれども笑
すっごく分厚い!なのにあっという間!
もう、とてもとても面白かったです。

正直な話、笠井先生のイラストが特徴的過ぎて、いままで笠井先生がイラストを手がけた他の作品を読んだことがありませんでした。
そういうことが多々あって、テクノサマタ先生、竹美家らら先生、青石ももこ先生なんかの人気イラストレーター様が挿絵をされた作品も今までは読めず。
しかしながら面白いことに、どのイラストレーターさんが挿絵をされた作品も、1つ手を出してしまうと、物凄くその良さにハマってしまって、他の作品も読みたい、作家さんとイラストレーターさんが同じタッグになった違う作品を探したい、ってなっちゃうんですよね。
これぞプロの技なんでしょうか。
もちろん小説は内容も重要なんですけれど、笠井先生の独特の絵柄にも早速ハマってしまいまして、違う作品も続々と購入しています。まんまとやられるこの心地良さといったら…笑

さて前置きが長くなりましたが、この作品は噂の通り、癇癪持ちでわがままで横暴な王子のエセルが主人公で、どの方もそのイラつく性格に耐えられるか、と戦々恐々しているものと思われます。
ですが、我慢も50ページくらいまでです。
それに、後からエセルがどんな成長を遂げるのか、攻めのオズワルドの人となりは本当はどんな感じなのか、2人のやりとりはどう進むのか、そういう違う部分も気になるので、そんなに苦しくなく読み進められると思います。

お話は皆さん言っているようにテンプレなのかな。けれど私は飽きもせず中だるみもせず、すっごく心地よく読み終えられました。
さらさらっと進むんですよ。小中先生の良さですよね。
でも、さらさらっと進むのに全然物足りなくないんです。
物語の起承転結は申し分ないし、そしてなんと言ってもオズワルド。
そしてエセル、さらにはマルジン。
いや〜〜キャラが良い。
読みながら、まさにキュンキュンするとはこのことだ!!!と何度思ったことか。

終盤、オズワルドの言葉に、
「あなたのお傍に、誰よりも近くにいることをお許し願いたい」
というのがあるんですが、そんな甘い言葉を囁いているのに、なんとカラっとした空気よ。
もう好きなのに全然伝わってないじゃん。というところがまたキュンポイント。
そしてその後に続く猛烈な睦言の嵐…
「俺が隣にいるのが鬱陶しくて耐えきれなくなったら、あなたは俺の首を刎ねたらいい」
「あなたの隣に誰か別の奴が立つのを見るくらいなら、死んだ方がましだ」

重いよ!!!(好き!!!!!)

とんでもないよこの男は…
とんだ皮肉屋で腹黒で人間らしく性格も悪い。ひねくれていて、簡単には心を開かない。
そんなオズワルドが、どうしてもどうあってでも手に入れて掻き乱して陥落させたいと望んだのがエセルであって、その感情や態度がまたもう一途すぎて、不器用すぎて、その執着心や、捨てきれない愛情が終盤の愛の告白に繋がっているのかと思うと。

悶えキュンで死んじゃうよ〜〜〜笑

愛の告白としか言いようがない皮肉めいた言葉の数々に結局のたうち回りました。

そしてマルジン…!!!
何この人もおおおお…
こういう、頭が良くて、独特の空気を醸し出した当て馬が大好きなんです…
人に懐かなず、独自のペースで自分の世界を酷く大事にしているような雰囲気の癖して、エセルのことがほんとに大好き。大好きというより、愛おしい、という方がしっくり来る気がしますが。
また、マルジンとオズワルドの言葉の応酬も好きでした。嫌いあってるのに認めあってる。エセルを中心として、お互いが欠かせない存在だと、言わずもがな信じきってる。そういう関係性。大好きです……エセルのことどんだけ大事に思ってるんだろうって思ったら、キュンキュンしすぎて…
本当にもう、久しぶりにこんなにキュンキュンしましたよ…

最後の余韻のある終わり方も良かったですね。

本音を言えばマルジンの話が読みたいんです。
すっっっごく読みたいです。
先生、スピンオフ書いてくださらないでしょうか……

4

甘ったれ我儘王子の成長&奮闘劇

細かい内容は書きません。
ストーリーとキャラの設定をざっくりと、、

ファンタジーですが、魔法とか妖精とか出てくるようなポップなものでなく、腐敗した君主政を改革すべく知略策略をめぐらせ合う、割りとドロドロした王宮ものです。
ストーリーはこの政治的なあれこれが肉厚で、終盤まではBL的な要素は根底にはありつつも、前面に出てくることが少ないです。でも話がめちゃくちゃ面白くてそんなこと気にもならなかったです。

エセルは相当ひどいダメ王子で登場するので、これは一体どうなることか、、と思いましたが、国を変えると決意してからの成長は目覚ましく、すぐ好きになりました。
王宮ものらしく誰が敵か味方かわからない状態で慎重に動くジリジリ感や、今までの遅れを取り戻すように成長していくエセル、少しずつ味方が増えていく様、政治的な知略バトルが丁寧に描かれていて、めちゃめちゃ引き込まれました。一気読みしちゃいました。

オズワルトの情報が少ない(男前、腹黒しかない 笑)のでちょっとだけ補足しておこう。。賢く努力家・野心家で、自らの野望のために行動する二面性もちで、地の性格は悪め。エセルへのちょっとこじらせた思いと執着があり、なんと言うか難儀な男です 笑

あとは、エセルの味方として出てくる主要キャラ(男)がとても良いです。彼とエセルのやりとり、また彼とオズワルトのやりとりが、シリアスでギスギスしたストーリーを少し和やかにしてくれます。

なんと表現したらいいか、、すごくしっかり最後まで描かれるので、読後も読みきった感があってスッキリでした。がっつりストーリー読みたい方にオススメです!

