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表題作せつなさは夜の媚薬

清澗寺家と因縁のあるイタリア人元貴族・クラウディオ
清澗寺伯爵家三男で品よく素直なお坊ちゃん・道貴

同時収録作品禁じられた夜の蜜

清澗寺鞠子の婚約者・深沢直巳
清澗寺家次男・和貴

あらすじ

名門・清潤寺家の三男の道貴は、教会で金髪碧眼の美貌の青年と出会う。
旅先で彼―クラウディオと偶然再会した道貴は、気高く紳士的な彼に強く惹かれていくのだった。
やがて、残酷な宿命によって引き裂かれた二人は、二年後に劇的な邂逅を果たす。
熱情に抗えず彼に抱かれる道貴だったが、意外な真実が明らかになり…。
激しく互いを求め合う二人の、運命の恋の行方は―?閉ざされた愛と欲望に縛られる次男・和貴を描いた短編も収録。

作品情報

作品名
せつなさは夜の媚薬
著者
和泉桂 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
この罪深き夜に
発売日
ISBN
9784344804791
3.5

(27)

(6)

萌々

(7)

(11)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
7
得点
92
評価数
27
平均
3.5 / 5
神率
22.2%

レビュー投稿数7

和貴にお株を取られた…巻

 没落華族の清澖寺家のシリーズ第三弾。利用価値のある華族であり、社交界で醜聞の多い色めきだった艶やかな家系のために、色々な欲望が渦巻く中で、ただ1人誰の毒牙にかかっていないピュアな三男の道貴が主役でした。

 道貴と元貴族でイタリアの商社の経営者一族のクラウディオとの華やかで因縁深い愛がテーマでした。王道感が漂います。ピュアで真っ直ぐに見える道貴にも、その実は清澖寺家の家系や因習に縛られて、もがいている素顔が意外でもあり、読んでいて切なかったです。
周囲から目立つ華やか家系であったり、色々醜聞の多い身内を持つのって大変なんだな。。かえって反面教師で必要以上に人格者になるのかも。
 クラウディオがプレイボーイなイタリア人男性のテンプレートのような人で可笑しかった。条件が揃えば揃うほど、胡散臭さが漂うのは世の常。それでも一途に彼の事を信じられる道貴がスゴイなーと思った。最後の軽いどんでん返しが良かったです。人のいい道貴らしいエピソードで微笑ましかった。

 神評価にしたのは、この巻の表題作である道貴主役の「切なさは夜の媚薬」でも存在感を示していた次男の和貴&深沢の行末が読み進めるにつれ、気になって仕方がなかった所に、同時収録作として和貴&深沢のその後を描いた「禁じられた夜の蜜」が読めたからです。
 前巻の和貴&深沢がメインの「夜ごと蜜は滴りて」では余りに2人の歪な愛を見せられて、2人に全く共感できないまま読み終えました。和貴から色々なものを奪い、虐げる姿勢を貫く深沢とそれを受け入れる和貴。2人の想いが交差される事がなく、いつも一方通行なところが理解を超えていて、歪んでいるとしか言いようが無く、モヤモヤしていましたが、今巻でようやく2人の愛の世界が理解できたのが良かったです。
この二人は、これからも独自路線で行き着くところまで行って欲しいです。

「切なさは夜の媚薬」でも「夜ごと蜜は滴りて」も大正時代の激動の時代が描かれ、その頃世界的に広まった社会主義思想や資本家と労働者の対立といった図式が各地に広まる労働運動などの社会現象に財閥が巻き込まれていく時代背景も描かれていて、耽美小説で終わらないところが良かった。その時代だからこそ、美しく血筋が良いものの、儚げで精神の脆い冬貴、国貴、和貴、道貴がこぞって利用し合う関係にしろ、自分達より強い漢を必要とした事も分からないでは無いかも。庶民に限らず、華族にとっても生き長えるのに必死な時代だったんでしょう。清澖寺家シリーズの世界観の理解が深まって良かった。

 次巻ではそもそもの発端のお父上の冬貴がいよいよ主役。期待感が高まります。

0

三男は素直

長男、次男が強烈に捻じれていたのですが、あら、三男は可愛い。
あのご家庭でここまで通貴がワンコだというのは、国貴と和貴が必死で守っていたんでしょうねぇ……偉業だと思います。
あ、ここまで書いてちょっと気づいちゃった。
清澗寺家って『父性がない家』なんだ!
国貴と和貴の『守り方』って、お母さんぽい。
まあ確かに、父がいない家ではあるのですが、でも母がいるわけでもないからなぁ。『化け物』と『その愛人』がいる家ということは、父も母もいないはずなのに、どうして二人とも母になっちゃったんだろう?
この辺は読み進めていくうちに何らかの答えを見出したいところ。

通貴の恋は可愛いです。
色々な障害(こういう言い方で大変申し訳ないのですが、この障害、あまりにも斜め方向にぶっ飛んでいます。父である冬貴の話を読みたくて堪らない!)もありますが、通貴の行動は結構単純。
学生さんですものね。素直で好感が持てました。

