「ベッドでさ、ぶっ飛ぶくらいのしようよ」

コミック

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スモークブルーの雨のち晴れ 4

smoke blue no ame nochi hare

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表題作スモークブルーの雨のち晴れ 4

久慈静・医療翻訳家・40歳
吾妻朔太郎・塾講師・翻訳学校生・40歳

その他の収録作品

  • 描き下ろし:『きいろい、やさしい、あったかい』
  • 久慈父の翻訳小言
  • カバー下:キャラクター紹介イラスト

あらすじ

「ベッドでさ、ぶっ飛ぶくらいのしようよ」

それぞれの新居で暮らし始めた吾妻朔太郎と久慈静。
それでも気付けば朔太郎は静の部屋に入り浸る――。
年が明けて、勉強会での翻訳に熱が入る朔太郎だったが、
先輩・多治見の体調不良で塾の仕事も忙しくなり……。

元同僚ケンカップルの翻訳家BL☆
描きおろし漫画「きいろい、やさしい、あったかい」16P収録!


■収録内容
・「スモークブルーの雨のち晴れ」第16話~第20話…COMICフルール掲載作品を加筆修正
・「きいろい、やさしい、あったかい」…描きおろし16P
・本体表紙…描きおろしイラスト2P

作品情報

作品名
スモークブルーの雨のち晴れ 4
著者
波真田かもめ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA
レーベル
フルールコミックス
シリーズ
スモークブルーの雨のち晴れ
発売日
電子発売日
ISBN
9784046830524
4.7

(142)

(119)

萌々

(15)

(2)

中立

(3)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
23
得点
664
評価数
142
平均
4.7 / 5
神率
83.8%

レビュー投稿数23

BLボイコミから

CIELフルールチャンネルから、俄然興味が湧いて最近本を購入しました。
とにかく大人の人間模様が素敵なんです。

昔同僚だった久慈と吾妻が時を経て再会。
アラフォーになった2人の今の関係性に名前をつけるとしたらなんでしょう?
このゆるりとした感じが良いなと。

でも4巻でも少し、少しずつ心は進展しているような。
次巻に期待大です。
私の中でのスモブルの世界観は、とても心地よくて癒されます。
落ち着いた展開、アラフォー男の翻訳家2人、たまらないです。


0

どんどんリアルになっていく二人の人生

 巻を追うごとに、二人の人生が立体的になってどんどん好きになります。
 二人は、付き合ってるとか恋人とかはっきりとしたステディな関係ではないのが、またリアリティを感じていいなあ。いわゆるドラマチックな展開ではないと思うけど、それぞれが自分の日常を生きる中で再会、だんだんと交わっていく。そしてお互いの中に居場所ができて。自然と影響し合って少しずつ人生が動いていく、そんな感じが好きです。親の介護や離れて暮らす親のこと、それぞれの兄弟との関係性、かつての家政婦さん、可愛い甥っ子、実家の処分、尊敬していた先輩の死...。
 けしてしんど過ぎる感じはないんですが、そこがまたリアル感。そんな中で二人の気持ちが触れ合って絡まって惹かれ合って。
 二人の人生をずっとずっと追っていきたいです。蛇足ですが、愛煙家としては親しみの湧くスモークブルー、でもあります。

0

ゆっくり進むがそれがいい

久慈のマンションで半同棲のような生活を送る二人。
吾妻は翻訳の学校に通いながら塾講師で生活をしている。ちゃんと前を見ながら、お互いに自立しているところがいい。

体の関係はあるけど、それが恋愛なのか、ただの制欲解消なのかは分からない。
でも、傍にいたい人、そしてずっと一緒にいたい人として、吾妻は久慈を意識し始める。。
そんな4巻でした。

相変わらず説得力のある生活と二人の距離感。多くを語らないし、飾らない会話だけど、茶化した中に少しずつ見える吾妻の気持ちと、ただ行動でいつも吾妻を包み込む久慈。
最高に素敵な二人です。