3

大好きな内政もの

とても面白かった。
傲慢で愚かな王太子受けの内政BL。
いつもイライラしていて使用人にも当たり散らすし、手の付けられない引きこもりニート王子が受け。そして攻めはそんな受けを可愛がって甘やかしてヨイショして出世街道を走る野心家。

序盤はろくでもない結末しか見えない酷い有り様なんですけど、そこからの立て直し劇がとても面白い。意図的に沢山の目隠しや妨害を受けて育ってきた受けが本来の聡明さを開花させていく様子にワクワクする。もう1人の重要人物である受けの家庭教師役が受けの才能に気付くシーンとか最高だった。ここの二人の関係性も好き。攻めだけしかいなかった世界に友人という枠が増えてとても楽しそうだった。

そして攻めの複雑な激重感情が最高。愛だけではなく憎しみや羨望、執着などドロドロした感情も含めて全てが受けに向かっている。受けの事で頭がいっぱいな攻めに対して、攻めに何の感情もなさそうにみえる受けに、いっそ憎んでくれ…とさえ言っちゃうシーンがお気に入り。知らない間に別の男(家庭教師)を連れ込んでいたり、王太子として1人で歩み始める受けの姿を見て今までの余裕が崩れ去る様子も楽しくて最高でした。立場が逆転して攻めが追いかける側になるお話が大好き。

7

王道の面白さ!

小中大豆さんの初めて読んだ作品がファンタジーの可愛いお話で、濡れ場は少ないけれど凄く好みで楽しめたのですが、次に買ったのがレビューの高かった現代のお話。そちらは自分の好みに合わずに途中で挫折してしまい暫く小中大豆さんの本は買わなかったのですが、今回の作品はランキングにずっと載っていて評価も高くしかもファンタジー……少し迷ったのですが買ってページを捲れば止まらぬ面白さ! 400ページあるのですが長さや退屈感をまったく抱かさせません。ストーリーは(言い方が悪いですが)ファンタジーのなろう系作品のテンプレートでよく見る使い古された設定なのに面白いんです。書き手とキャラクターの性格で、ここまで印象が変わるんですね。
主人公のエセルは顔だけは美しい我儘で癇癪持ちの王太子……1ページ目から暴言と暴力。正直、とんでもない受けだなと思いましたが、ページを進めていくうちにエセルの育ってきた環境ゆえに彼があんな性格になってしまった理由がわかり、段々と可愛く思えてきて……というか、エセル自身もある経験を得て、彼も変わったのですが。とにかく、我儘でどうしようもない暴君だったエセルが健気になるんです。その過程やエセルの心情も違和感を感じさせないのは流石だと思いました。そして攻めのオズワルド。こちらもエセルに負けず劣らずのどうしようもないキャラでした。腹黒な野心家で、エセルには機嫌を取る為に笑顔を向けて賛美しているけれど、本心では“バカ王子”や“醜い”とこき下ろしています。物語が始まった時に最底辺だったオズワルドのエセルへの好感度が上がっていく様子など、ページを捲り続けていました。
なろう系設定は嫌いだけどファンタジーは好きという方は読んでみて損はないと思います。時間を忘れるくらいにのめり込みました。
評価を神ではなく萌2にしたのは、やはりストーリーが読めてしまったことです……。こればかりは片っ端から色々なものを読んできた自分のせいなのですが……。エセルが街へと向かったあたりは同じようなくだりを何度も何度も読んできたので……。ですが、エセルがこれから成す事を考えると省けないシーンなので仕方がないですね。

色々と書き連ねてきましたが、『面白かった!』のひと言に尽きます。キャラクターが魅力的で面白かったです!!

3

これは一気読みしてしまう

主人公(受け)のエセルが人生の再起を賭けた物語にBLエッセンスが含まれている感じですが、それが絶妙なバランスでまとまった素敵な一冊でした。
(恋愛重視の作品もいいけど、こういうしっかりとしたストーリーの本があるとBL小説を読んでて良かったなーと思えます。個人的に)

最近では転生して人生をやり直す作品がBLに限らず多いですが、こちらの作品は、きっかけは転生モノに近いけれど、しっかりと過去を反省して、いま現在生きている時代を必死に生き直そうとするところに好感が持てました。(何か一つでも大きな失敗をしてしまうとすぐに人生終わりのジャッジを下してしまう現代において、この作品はアンチテーゼにも感じられるのは深読みしすぎでしょうか)

どのキャラクターも素敵なのですが、特に攻めのオズワルドの心理がとても複雑かつ魅力的に描かれています。憎めないキャラなんですよ。
エセルとのすれ違いに終始切なくなりますが、終盤の告白シーンは圧巻で読了後の満足感がすごく高かったです。文句なしの神です。

16

攻め(オズワルド)が秀逸

最近、BL小説界ではファンタジーが大流行で、私としては若干食傷気味だったんですが、こちらはお話の運び方から何から大変面白かったです。
「就寝前にちょっとだけ」と読むのはお勧めしません。きっと止まらなくなって、次の日、大変な目にあいます。

私が特に面白いと思ったのはオズワルドのキャラクター。
貴公子然としているのにぜんぜん貴公子ではない。
いかにも悪人なのに全く悪人ではない。
おまけに、貴公子を装っている訳でもなく偽悪者という訳でもない。
でも本来、人ってこんなもんじゃなかろうかと思う訳です。周りの状況にあわせて変化していて、白黒はっきりしている訳じゃない。

そしてこのオズワルドが抱く『気持ち』もはっきりしないものなんですね。
自分に依存するエセルを軽蔑しているのにいざ離れられてしまうと焦り、どんなに自堕落生活をしても咎められないエセルを激しく憎みながらも同じくらいの強さで愛してしまう……この複雑さ、そして人間臭さにクラクラしちゃいました。

こんな風になっちゃったのは、エセル同様、オズワルドも親に愛されない子どもであったからだっていうのがね……エセルっていうのは『もう一人の自分』なんだろうな。だからこそ、お話の後半部でのエセルの『変身』と言ってもかまわないほどの立ち直りは、オズワルドを激しく感動させたと思うのですよ。

私、個人的にはこのお話を『攻めザマァ』だとは思わないんです。
意識していなかったから自分では気づいていなかったけれど、エセルが自分の運命を引き受け、なおかつ世界に立ち向かうことは、オズワルドの『叶わぬと思っていた夢』みたいなもんだったんじゃないのかなぁ。
ひどい目に合って反省するのとはちょっと違う。
彼はとんでもない喜びを手にしたんだと思うんですよね。

24

最後に一度だけあるベッドシーンでの会話に爆萌!!