むしろ、周りの大人たちが……
会社の幹部が、恋の因縁を根拠にして仕事するのはどうかと思うんですよね。
でも、そういう処で引っかかっていてはいけないのだろうと。
このシリーズの読み方は「どこまで恋に馬鹿になれるか」という一点に絞って読むのが正しい方法なのだろうと、3巻まで読んで解ってきました。

私はやはり深沢が苦手です。
和貴をコントロールしようとする手法が『腹黒』っていうより『子ども』を感じてしまいます。
これが『悪意たっぷり』だったら好きだったかもしれないのですが、彼の場合は「良かれと思って」だからなぁ……

1

国際結婚もアリです。

和泉桂さんの「清澗寺」シリーズの3冊目。
三男の純真な道貴の話。
国際結婚とは...サスガ清澗寺...と感心してしまった。
ドラマチックで運命的でありつつ、道貴が健気で一途で良かった。

どの話も繋がっていて読みきりで、エロくて、似ていない。エロ楽しい作品でした。
挿絵の円陣闇丸さんもピッタリ耽美で良かった。

0

交響曲で言えばメヌエット、フレンチならばグラニテ・・・的な。

清澗寺家シリーズ第三弾は、三男の道貴(19歳から21歳まで)編です。
父親も兄2人も性の快楽に溺れる体質という爛れた家族環境の中で、よくぞここまで真っ直ぐに育った!(でもホモですがw)ときっと誰もが感嘆するような、鷹揚な好青年の道貴。
今作では、道隆が、一目惚れで初恋の男・クラウディオ(三十代のイタリア人実業家)と、さながらロミジュリな両家の敵対関係を乗り越え、ロマンティックで甘い恋に落ちます。
どっぷり清澗寺~な前2作は最高に面白かったけれど、倒錯お耽美が過ぎて、読後しばらくはお腹いっぱいな感じ。ここで少しノーマルな恋愛が読みたい・・・そんな読者の心の声を先取りしたかのような、鮮やかな転調。
ただ、これはこれで別の意味で暑苦しくはあるんですが・・・
なにしろクラウディオはイタリア産のプレイボーイだけに、国産ラブロマンスではほとんどお目にかかれないような激甘の殺し文句が炸裂! 
「君の瞳は宝石よりも神秘的で、星空よりも遥かに美しい」などなど・・・
やー、このセリフは日本人設定じゃあムリですよね。

好青年の道貴編ということで、清澗寺色は薄めではありますが、道貴が名うての女誑し・クラウディオの手で「未熟な薔薇の蕾」を咲き綻ばせ、性戯に目覚めていくあたりは、さすが清澗寺家シリーズ!
少年のように無垢なのに、ベッドでは天声の媚態を示す美貌の青年・道貴に、心身ともに惑溺していくクラウディオ・・・彼の中で交錯する、家族を破滅させた清澗寺家の人間への憎悪と、愛と表裏一体の、男の征服欲・嗜虐心が、微妙に重なり合っていくあたりの描写に惹き込まれます。
和泉さんの攻め視点の描写、好きなんですよね。

清澗寺家名物のドロドロシーン担当は、道貴と同居している深沢×和貴カプ。
今回もこの2人が、背徳の濃厚エロスを披露してくれます。
前作『夜ごと蜜は滴りて』後半以来、
① 深沢の調教によって凄艶な色香を増していく和貴→②和貴の美貌に惑わされた男たちの猛アプローチ→③和貴は被害者なのに嫉妬した深沢にお仕置きされる→①・・・
という、理不尽お仕置きコースを絶賛ループ中の2人。
今回はなんと、そのお仕置きを初心な道貴に見せつけるという暴挙に出る深沢。
冷徹な野心家だった深沢さえもただの変態に変えてしまう清澗寺家の男たち!
恐るべしです。

同時収録の「禁じられた夜の蜜」は、その深沢×和貴編。
上記御仕置きループがここでも一巡します。
相思相愛の仲なのに、いつまでも崩壊の不安が拭えない2人の関係。
もっとも、安定してしまえば調教の理由もなくなってしまうわけで、だから、和貴を調教という麻薬で繋ぎとめようとしている深沢にとっては、また深沢に責められている時だけは自分を解放できるらしい和貴にとっても、永遠に不安定かつ閉じた関係の中でループし続けることこそ均衡なのかもしれません。
『夜ごと蜜は滴りて』ではグレーな部分が残されていた深沢の本心も、今回はしっかり描写されていて・・・
ああ、深沢はそこまで和貴に溺れていたんですね。。。

しかしまあ、こうなるとこの2人、もうキャラとしては詰んでる気がするんですよね。
SMカップルに安定は禁物、だからSMものは長編としては成立しない、というのが現在検証中の仮説なんですが、果たしてこの2人はこの仮説を覆してくれるんでしょうか?
この先も2人の出番があるようなので、楽しみです。

清澗寺家の、父と3人の息子たちが織りなす純愛群像劇。
道貴編で王道ラブロマンスを堪能して、濃厚ドロドロな国貴編・和貴編で脂ぎった舌先が少しさっぱりしたところで、次は極めつけに清澗寺!の冬貴編へ。

9

これはよいバカップル

アホの子受けと、そんなアホの子にベタ惚れのアホな攻めを楽しみました。

1

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