そしてまだ続きます、嬉しい。

0

大人な二人

こちらのシリーズも4作目。
波真田先生の描くお話はとても日常を丁寧に描かれているので、とても共感できる部分があります。
攻めの久慈と受けの朔太郎。二人共40歳ということで先生の作品の中でもかなり大人な二人。若さと勢いだけで恋愛できる年齢ではないけれども、二人で過ごす時間がとても甘くて暖かくて穏やかな時間が素敵です。
それぞれ自立しているので、それぞれが自分の仕事にも真剣に取り組んで、恋愛以外の会社や仕事仲間といる時間だったり、身内とのやり取りだったり。生活がしっかりして地に足がついているところがこの作品の魅力かなとおもっています。
朔太郎は人の気持ちに寄り添える優しさがあるし、久慈もそんな朔太郎を理解して受け止めてくれる器の広いところがある二人の紡ぐ物語が読んでいて心地良いです。
時々行き違いや喧嘩したり何気ない日常も幸せだなと感じさせてくれるお話です。

1

何度も何度も読み返したくなる作品

「バイバイ、センチメンタル」のレビューで「おはようとおやすみとそのあとに」を超えた作品はないと書いてましたが、間違いでした…ごめんなさい。
こちらのシリーズが間違いなく波真田かもめ先生の作品の中で1番好きです。

40歳を迎えた久慈や吾妻というCPはもちろん、その周りの人々の人生の悲喜交々が実に自然に描かれてるのが見事でした。この作品が好きな方はきっと彼等の人生に共感するからなのだと思います。

かくいう私も歳と共にままならない身体に苦しみ、身近な人だけではなく著名人の死に時の流れを感じて、老いというものが誰にも平等にやって来ると痛感しています。

吾妻の目を通して読者はそれを体験するんです。

やっとずっと2人でいたいと言葉に出した吾妻ですが、男同士である彼等には約束された形が今のところありません。それでも充分幸せそうでした。

若くて勢いのあるキャラのBLも魅力的ですが、揺蕩うような自然体の大人の彼等がとても魅力的なのがこの作品の素晴らしいところだと思います。まだ続くようなので彼等の暮らしを見詰められる幸運に感謝したいと思いました。

4

ずっと続いて欲しい

この二人の何とも言えない優しい空気感。本当に癒されます。お互いを信頼しあい、理解しあい、求めあいーーー意外に濃厚なHはアラフォー二人の魅力を倍増させます。
このままずっと続いて欲しい素敵な作品。

3

言語化するのが難しい

素晴らしい作品だということを皆さんに伝えたいんですが、頭のなかにある感想を言語化できない・・・!ので、説明的な散文を。

メインの二人のみならず、様々な人の人生が絡まり合って、そこには幸せもあれば悲しみもあり、どうにもならない過去もある。未来は美しいばかりではなく、不安もたくさん。先を見通せない時代に、無責任に希望ばかりを見せるのではなく、40歳の二人ならではの感情を見事に表現しながら、読者のための余白も残していて・・・読んでいると胸がいっぱいになります。

二人の関係は相変わらず名前がないのですが、蒴が『失いたくない』という気持ちから自分の想いを遂に言語化したことで、“名前はないけどゆるい約束のある関係”に進んだように思います。でも、それは決してお互いを縛るものではなく、安心させるためのもの、かな。

なんにせよ尊い作品です。説明できなくてくやしい。

7

やっとここまで辿り着いた……!

今回もまた、LOVEとLIFEがずっしり詰まった1冊でした。登場人物たちの心や人生に思いを巡らせてしみじみ泣きつつ、静と朔の二人をただニヤニヤしながら眺めることもできる……。ほんとに大好きな、稀有な作品。

まずは原さん。
朔と静のこまやかな気遣いが素敵でした。
ドラッグストアやミルクもそうだけど、絵だけで表現されたさりげない部分も。
一度貸したマフラーを原さんの前では身につけない朔。普段よりきっちりめに髪を結んでる静。
おれたちゲイだからダイジョウブデスヨ〜ではなくて、男性の家に泊まるのに抵抗がある原さんの価値観を、正面から尊重してるんですよね。
目白先生や小糸ちゃんの話に始まって、人に言葉で伝えること、人に寄り添うこと、人と人の繋がりというものを考えさせてくれました。