読む手が止まらず、最後まで一気読みしてしまいました。
電子なんで、本の厚みが実際わからないため購入して開いてから、うお!400P以上ある!と気づいた次第で。

なんというか、骨太な話でした。
単にBがLしてるだけのお話ではなかったです。


オズワルドの属性が「腹黒」とあったので、読む前はエセルを周囲から孤立させて囲い込む系なのかと思ってたんだけど、全然違うんですよ。
オズワルドは、エセルのことなんかこれっぽっちも好きではないの。
それどころか心の中では見下げてるし、立身出世するための踏み台でしかない。

ある日、エセルが不思議な老人から見せられたのは、過去の真実、そして今、それから訪れる悲惨な未来。
それによりオズワルドの本音を知ってしまい、愕然とするエセル。
そこからお話は大きく動き出すんだけど、オズワルドへの想いとかひとまず置いておいて……という感じになるんですよね。
だって、正直惚れた腫れたやってるような状況ではなく、やがて国が滅亡するか否かという崖っぷちだから。

そこからのエセルは、ただただ素晴らしい。
ブラボー。

なんか、エセルが置かれてきた状況が、改めて本当に不憫で。
幼い頃から食事は一人でポツンだったエセルの状況とか泣けてくるし、オズワルドが側にいてくれるようになったらそりゃ必死で追うよねと。
だって普通なら、無条件に抱っこ抱っこ抱っこぉぉぉ!!の時期だもの。

で、オズワルドの心中がこれまた複雑。
最初はひたすら憎しみでしかないような感じなんだけど、読んでいるとそれは憎しみなのか愛なのか判別できないというのかな。

最後に一度だけあるベッドシーンでの会話に唸らせられましたね。
萌えすぎて死にそうです。
まずそれまで一応ですます言葉だったオズワルドが自嘲のあまり「‥‥なあ、笑えよ」と言葉遣いが変わったところにキュキューン。(私だけ?)

そして最後の最後に「エセル。愛している。あなたが俺のすべてだ」というところが、本当に本当に本当に良くて。

というのも、ベットシーンだというのに「大嫌いだ」からスタートし、もっと甘い言葉をとエセルに泣かれて「愛してる」と言うものの「愛だなんて言葉だけでは言い表せない」と言い始め「俺の心のすべての感情があなたに向けられてる、愛憎、好悪、嫉妬、羨望、執着」などとごちゃごちゃ言うわけです。
でも、このごちゃごちゃ言ってる内容が凄まじくて萌える。

そういった複雑な感情や言葉全てが積み重ねられてきたうえで到達した「愛している」「あなたが俺のすべて」なんですよ。

「エセルに対する想いについて」をオズワルドに書かせたら多分凶器になりそうな分厚い本が完成すると思うし、そういった複雑な感情をオズワルドも持て余しぎみだったと思うんです。
そんな彼が、最後の最後に「愛している」というシンプルな言葉を使うに至った。
ここが、きたーーー!!!!!って絶叫したくなったし、「あなたが俺のすべて」というのも真実だなーと思えて。
これらの「愛している」と「あなたが俺のすべて」の重みが凄まじいとこが好き。

それに、それまでコイツ一筋縄じゃいかねーな!って感じだったオズワルドが初めて見せる「幸福そうな笑顔」ってやつにも、「最後まで……私のものにしていいのか」とオズオズしちゃうところにも、キュンとさせられちゃったわ。
くっそー!と思いながらも。

そして最後のしめくくりが凄く良かったですね。
他作家さんで申し訳ないのですが貫井ひつじさんの「狼殿下と身代わりの黒猫恋妻」の最後のたった一文なんですが、ここがとても好きで、こういう生涯を後世の語り手によって締めくくられているようなお話もっと読みたいなーと思っていたところだったので、嬉しかったです。


そしてマルジン……。

一瞬、もしかしたらエドワードと?と思ったけど、「エドワードの子孫たちが」とあったので、エドワードは妃を持ったんだなと。
で、電子の特典SSは、「ある家庭教師の決意」で、マルジン視点なんですね。
その最後に「生涯エセルに仕えた。エセルよりもオズワルドよりも長く生きて、代々の王太子の家庭教師を務め、やがて王となった彼らを〜」とあるんだけど、どんだけ長生きしたのマルジン……。
だってエセル達も早逝したわけではないんですよね。
そして「代々の王太子&王となった彼ら」ということは、エドワードの次の次くらいまでは面倒を見たってことでしょ?
そこにはマルジン本人や周囲もあずかり知らぬ何らかの呪術がかかってるのかしら??


24

一気読み!

小中先生と笠井先生のタッグで期待は大きかったんですが、その期待を遥かに超えてました。面白くて一気読み!
エセルの第一印象が周りにチヤホヤされた我儘なガキ、だけどちゃんと罪悪感は持ってるし疑問にも思ってて可哀想でした。
彼が転換期を迎え、苦しみながらも自分の罪を受け入れて前に進むと応援したくなりました。謙虚で聡明、そんな彼だからあのどん底から周りの信頼を得られるようになったと思います。
味方を増やし、状況を好転させたシーンは爽快でした。転換期からずっと自責の念と不安を抱えていたエセルの重りも少しは軽くなったかなと。
オズワルドはエセルにコンプレックスと幼い頃の自分を重ねていたのかな。庇護し利用する筈だったエセルの成長に焦り、嫉妬し、愛を乞う姿は溜飲が下がりました。
そんなオズワルドが愛を乞うシーンが印象的、およそ愛を乞う言動ではないけどそれだけエセルに複雑で強い気持ちがあったんだなぁと。対するエセルが素直で可愛かったです。
屈折した2人愛も、国の再建物語としても重厚で面白かった。

19

徹夜して読んでしまった

読み始めた頃は、エセル王子があまりに嫌なやつすぎて感情移入ができず、これ最後まで読めるか?と怪訝な顔でページを捲りました。

ですが、起承転結の承の部分あたりから途端にストーリーが転がり出して、読む手が止まらなくなって、深夜0時から読み始めたものが現在朝の6時ですよ……。
この歳になって徹夜して本を読むなんて…。
寝る前にちょっと読んで寝ようかなって思ったら、とんだ大火傷みたいになっちゃいましたが、私は後悔していないです!!!!