そして、多治見さん。
朔や生徒たちとのちょっとした会話から、温かくて尊敬できる人柄が伝わって……読んでいる私まで、ものすごいショックでした。
武市くんも想像以上に複雑で、純真で、切実で。
キーホルダーの感想をわざわざ言い直したのは、先生に理想の父親像を見ていたからなんですね。でもどこかで、父性とは違うものを求めている部分もあったのかな……切ない。
朔にしてみれば、自分に重なるところもあったのかも。

3巻までの朔を見ていて、どう見てももう静に惚れてるのに、なかなか認めない?気付かない?のが不思議でした。私は今まで朔の開けっぴろげで明るくて優しいところばかり目を向けてきたけど、この人はほんとは静よりももっと不器用で、繊細な人だったのか。
エリート街道から脱落したこと、お父さんの最期を引きずっていること、自分からでなく静の方から求めてほしがるところ……1巻からずっと描かれてきたことが今、パズルのピースみたいにパチっとはまって、朔太郎という人がすごく理解できた気がします。
静は朔のそういう脆さや淋しさもちゃんと知っていて、それもひっくるめて好きなんだな。
この二人、ほんとに最高のカップルだ……。

この1冊を通して、朔の中にいろんな、いろんなことが降り積もっていって、最後、ついに口に出した言葉……もう、感慨無量で胸が詰まって泣けてきました。朔も静もよかったね……(聞いた瞬間の静の顔!)
こんな感動の場面で、お互いに半歩引いた態度をとってみせるのもまた、二人らしくていいなあ。
あまりの幸福感と充足感で、一瞬「えっ最終回?!」と思ってしまったけど、ありがたいことにまだ続きますね。朔の家族とか、翻訳家への夢とか、まだまだあるし。

描き下ろしやシーモア特典もすごく好きでした。
疲れたり酔ったりで弱り気味の静、私もめちゃくちゃツボです! いつもより素直で、ちょっと子供っぽいのが可愛すぎる。
そして、朔と絡んでるときの表情が幸せそうで。
表紙ももう、完全に恋人ですね〜

7

抱きしめて眠りたいほど好きな1冊

話数を、巻数を重ねるほどに、自分の中で特別になっていくこの作品、4巻はちょっと言葉を失うくらい…好き。
丁寧に描かれる喪失のエピソードを通して、何気ない日常の眩さは際立ち、2人の関係はますますあたたかく深く優しく、揺るぎないものになっています。
主人公達と同年代なこともあるでしょうが、ただただひたすらに沁みます。
まごうことなき神作です。

6

ああ、人生……(涙)

久慈家が取り壊され、それぞれ別の部屋に引っ越した久慈と吾妻ですが、従前どおりの付き合いを続けています。疎遠になるどころか、都内マンションの狭さが二人の距離感を近づけている感もあります。

相変わらず付き合うとか何とか関係性にけじめは着けない彼ら。しかし吾妻には心境を変えさせるような悲しい出来事やモヤモヤするような出来事が起こるのでした。

ゲイであることで、好きな人から好かれる可能性を最初から断たれている。それが吾妻が自分を好きでいてくれる人が好きと思う理由であり、自暴自棄気味な恋愛を繰り返す原因なのでした。

しかし、身近な人の死やライバル?の出現により、人の命の儚さや気持ちの移ろい易さに思いを馳せた吾妻は、ついに一歩踏み出します。

吾妻流の告白ならぬ「報告」とそれを受け止める久慈のやりとりが最高に萌えるやつでした!

また、おまけ漫画の湿気で髪がうねうねな久慈に胸キュンしてしまう吾妻の話には読んでるこちらも胸キュンです。4巻は久慈の意外にかわいい一面も垣間見えてよかったです。

5

シリーズを増すごとに、じわじわと愛おしくなる。

今回は、40歳の冬のお話。


2人の日常を美化せずに描き続ける。
だからこそグッと胸にくるものがあるお話なのでしょう。

原さんのエピソードや、高校生の頃の恋。そして多治見さんの訃報に関する周辺エピソードに、恋人との今後のあり方などなど、、ら

別々に暮らし始めることになったときは、これからどうなるんだろう…って不安になりましたが、2人は2人のまま。
最後の、「次ソファを買う時はもっと頑丈なのにするわ」のセリフにまりあげはは、2人の関係はこれからも安泰だ…! と、ひとまず安堵しました。(先生がカバー裏側の名前のところで、ふたりの生き方を物語っていきたいと書かれていたので、この先2人にはどんな展開が待ち受けているかは分かりませんが)


早くまた続きが読みたいし、このまま2人が50歳になるくらいまでお話が続いてほしいです。

5

沁みた。。

大好きなシリーズの4巻。自分にとって、本当に心に沁みる神作でした。

好きとか愛してるとか、直接的な言葉は交わさない二人ですが、
今作で言葉少なに交わされる会話に心打たれました。

(以下ネタバレあります)



「さみしい」「つらいよ」と言葉にした吾妻の姿には、思わず涙。。
しばらくページが捲れなくなったほど。

久慈の「いいこともたくさんあるよ」、このシンプルな一言の素晴らしさよ…


序盤の、宮城での被災経験を持つ原さんのお話もよかったなあ。。

非常事態とはいえ、女性が男性宅に泊まるということへの警戒感。
自分は”おばさん”と言われる年齢で、警戒心があるということを伝えるのも恥ずかしいけれどーという気持ち。

そこまで考えが及ばなかったと謝りながらも再度久慈の家へ誘い、それに笑顔で「お願いします」と答える原さん。

静かな、なんということもないシーンなんですが、じーんとしてしまいました。


作中にも出てきた「愛しい」という言葉が本当に似合うこのシリーズ、本当に大好きです。

5

なぜこんなにも沁みるのか

波真田先生作品の中で1,2を争うほどフィクションの中にリアルさを感じる大好きなシリーズ。
もしかしたらすぐそこで暮らして居そうな人々を描くのが本当に上手い作家さんだなあと思います。
久慈と朔太郎の日常の中に溶け込んだ、思わず分かるなあと共感してしまう部分を見つけては、絵と言葉で自然とそれを表現してくれる手腕の見事さに脱帽。
しみじみと良さを噛み締めたくなるお話というか、大人2人の名前がない関係性と日々の暮らしの描き方がものすごく好みなんです。

久慈と朔太郎の、変わらないようでいて少しずつ変化する関係性と「年齢を重ねたからこそ」が印象的な巻でした。
大人ならば共感することがひとつやふたつ…いえ、それ以上あるかもしれませんね。
ある程度生きていれば、誰しもが何かしらの忘れられない苦しかったり辛かった過去を抱えていると思うんですよ。
始まりもあれば終わりもあり、地層のように大小様々な出来事が自分の中で少しずつ積み重なっていって今がある。
朔太郎という1人の大人の人生を追っているはずなのだけれど、彼の周囲の人々の人生の欠片も見えてくるのが素敵です。
そうして新たな気付きを得ることもあれば、時にはぐるぐると考えてしまうこともあるし、ふとシンプルな答えが出たりもする。
作中の雰囲気はどちらかといえば物静か。でも、心理描写は非常に濃厚というギャップが本当に魅力的だなと思います。

弱った朔太郎に特別なことは何も言わず、自然と寄り添う久慈の姿に2人の心地良い関係性の全てが詰まっていて、この関係がずっと続いてほしいと、なんだかじわじわ沁みてしまいました。
年齢を重ねて徐々に失われていく物事を考えた朔太郎が得たいと真っ先に思ったのは久慈で、その伝え方も素直じゃない不器用さ。もう愛おしくてたまらなかったです。
面倒くさくて手がかかるものが好きな久慈…のやり取りのわかりにくい久慈の愛情を思い返しては萌えてしまった。
この不器用で愛おしい2人の暮らしをただひたすらに見守り続けたいです。

そして、40歳を過ぎた大人の朔太郎だけではなく、塾の生徒・武市くんのエピソードが入っているのが良くて。
まだ若い彼はきっとこれから何度も先生のことを思い出すでしょうし、今の切なさも忘れられない苦みも、全部人生という本の中の1ページになっていくはず。
彼が大人になった時、先生はどんな思い出になっているのかな。
次巻ではどんな人生が描かれていくのかを、あたたかい春の訪れを期待しながら楽しみに待ちたいです。
毎巻良質な作品で余韻に浸りたくなりますね。