今回はBLなんですけど、王太子による国家再建物語が主軸です。
BLじゃなくとも、楽しめる骨の太い内容でした。
ゼロどころかマイナスから始まる王太子国家再建計画は、徹夜して読んじゃうほど面白いです。
でも、BLとして、きちんと恋愛模様も押さえてて、王子の恋のお相手オズワルドともマイナススタートがどんどん引き付けられてくのがたまらない!!
最終的に面白いこと書いてて、最近流行りの溺愛とか執着とかそんなものを通り越して、「俺の心のすべての感情があなたに向けられている。愛憎、好悪、嫉妬、羨望、執着……すべてだ」ってすごくないですか?
読みながら、私の胸中では(心全部系BLじゃん。まさしく、愛じゃね?いやまてまて、愛じゃ片付けられんくね?クソデカ感情すぎん???)ってなりました。

小中大豆作品の中でも重厚めかもしれないです。小中先生ファンなら絶対買うことをおすすめします。
あ。あとあと、小中作品なので、刃傷沙汰はありますが、刃物出てきた時点でこれぞ!って感じして好きでした。やっぱ、小中作品は刃物でクライマックスを迎えてほしいですよ、私は。

堂々の1400ページで、ほんとねるねるね練るくらいには手が止まらないので、覚悟してページ開いてください。

26

美麗な挿絵の童話風BL

ダメ王子への教訓物語、シリアスファンタジー、ハッピーエンド
電子版公開が随分遅かった。
挿絵とマッチしたお伽話風BLだったので、手元に置きたい。紙版も買う予定。

twでの著者による作品紹介:
>自意識過剰ぼんくら王子は、イケメン側近にでろでろに甘やかされ依存中。
>そこに謎の爺さんが登場。
>王子を好き好き言ってる側近が、実はゲスいクズ野郎だと知り……というお話です。
>シリアスですが、拙著はすべてハッピーエンドで終わりますので、最後まで読んでいただけると嬉しい

・・電子版販売販売をじっと待って即購入。展開は、小中先生の呟き通りの構成。
側近の策略通りに王子は、見事に嫌われ者に育つ。
気難しいだけで、甘やかされて世間知らずの王も王子もちょろい、何も知らず、毒を長年盛られていた
謎の老人と出会い、未来を知って、王子は驚く。
王子は、大事なものにやっと気づけて、めでたし めでたし。

「寓話」と題するだけあって、人生の教訓要素も入ってる。
身近に居る、耳に優しい事ばかりいう奴には警戒すること。

笠井あゆみ先生のイラストが、いつもと違って外人の骨格を土台にして描いたらしく・・異人顔、綺麗で緻密な描写だけどちょっと怖い。

11

正統派ファンタジー

作家様がTwitterでシリアスなファンタジーと宣伝されていたので購入。着衣の笠井先生カバーなのも期待感を高めます。分厚っ!…いのですが例によって読みやすく想像しやすい文章なのでスイスイ読み進められました。

今作は攻めザマァっぽい流れで、攻めが立身出世のために主人公のわがまま王子を利用しまくってきたツケが自分に返ってきてヤキモキするという、設定的には美味しい展開でしたね〜。オズワルドが性格悪いです。攻めキャラとしてはアク強めですが、いかんせん受けに対して色んな思いをこじらせすぎているんですよね。相手を認めたいけど認めたくない。可愛いけど憎たらしい……男のプライドが窺い知れて、同性に向ける嫉妬は怖いなと。いや〜、ここまでくると、やっぱり好きと嫌い、愛と憎しみって、なんらか執着してるっていう意味では一緒の感情じゃない?って思えてきましたよ笑

オズワルドがあんなに側にいたのにエセルのことをよく見ていなかった過去を悔やむシーンにグッときました。本作は鏡がキーモチーフとなっているので、比喩的に使われていて意味深。おなじところでグッときた方、いらっしゃるかな…。オズワルドのセリフには重くて胸に刺さるもの、読者もハッとさせられるものが多くありました。

ホント、冒頭から読者を惹きつけるのが上手くて、先が気になってどんどん読んでしまうこと請け合いです。出来が悪いうえに学習意欲もなく、小姓だったオズワルドにべったりで救いようのないアホぼんだったエセル王太子。彼が一転眠れる才を開花させ、それまで蚊帳の外だった政治参画していく動機付けがめちゃめちゃファンタジーしてて、王道すぎて和みますよこれ。

ラブラブなラブストーリーを期待したらちょっと質が違うかもしれません。なんたってオズワルドがエセルに抱く愛憎まぜこぜな心情が屈折しまくっていてわかりづらい。そのお陰か?エセルの成長物語&王宮での地位奪還作戦の方にも集中することができるんですよね。当て馬的なマルジンの配置も上手いし、奇を衒った無駄な展開もなく、序盤から投げられた聖痕の謎も納得のいくように回収されて、美しく幕を閉じます。

最後まで読み終えたら、オズワルドの愛の深さがわかります。…彼はそういうふうにしか表現できない人なんだなァと思うと、とても愛おしく思えてきました。

13

一気読み必至

小中先生と笠井先生のタッグに惹かれて購入。400頁を超えるボリュームですが、サクサク読めます。他のレビュアー様が絶賛されている通り一気読み必至です。

冒頭ふわっとおとぎ話然とした印象で、攻も受もポンコツすぎて若干不安をおぼえました。が!ポンコツだった主人公が自分の果たすべき責任と役割に気づいて、どうにかせにゃーと、今まで休眠していた頭を使って行動を起こしはじめるところからは俄然面白くなって、陰謀渦巻く宮廷政治に攻受協力しあって立ち向かう展開は読み応えがありました。

受さんが覚醒するきっかけの”真実の鏡”。この場面で、あまりに一気に啓示がおりてくるので、ファンタジー不慣れな読者(私)は少し戸惑いましたが、当事者としてみる事実と、客観的にみる事実、”真実”って見る人の数だけあるもんだ…と考えさせられるものがありましたね。どうして改心するのかということより、改心してどう行動していったのかという過程がじっくり描かれていたので、2人の恋愛感情の変化がとてもわかりやすかった気がします。燃えさしレベルの恋愛感情が、受さんのポジティブな変化と、当て馬ってほどでもないけど、第三者の学者先生の影響によって攻さんの中で再燃する展開に萌えます。

皮肉屋で意地悪、でも受を溺愛してるハイスぺな攻・オズワルド、非常に好みです。好意は必ずしも綺麗な感情だけではないという描かれ方も真理だなと感じ入りました。エセルを庇って瀕死の重傷を負う彼が、”これでお前は俺を一生忘れないだろうな!”と見せる執着が最高。微・攻ザマァ?な攻受設定における小中節が健在で、これもまたよかったです。

扉絵の後ろのカラーイラストが学者先生(マルジン)のソロ!でびっくりしました。好きなキャラだったので、別エピの可能性があれば、もしかしたらそっちの方が好きかも…。(受かな~?)

最後に偽物だったアレが本物になる演出が、物語の全体にすごく効いてます。選ばれるのではなくて、自ら選ぶことで運命を切り開いた二人の無敵感と幸福感があふれるラストでした。

9

願うのは貴方の幸せな未来

今回は七侯の末席メルシア家の三男と
正妃を母に持ち薔薇の印をもつ王太子のお話です。 

我儘に育った受様が覗いた不幸な未来を変えるために、
生き方を変え、攻様とともに国を変える王となるまで。

受様はルスキニア国王の第三子にして
七侯家の筆頭ゴドウィン公爵家出の正妃が産んだ
唯一の子でもあります。

この国では政治の決議は国と七つの公爵家による
「円卓会議」で決しますが、七侯は王よりも力を持ち、
受様の父王は傀儡に等しく、会議も欠席しがちです。

受様は母方の後ろ盾に加えて
伝説の建国王と同じ薔薇の形の痣があり
祖父の強力な後押しで王太子となります。

建国王には彼を宰相として支えた側近がおり
国に災いが訪れるた時、2人は蘇り
再びこの地に降り立つと伝えられています。

薔薇の痣をもつ受様は
受様の祖父の代からの不作や失政で貧しさに喘ぐ
民にとって心のよりどころとなっていました。

そして現世には建国王の側近と同じ
刺草の痣を持つ青年も存在していました。
その青年こそ今回の攻様になります♪

攻様は七侯メルシア侯爵の三男です。
6年前まで受様の小姓を務め、成人して後は
王より爵位を賜り、国政に参加していますが

年々我儘で自堕落になる受様は
今の攻様には立身出世のための道具でしか
なくなっていました。

しかし、第二妃のみを愛す父王にも
王の愛を求める母にも愛されない受様は
攻様をいつでも死文と共にある運命の相手だと
信じていました。

ところがそんな受様を変える出来事が起こるのです。

受様は偶然から王家の霊廟で第二妃と七侯の1人が
密会している場に遭遇するという窮地に陥りますが、
謎の老人に助けられます。

彼は受様を霊廟の奥へと誘い、
「肝が小さい上に頭も固い哀れな王子」である受様に
1枚の銅鏡を指し示すのです。

これからこの鏡が、あなたに真実をお見せします。

そこで受様が知った真実とは驚くべきもので!?

建国の祖である王とその宰相の生まれ変わりとされる
受様と攻様を巡る王宮ファンタジーになります。

まず文庫にあるまじき厚さにびっくりでしたが
読み始めたら止まりませんでした。

受様が老人に見せれらた真実とは
受様が気づけなかった過去、意図的に巡らされた悪意、
攻様の野望と偽り、貧窮する民の姿、

愚鈍なままに王となった受様の最後、
最後の王として暴挙と化した民の犠牲となった義弟、
そんな王を見捨てられない攻様、
そして国そのものが亡くなってしまう未来でした。

受様は不幸でしかない未来を
大切な攻様達が幸せに生きる未来にすべく
たった1人で茨の道を開く覚悟をするのです。

誰一人味方のいない状況から
受様が奔走する姿に胸がつまりました。

そして変っていく受様を信じられず
我が道を生きながらも受様に離れられる事を
良しとしない攻様のジレンマがたまりません。

変っていこうとする受様を信じないくせに
受様を支えようとする人にイライラな攻様が
すごくMYツボで萌えさせて頂きました。

そして攻様を従えての円卓会議は
主要人物達の様々な想いと駆け引きが混ざり合い、
息つく暇のないほど怒涛の展開だったのに
最後の最後にまたもや爆弾が!!

圧巻の幕引きで最高に面白い1冊でした ヾ(≧▽≦)ノ

そして読み返してみると
さらっと読んだ台詞に伏線が隠れていたりと
さらに楽しませて頂きました。

9

絶対に読むべき作品です!

小中大豆先生の作品は、最近他レーベルの「旦那様と甘やか子守り浪漫譚」を読んだばかりでした。
あちらも面白かったですが、こちらの作品の方が断然面白かったです。

なんと言っても本の厚さに驚きました。でも、面白くて厚さはむしろご褒美とさえ思えてしまいました。読み終わりたくないという気持ちと、早く結末が知りたいと思うジレンマに陥ってしまいました。

小中大豆先生があとがきに書いていらっしゃる通りに「シリアスファンタジー」でした。

王子エセルの改心からの孤軍奮闘。何故、聡明だった王子が暗愚と言われるまで変わってしまったのか?がこのお話の肝なのですが、前半と中盤と終盤ではエセルへのイメージがグッと変わって来ると思います。

エセルの心情を思うと可哀想で、いじらしくて、思わず味方してしまうこと間違いなしです。

それに比べて攻のオズワルトですが、彼のイメージが良くなるのは終盤も終盤なので、このお話って「攻めザマァ」なのかしらと途中で心配になってしまいました。

でも安心して下さい。甘さは少ないですが、感動する事間違いなしです。
英雄王の伝説に翻弄された二人が、真実の愛に辿り着くまでの良質なファンタジー作品でした。真実の「運命」に感動する事間違いないと思いますので、絶対に読むべき一冊だと思います。

14

大作!オズワルドにはもう少しお灸を欲しいところ。

(努力+友情+勝利)×BL
本の厚さと序盤の王子エセルや、オズワルドとのやり取りに、最後まで読めるかしら…と心配でしたが一気読みでした!

すごいです!主人公たちと共にこちらまで国を立て直した気持ちになります。
もう読んでてエセルに泣けて泣けて。

詳しくは他のレビューに書いてあると思うので、自分の思ったことなど…。

エセルが霊廟の銅鏡を覗くところからは、もう本から離れられず、涙を拭いトイレもダッシュで夢中で読みました。

過去と現在と未来を見てしまったエセル。
ここからが良かったですね〜。出来ることを探してコツコツと。味方を探し心を入れ替え。素晴らしい王太子になっていき。

最後まで読むと、正直オズワルドと最後まで想いが通じなくてお互い片想いだと思ってても、それはそれで良かったかなあとも思いました。オズワルドにはもっともっと同じ年月エセルへの片想いに焦がれても良いんじゃないかな?と。オズワルドの想いが通じず、エセルには、また言ってるしと思われ続けるみたいな。

だっていくらどうしようもなくエセルのことで頭がいっぱいでも、してきたことは酷いですよ。良い意味でも悪い意味でも。確かにエセルの支えにはなってくれたけど、そう仕向けたり小姓として機能しなかったり。

オズワルドの本性を知っても、エセルが彼を引き立てて一蓮托生と一緒に頑張るのが、良い子で!
エセルが家庭教師という名の師として招いたマルジン。正直マルジンの方がよっぽど良いのに〜と思いました。
エセルが心を入れ替えると、逆にオズワルドが必死になったり皮肉や意地悪を言ったりも良かったですけどね。

もうラブ無くてもいいかも?エセルとオズワルドとマルジン達の国盗り合戦?ハラハラドキドキと達成感で胸がいっぱいです。

腕の痣。やはり二人は…。最後もいいですね!
マルジンが王の宮に泊まるのに薔薇が気に入ってると言うのは…!