3

演出をしないという演出

大事に読んでいるシリーズ作品です

日常BLのカテゴリーにはなるとは思うのですがコメディでもど真ん中なシリアスでもない、本当の「日常」に溶け込んだ作品だと思います
なので過剰な演出はないけどずっと平坦でもなくって、だからこそ物語の緩急がつくような展開が自然で、、、まるで見知った誰かの経験談のようでもありそれは自分自身でもあったりするような感覚で読むというより見聞きしているような気分で作品に触れています

そんな大人の2人の日常
3巻では結構衝撃的な展開がありましたが新しい生活に入った2人はどうかな?と少しの心配はありましたが「家=場所」以上に「誰」が居るか、「誰」と居るかが大事だと伝わるような日々を送る2人に安堵感さえ覚えます

そして何よりも今回は朔太郎の世界一色気のないたったひとつの彼らしい「告白」が何とも言えない演出でした
彼の性格をしっかり捉えた言葉の使い方に忘れられない「告白」になりました
本人は告白ではない、との事ですが、、、ここはあえて強調してでも「告白」って書いちゃいますwww

「おはおや」シリーズでも周りとの関わり方を丁寧に描いていたのが印象的で大好きな先生です
友人、家族、仕事、、、シリーズだからこそ描いて欲しいけれどあくまでも2人あってのお話しでもある、というバランスが非常に秀逸です
そのどれもが薄過ぎず、過剰過ぎず、、、

この先も丁寧にじっくりと描き切って欲しいなぁ~と次巻も楽しみにしています‼

6

改めて神シリーズ

こういうBLのシリーズ作品が読みたいんよ〜めちゃくちゃいい、好き〜と何度も思いました。
おはようシリーズの時も感動しましたが、本作はその大人バージョンのようでこれまたすばらしい。

4巻の前に3巻を読み返したのですが、やっぱりめちゃくちゃよくて。
なのに私は発売後すぐに読んだ時、なぜ神にせず萌2にしたのか!?大馬鹿者です!すみません!(土下座)

今やBL続編において、当て馬キャラが出てこない、メイン2人を邪魔する展開にならない、この2点だけでも超貴重に思えてありがたい〜と拝みたくなります。

2人のやりとりがずっといいんですよね。
大人のやさしいケンカップルみたいで。
きれいごとや上辺の慰め方をしない。
恋愛のありがちな描き方をしない。
説明的、理屈っぽさがないのに説得力がある。共感できる。
2人が一緒にいて居心地がいいんだなというのが見事に伝わってくる。
あえて言葉にしない。
言葉にする時のタイミング、その心情もわかるし描写がすばらしい。全編そうなんですが、今改めて刺さりまして。お恥ずかしい。

生きることの悲喜こもごも、時のうつりかわり、自分の言動は正しかったのかと答えのない自問自答など…全部いい。
それでもお腹は空くのでご飯を食べる。お風呂に入る。眠る。
これ即ち生きること。
人生であり、人間が描かれている。
それをこんなにみずみずしく飽きさせないどころか、じんわり感動したり、笑ったり、共感しながら読める作品ってなかなかないなと。
おはよう〜シリーズでも思いましたが、他にいろいろなBLを読んできて、こう感じさせてもらえる作品はやっぱり貴重なんだわと遅まきながら再確認した次第です。

先生のお言葉にあったように、2人のセクシャリティだけでなく、社会で生きること、周りの人との関わり方の描き方がすばらしい。
1巻からそうですが、仕事も具体的に描かれる。
2人の生き方を描く以上、仕事をする姿は不可欠だと思いますが、それをストーリーに当たり前のように織り交ぜられるのがすばらしい。
恋愛だけを描くBLも多数ありますが、私は仕事や日常を含め、人間ドラマとして読み応えのあるBLが好きなので、波真田先生の描き方がめちゃくちゃ好きです。

あと好きなシーン
吾妻が大学の時、合コンに誘われて断っているのにしつこくて、そこへ「やめなって」と止める多治見がめちゃくちゃいい。
BLあるあるの合コンに強引に誘うモブに飽き飽きしていたのですっきりしましたw