これがゲームならマルジンルートも進めたのになあ。

14

あーちゃん2016

165さま、コメント失礼します!そうなんです!ゲームはしないんですけど、マルジンルート、楽しみたかったんです…そっと控えめになっちゃうところも良かったんですけどね♡ステキなキャラでしたね!

真実を受け入れ強くなる

伝説の王の生まれ変わりの証といわれる薔薇の聖痕を持つダメ王太子・エセル。
そんなダメ王太子が、国と自分自身を起死回生させる物語。

起死回生するという主軸のお話がめちゃくちゃ面白かったですし、エセルとオズワルドの恋も、すれ違いながら進展するところも同時に描かれています。

正直、最初ダメ王太子エセルの狼藉っぷりに引き気味でした、、、。
え、この主人公を私は好きになれるの?
この感じで話がすすむのきついかも、、、。
と不安でした。
それが40ページを過ぎたあたりから、だんだんと話が進み面白くなってきて、結局最後まで一気読みしてしまい、エセルを大好きになっていました。

何故それまで狼藉者だったエセルが変わるのか。
それは謎の老人から銅鏡に映る、目を背けたくなる真実を見せられたから。

今まで信じてきたもの、見てきたものは正しい事ではなかった事に気付かされてエセルは、変わろうと立ち上がります。
そんな辛い真実や現実を見ても立ち上がろうとするエセル、とても強くて素直な人だと思います。
すごく応援したくなっちゃうんです!

エセルの想い人・オズワルドは、自分の復讐や出世のためにエセルを利用して内心馬鹿にしていました。
ところが、真実を知り変化したエセルに動揺し、エセルに対する感情が分からなくなってしまいます。

そして想いがすれ違うのですが、お話が進むにつれエセルに対する感情の変化がみられます。
長年拗らせてしまっためんどくさい感情に、中々気づけないオズワルドですが、エセルの参謀・マルジンの存在もあり、徐々に自覚していきます。
なんだかんだエセルのために頑張っちゃって仕事のできるオズワルドも素敵でした。

エセルとオズワルドの恋も萌えで良いんですが
個人的にマルジンが好きでした。
天才マルジンがだんだんと人間くさくなり、お茶目なところとかほんと可愛いかったです。


お話はファンタジーなんですが
貴族や王族の贅沢により国民が貧困になるとか、革命を危惧しているところ等、史実にあるような出来事なので、
現実離れしすぎたファンタジーにならずに、ストーリーに入り込めたな、と思います。

とにかく面白かったです。

14

受けが好き

小中先生だし笠井先生だしマストバイ。たまらんかった。王たるものとはと泣きそうになるシリアスお話、本編440Pほど。仮想の中世ヨーロッパ、カタカナ名前が大丈夫で国の興亡話が好きな方はぜひぜひ。どっぷり浸れます。こういうの大好きなんで神にしました。電子、番外編付きだったら、絶対買おう。

ルスキニアの王太子エセルはいつも不機嫌。侍女たちに大概ひどいことをしていますが、建国王の生まれ変わりと言われる薔薇の形のあざを胸に持っているので、国民の心のよりどころとなっています。建国王に仕えた名相の生まれ変わりと言われる刺草の形のあざを持っているオズワルドも、エセルに良くしてくれていると思っていたのですが・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
マルジン・カレグ(受けの家庭教師)、アンナ(父王の側室)、エドワード(アンナの子)、オリバー(受けの専属騎士)、父王、フリーダ(父王の側室)、その他実権もつ貴族たち。マルジン、好き。(なんとカラー口絵にも登場しちゃうのだ!)

++好きだったところ

機嫌悪い超わがまま王子が、そうならされていた原因を取り除き、自分の周りの状況を冷静に把握したときの、絶望感。そこからの地道な這いあがり作戦。そこが良かった。

周りの策謀により無知な状態におかれた王太子。唯一心を許していたオズワルドの思いを知り孤立無援になったはずなのに、そこから「好きな人がひどい目にあう未来を回避しなくては」と頑張る。この王子、親からも十分愛されていなかったからか、自分のことを愛してくれる人、大好きな人のことをすごく大切に思うのです。昔侍女だったアンナ、兄と慕ってくれるエドワード、そして自分を蔑んでいるであろうオズワルドも。真実を知り、味方を少しずつ増やし、未来をなんとか変えていこうと足掻く姿がすごく胸にせまってきたんです。早めにマルジンが参入してくれたから孤独感が少し薄まったのも良かったでした。でないと苦しくてしんどすぎた。いやほんと善人。王たるべき素質が生まれながらにしてあるという方。

オズワルドは最初「感じ悪っっ」てところでしたが、だんだん複雑な彼の心境がわかってきて、マルジンときゃいきゃい言い合うところも良く、最後は本当に「あー良かった!」です。「一生かけて証明すれば」という彼のセリフが大好き。信じようって気になりますもん。

そうですね、攻めに惚れたというよりかは、受けの頑張りに涙し、敬服するお話でした。マルジンもいい味だしてましたし、エドワードは可愛いし、読み応えあるけどちょうどいい長さだし!国の興亡話は楽しい!(どうしても付け加えたい挿絵話!カラー口絵1枚目が超神です!金髪碧眼万歳!)

21

あーちゃん2016

165さま、こんばんは!コメントありがとうございます♡勝手にマルジンだと思ったのですが、違ったですかね…?と今更ドキドキしてます…
ま、イケメン万歳\(^o^)/ということでお許しくださいませ♡

165

あーちゃん2016様
はじめまして。165と申します。突然コメントして驚かせたらすみません。あーちゃん2016様のレビューを読んで、あ!口絵の二枚目はマルジンだったのか!と気が付きました。
うっかり素通りするところでした。書いてくれてありがとうございます!感謝の気持ちを伝えたくてコメントしました。

今年一番の神ファンタジーなるかも

まだ今年始まって2ヶ月しか経っていないが、自分の中で今年一番のファンタジー作品になる予感。

読み始めて、400頁以上ある鈍器本を一気読みした。
面白くて、本当に途中で読むことをやめられなかった。

まして、それが小中先生というのが、正直驚きだった。
先生の作品は、いつも可愛く、さくさく読めて、気持ちがほんわかするものが多い。
今回もそんな気持ちで読み始めたら、全然違った。
同一人物?と思ったぐらい、今までの作風と違い、このようなシリアスでサスペンス風で重めな切ない話を、読者を飽きさせない文章で描き切ったことに、先生の文才力と設定力のすごさに改めて感動したと共に、これほど素晴らしい作品を世に送り出してくださったことに感謝!

物語としては六青みつみ先生の『偽りの王子と黒鋼の騎士』と月夜先生の『雪原の月影』を1冊に凝縮させた作品だと思う。
良い意味で、この2作品の良いとこ取りで、上記2作品が好きな人は絶対に読むべき、そして満足度120%の作品だと思う。

素晴らしい作品。またもう絶対に手放したくない1冊が増えた。
そして小中先生の作品の中でも一番好きな作品になったかもしれない。

19

とにかくめちゃくちゃ面白ーーーい!!

甘やかされ、我が儘放題に育った愚かで傲慢な王子。
不思議な老人から「真実を写す鏡」を見せられます。
そこに写った恐ろしい未来とはー?

と言った、どこか童話を思わせるお話になります。

これね、大変美しく華やかな印象を受ける表紙ですが、内容としては結構シリアスだしハードなものなんですよ。
でも、めちゃくちゃ面白いんですよーーー!
や、400ページ超えとかなりのボリュームでありながら、あまりの面白さに一気読みしちゃって。
これ、ファンタジーとして傑作すぎる。
そして、主役二人のラブ部分が萌えすぎる!

もうさあ、山場ではブワッとこみ上げるものがありましたよ。
オチには鳥肌が立ちましたよ!
この作品、本当に凄い!!

ちなみにですね、あらすじや作者さんの作風等から、かなりダークなものを覚悟してたんですよね。
でもそんな予想は外れ、どちらかと言うと心踊らせてくれる痛快な冒険活劇の要素の方が強いんですよね。
シリアスだし重い部分はあるものの。
まぁそんな感じで、痛いのが苦手な方もぜひ読んでみて下さい。

内容です。
伝説の英雄王の生まれ変わりの証・薔薇の聖痕を持って生まれたエセル。
甘やかされ放題だった彼は、我が儘で癇癪持ちのどうしようもない王子に育ちます。
そんな彼が唯一心を許して愛を望むのが、かつての小姓で若き子爵であるオズワルド。
実はオズワルドですが、英雄王と共に国を救った偉人で伝説の宰相の生まれ変わりの証・刺草の聖痕を持つ者なんですね。
彼が運命の相手だと疑わず、睦言だけを耳に入れてやりたい放題、傍若無人にふるまう日々。
そんな中、エセルですが、突然現れた不思議な老人により悲惨な未来を見せられてー・・・と言うものになります。

えーと、こちらですね、繰り返しになるんですけど、とにかくストーリーがめちゃくちゃ面白いんですよ。
や、そもそもね、最初読んだ時、序盤の主人公があまりに酷くて、ドン引きしたんですよね。
こう、酒に溺れ、すぐ癇癪をおこし、周囲に当たり散らしてあまつさえ暴力を奮う・・・。
えっ?
これ、本当に小中先生が書いた受け?
てな具合に。

また、こちらも小中作品で一番と言っていいんじゃないかってくらいに攻めの性格が悪くてですね。
宰相の座を狙う野心バリバリのオズワルド。
彼は、エセルの本当は孤独な心につけ込み、彼の恋心を利用してのし上がろうとする。
こう、睦言を囁きながら、心の中ではコケにして見下げてって感じで。

エセルですけど、まぁ本当にダメ人間に思えるんですけど、そこは小中先生。
実はどこか憎めないんですよね。
侍女に癇癪を起こしていても、ただ引っ込みがつかなくなってるだけで本心では焦っていたり。
あと、そんな我が儘放題ではありながら、オズワルドへの思慕は一途で可愛いと言いますか。
こう、根っからの悪人とかでは無く、ただ単に何も教えられてない可哀想な子供なんだなぁと言う印象を受けるんですよね。

と、ここまでは、愚かな王子とそんな彼をいいように利用する周囲や攻めと言う、なんともほろ苦い展開。
が、ここからがこのお話の本当の面白さと言いますか、真骨頂と言いますか。

エセルですが、謎の老人によりこのままだと訪れる悲惨な未来ー。
自分は死に、国は崩壊し、宰相として最後まで国の為に尽くしたオズワルドと弟王子が殺される・・・。
それを知る。
そして、愚鈍でどうしようもないと思っていた。
そんな現在の自分が形成された、周囲の思惑を知る。

そこで、悲惨な未来を変えるべく、心を入れ換えて立ち上がる。

いや、主人公成長ものの側面もあると思うんですけど、ここからの彼の反撃だったり、腐敗した国の立て直し部分だったが、とにかく面白いんですよ。
こう、一人一人味方が増えてく様だったり、相手の裏をかこうと知略を巡らす様だったり。
もう、ワクワクさせてくれる。
またそんな中で、一途で思いやりがあって賢くてと言った、主人公の本来の姿が明らかになっていくのも胸がすくと言いますか。
どんどん魅力が増して行く主人公の姿に、惚れ惚れしちゃうと言いますか。

ちなみにこちら、しつこいですが、攻めの性格がめちゃくちゃ悪いです。
彼の内心と言うのはかなり複雑で、もう読んでると、愛と憎しみは紙一重なんだなぁと言う感想しか出てこない。
そう、彼の中で愛が勝ってるのか憎しみが勝ってるのか、今一分かりにくかったんですよね。
分かりにくかったんですけど、山場でようやくスッキリすると言うか。
こいつ、ただ単にめちゃくちゃひねくれてるだけじゃん!みたいな。
てか、実はかなりの執着系じゃね?と。
そして、アホだな!と。
もうね、こんな緊迫したシーンなのに、申し訳ないけど萌え転がっちゃいましたよ。
この後の「聖痕」のオチでは、グッときちゃいましたよ。
ああ、二人は真実、運命の相手だったんだなぁと。
胸にこみ上げるものがあると言うか。