その多治見のことで、吾妻が泣けなくて、その時の久慈もいいんですよね。
こういうやりとりめちゃくちゃお上手。や、全部なんだけども。

表紙の変遷が2人の関係性を表していていい。
4巻は特に距離が近く甘え甘やかし2人とも笑顔なのが中身に沿っていますもんね。
背景のスモークブルーが巻を追うごとに淡くなっているのは、くすぶったものが軽くなっていっているのかなという印象です。

言い出したらキリがないです。
人間、生きることを丁寧に見事に描かれているので全てが見どころですもんね。
このすばらしい作品を早めのペースで執筆される波真田先生改めて神です。ありがとうございます。
まだ続くとのこと。うれしいです。楽しみに待たせて頂きます。

7

中年期の実感やら共感やら…

相変わらずすんげー好きでしたので神。
シリーズって巻数重ねるとちょっと中弛みってのがあるはずなんですけど、こちら全然弛まない!周辺キャラが増えても全然ウザくない。それぞれの物語がさり気なくきちんと描かれていてちゃんと人物が見えるっていうのがよき。さらに、ささやかな物語が繰り返されることによる日常の奥深さ豊かさが感じられてきて、総じて人生って尊いんだぜって思える、こういうアプローチって刺さるんですよね…BLって全く他人事(壁)として読むものっていうのが常なんですけど、この作品には中年期の実感と共感ありまくりすぎて、ちょっとなんだか愛おしいです。

多治見さんの件はまんまと涙腺にきてしまいました。武市くんが切なくてねぇ〜、、アラフォーの穏やかで成熟したラブの合間に、こういう”未満”の痛みが入ってくるバランスが絶妙だな〜と思いました。年齢を重ねたら不可避な失っていくものへのノスタルジーと合わせて、これから始まることへの希望も描かれているという世界観が素晴らしいなと。さらに、それらを表現する言葉もいちいち綺麗で、ことばを大切に扱う翻訳家のふたりの物語にふさわしいですよね。

描き下ろし、いつの間にかバカップル!な展開、ふたりの会話の温度に萌えるスケベなしコミコミさん小冊子から有償小冊子の湿度高めのスケベまで、まるっと年末のご褒美みたいな一冊でした!

9

家は変わっても…

静の実家は無くなって、じゃあどうする。となって結局朔太郎はまた静のマンションに通う。彼の居場所は静の家=静なんだとハッキリわかる4巻。人間は急には変わらず根っこは全く変わらないと描くのがリアルです。朔太郎の学生時代の話で彼は人の好意は受け入れても、自分の好意には臆病で無意識に深い関係が築けないことがわかる。その根はかなり深い。だから現在でも勇気を持って「久慈と一緒にいたい」と初めて愛の告白に近いことを言えたのに「告白じゃなく報告ね」と加える。その違いは「返事は不要」ということだろう。ツンデレどころではない。正直に愛してくれる相思相愛の静に対しあんまりな言いように呆れます。でも今に始まった事ではなく静はめげない、どころかやや前進を感じている。彼は決して諦めない。家は変わってもその家を整えつづけ朔太郎からの連絡を辛抱強くずっと待っている。コチラもまた不器用で、必要とされた時にすぐ手を差し伸べられるよう準備することが彼の愛なのだ。「自分のために泣けない」ある意味誰より純粋な男が好きだから。朔太郎は自分以外の周りには聡いのに、静が環を可愛がるのも、大きなホットプレートを買う理由もわからないし、次に買うソファの話もフワッと曖昧に喜び未来については半信半疑だ。それでもいつかは、静がすでに未来を見てることに気づいて、素直になれ、と思う。そうでなきゃ静が報われなさすぎるでしょうが!とヤキモキしつつ続き楽しみに待ってます。

特典描き下ろしはどれも素敵で、糖度高め。4巻まで進んだからこその二人の柔らかい想い合う日常のシーンが見れて幸せです。手に入れる価値ありです。

9

いつまでも見守っていきたい二人

こちら大好きな作品。4巻心待ちにしていました♪

攻めの久慈と受けの吾妻、共に40歳。ほとんど恋人のような関係だけど、はっきりそうなってはいない二人を、日常を交えて描いている作品。

3巻ラストでそれぞれ新居で暮らし始めたけれど、吾妻は久慈宅に入り浸っている。正式にお付き合いしているわけではないけれど、お互い大切な存在。

とはいえ日常ではそこまで甘々ではなく、落ち着いた関係性。でもお互いがいかに大切に想い合っているか、随所で感じられて、ジーンとしたりキュンとしたりします。

当然体の関係もあり、濡れ場がとても官能的に描かれて、いつもドキドキしてしまいます。特に攻めの久慈は、普段クールなのに、濡れ場では激しく吾妻を求める、そのギャップに大変萌えるキャラです。

4巻では、吾妻の身の回りでアクシデントが起きたり、身近な人が亡くなったりします。そして自分を追い詰めてしまう吾妻がつらそうで切ないです。 

苦しむ吾妻の心に寄り添い、静かに話を聞く久慈。久慈の優しさ、吾妻への愛情を感じて、キュンとします。吾妻が涙を流して心情を吐露するシーンは、切なくて泣けてしまいました。

潰れそうに苦しんでいる吾妻のそばに、久慈がいてくれてよかった。心底そう思いました。
そして久慈の胸の中で「愛しい」と思いながら、安らかに眠りにつく吾妻にまたキュンとしました。

終盤では、吾妻の中で久慈の存在が、ますます大きくなっていくのを感じました。
そしてラスト、とうとう吾妻が久慈に「ずっと一緒にいたい」と伝える!ストレートな言葉に久慈も少し驚きます。わかりにくいけど久慈嬉しそう。二人の仲睦まじい様子にほっこりキューンとしました♡

書き下ろし「きいろい、やさしい、あったかい」は、仲良しな二人とエッチな濡れ場に、またまた萌えました♡

特典漫画1P+1Pも。可愛くてほっこりした内容♪

シーモアではさらに限定書き下ろし漫画10P付き。
これは嬉しい!大晦日から元日の二人。短くとも素敵な内容、濡れ場もしっかりあって、読めて嬉しい♡

4巻ではまた二人の距離が近づいたのを感じて、特に吾妻の気持ちがよりはっきりしたものになったようで、嬉しかったです。
今後も見守っていきたい二人。
5巻も楽しみに待ちたいと思います♪

シーモア購入 ライトセーバー修正(白く発光)

9

4巻目

4巻目。
まだ4巻目という感じ、なんだか8、9巻くらい出ているんじゃないかという感じなのはなんだろう。

私たちとたいして変わらないような日常生活を送っている久慈と吾妻。
私たちと書いたが彼らよりずっと変化に富んだ日々を送ってるよ!波瀾万丈だよ!っていう読者だって多そう。
そういう人は緩やかな日々を暮らしている2人で癒されているのだろうか。
「私たち」は自分とたいして変わらないような2人を見てやっぱり安心しているのだろうか。
いずれにしろ何事もなく過ぎていく日々さえも心にしみるこんなお話がBLにあってもいいと思う。

日常BLではあるんだけど性的マイノリティの哀しみ、辛さ、生きにくさが今回しっかり表現されていてはっとした場面もあった。
声高に叫ぶのではなくありのまま触れられているという印象。
願わくば彼らの生涯このままで、つまりマイノリティであるが故のマイナスを過剰に浴びる事なく生きていてほしい。
働いて2人の休日があって喜んだり悲しんだりして時が進んでいったら、と切に思います。
それは私自身に関する希望でもあるかな。