と、そんな感じでとにかく素晴らしい作品でした。

ラストがですね、余韻の残るとても素敵なものなんですよね。
私はこういうラスト、ついついホロリときちゃうんですけど。
最後まで、本当に素晴らしかった。

31

ページを捲る手が止められない

作家買い。
小中さん×笠井さんという神タッグの作品で、発売前から楽しみに待っていました。
実際に手に取り、笠井さんの描かれた美麗表紙にうっとりし、そして今作品の厚さにびっくり!普通の小説の1.5倍ほどはあろうかという超大作。ページ数にして443ページ。

で。
この厚さをフルに生かした非常に濃厚なストーリーでした。さすが小中先生。
ページ数はあるのに一気に読んじゃう。最後の最後までハラハラドキドキしつつページを捲る手が止められませんでした。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






ルスキニア王国の王太子・エセルが主人公。
金髪に白い肌、見目麗しいビジュアルを持つ彼はさながら天使の様。側室を何人も持つ父(国王)ではあるが、エセルは正室の生んだ王子。しかも、母親も良家の出自ということで彼の立場は安泰なものだった。

が、彼の美貌も生母も関係なく、エセルは間違いなくルスキニア国の「王子」であった。それは彼の生まれつき持った身体に刻まれた痣によるものだった。

ルスキニア国には古い言い伝えがある。
国を建立した王がいた。その偉人の王には薔薇の花の痣があったのだと。そして王と共に国を興した側近には刺草の痣が。

エセルには胸元に薔薇の痣を持って生まれ、それ故にエセルは賢王の生まれ変わりだと言われ、彼が次期国王になることが子どもの時から決まったのだった。蝶よ花よと育てられたエセルは、その期待とは裏腹に我儘で怠惰な、そんな若き暴君と化していた。

そんなエセルにただ一人忠誠を誓ってくれているのは子爵のオズワルトだけだった。オズワルトは刺草の痣を持つもの。エセルはオズワルトと共にこの国を担っていくのだと信じ、彼だけを妄信的に信頼しているが―。

健気受けとか、薄幸受けはBL作品においてテッパンと言える存在ですが、今作品の受けさんはまさかの愚王(まだ王じゃないけど)です。我儘で気に入らないことがあるとすぐに癇癪をおこすというとんでもない王子サマです。生まれ持ったビジュアルも深酒や不摂生に伴い少しずつ損なわれていっている。

そんな愚かな受けさんを救い導くのは、もちろんスパダリの攻めさんよね?

という推測を見事に裏切り、オズワルトというイケメンな男はまさかの腹黒さん。自身の出世のためにエセルを掌で転がすという、こちらもまたBL作品においては異色の、びっくりする攻めさんなのです。

攻めさんも受けさんもこんな感じで、どういうストーリーになるのかなあ。
と思いつつ読み進めたのですが。

いやいや。
なんじゃこれー!

という、めちゃめちゃ面白いストーリー展開でした。
エセルはとあることをきっかけに自分の愚かさを認識しますが、これがちょっとファンタジーっていうのかな。不可思議な展開を見せますが、このファンタジーさをきっちり描いているのが笠井さん。摩訶不思議、でもそこはかとなく漂う耽美感だったり美しさだったり、儚さだったり。笠井さんの挿絵が加わることで小中さんの文章に一気に色がつく感じがしました。

エセルは大国の王子という高い身分の青年ではありますが、その環境ゆえに孤独で心が休まることがない。彼を貶めるために様々な手段が駆使され、それ故にエセルは追い詰められていく。

そこを救ってくれるのは不思議な出来事なわけですが、実際に自分で己の状況を把握し、あがきもがいて国のために何とかしようとしていく。そんなエセルがめっちゃ健気で可愛いの。

エセルには味方はいない、と彼自身は思っていましたが、曇った目を拭ってみれば、敵だけではない。エセルを信じ見守ってくれている人がいることによって、シリアスな設定のお話なのですが、希望がちらちらと見えているのでドシリアス過ぎないのも良かった。

一方の攻めのオズワルト。
彼もねえ、めっちゃ腹黒って言うんですかね。
エセルを馬鹿にし、自分の出世の道具としてしか見ていない。女性との関係も透けて見える攻めさんなので、序盤、彼に対して良い感情が持てなくってですね。が、オズワルトがエセルに偏見を持っているのにもきちんと理由があるので、読み進めていくうちに彼がナイスガイにしか見えなくなる。まさに小中マジックか。

序盤で書きましたが、今作品はかなりのページ数を持つ作品です。
が、この長さが全く苦にならない。この長さが存分に生きた、そんな奥行きのあるストーリー展開なのです。

ルスキニア王国に伝わる、賢王の徴である薔薇と刺草の痣の秘密。
エセルが己の間違いに気づくことになった不思議な出来事。
欲望渦巻く、相手を出し抜こうとする駆け引き。
そして、オズワルトとエセルの関係。
そういったことを軸に進むストーリー。終始惹きつけられる、そんな1冊でした。

エセルに手を貸す学者のマルジン。
彼がまたカッコよ!ていう好青年(笠井さんの描かれたマルジンの飄々としたビジュアルがこれまたクソほどカッコいい)。
オズワルトじゃなくてマルジンにしなよ、エセル。と何度思ったことか。

けれど、オズワルトにはエセルが、そしてエセルにはオズワルトしかいなかったんだねえ…。キラッキラの恋のお話ではありません。間違い、勘違いし、すれ違い、お互いに傷つきながらも手に入れたかった人は。

めっちゃ深い愛のお話に萌えが滾って仕方ありませんでした。

エセルに、「気づき」を与えたあの人は結局誰だったのかなあ…。個人的に、あの人かな?と思う人がいるのですが、これは読み手によって変わるのかもしれません。

小中作品はほぼほぼ読んでいますが、一番好きなお話かも。
文句なしの神作品。素晴らしい作品でした。

あ、あとマルジン。
彼にも素敵なお相手が見つかるといいなあ…。ということで、マルジンのお話をぜひとも描いてほしいと絶賛切望中です。

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