先生、甥の環に好きな人が出来て将来について悩む?ところくらいまでは続けてくださいね。

6

LIFE IN SMOKEY BLUEかぁ…❤︎

1話の間に挟まれるページに、こう書いてあるのを見つけて、私もしみじみと思ってしまいました。

先生の日常を描きながら語られる作風が好きで
改めて考えたことがなかったんですけど、
スモークブルー〜の話は、特にそれを感じられる作品だなぁと。

人生を送るあいだに
他人と関わるということ
この自分と付き合うということ
繰り返す出会いと別れに
ともすると疲弊していきます。

じゃあ、一緒にいるこの時間てどんな風に
やり過ごしたらいいんだろう。

無理がたたって続けられなくなった仕事も
マイノリティな自分のセクシャリティにも
不安でしかなくて
世界に取り残された気分になる朔太郎。

若い頃から、自分のことを好きなひとがいいと悟ったことを考える朔太郎の気持ちが切ない。

4巻では、やっとそういったことを
ひとつひとつ手放していった朔太郎が
久慈くんと一緒にいるこの時間は
自分が願い欲して一緒にいるんだ、と
相手に伝えられるようになります。
自然と正直な気持ちが口から出てきたように
伝えるこのシーンは、予想もしてなくて
じーんとしてしまいました。

久慈くんが、恋人としてはもちろん
本当に朔太郎のことを大切に思っているんですよね。お互いになんですけど。
特に、ヤケになってベッドに誘う朔太郎に
ちゃんと自分の気持ちと向き合えみたいなことを言って、朔太郎に寄り添うところは
更により深い関係性に変わってきてるのを感じて熱くなりました。

恋愛ものって、だいたいが相手と自分の2人だけの世界で、相手を好きになって自分が変われた。ってパターンが多いですよね。
それも、とっても好きなんだけど

でも本当は、そんなに簡単には変われないし
そんな仏さまみたいな人もなかなかいないし
日々の営みのなかで感じる嬉しい、楽しい、悲しい、辛い、苦しい出来事を
ひとりより2人で味わうこと、乗り越えることを繰り返していくうちに
少しずつ変えられていくもので。
好きな食べ物とか、笑い方が似てきたのに気付くみたいに。

ということを言わんとしているのかも?
先生が、この話で“愛“についても描きたいのだ、と仰っていたのがとても印象的で、ずっと頭のなかに残っているんですけど、

人との関わり方が様々あるように
いろんな愛情が営みのなかで育っていって
それを丁寧に引き寄せていくと
幸せになっていくのかなぁ、と。
何行かのモノローグで語ることもできるけど
それを物語で伝えられてる…すごい
この読み応えは贅沢すぎる❤︎

それにしても、久慈くんがイイ男過ぎて
なんなの、40になるといたりするの?
インテリで包容力もあって、常識人で堅物だけどエロくて。久慈くんだから、朔太郎も…だよね。

これからも続きを描いていただけるそうで、
とっても嬉しい。
このお話を読んでいる時間もまた、
私も幸せを感じるんですよね。

5

熱量だけじゃないお話

好きーー!と突き進むBLも好きですが、じわじわと染み込む想いが綴られるこのお話が大好きです。

告白ではなく報告だったりそれに対する答えや、世間的にはおじさんだけど好きな人の前ではカッコつけたいホンネだったり、自分の気持ちから目を逸らしがちな、目を逸らし慣れた思考だったり。
40歳になる今まで積み重ねてきた時間が二人の間で上手く馴染んでいく様子に目が離せません。
新刊が出る度に続きが気になって、続きを読んでいるのに次巻が待ち遠しい作品です。

4

おうちがだんだん遠くなる~って気分

電子で買ってるとどうしても読み始める時間が朝イチからできてしまって
発売日飛び出し禁止なのはわかっていても読み終わった勢いでつい飛び出してきてしまう

いやはや 発売日は高評価レビューしかみたくない方々には何かとご迷惑をおかけしておりますが ここはどうかお許しを


くゆる紫煙に燻る思い ───
そんな けだるげでアンニュイな雰囲気に流されるがまま読んではおりますが 正直ここまでひっぱって何を魅せていただいているのかいまいちハッキリしないような
読んでいて思うことはあるんですが こう 読まなきゃいけないところが常に定まらないような ?

ふたりの関係云々より 報われなかったものや捨てきれないものが薄れていく過程や 必ずそこにある思い入れや 誰かの言葉をぼんやり眺めている状態になってる っていえばちょっとは聞こえいいのかな 
裏を返せば 薄暗い中じっとりと汗ばむようなふたりの逢瀬を楽しむお話し ってだけになりつつあるというか

ハマりきれてないんですよね きっと 
いや 読んでいればそれなりに引き込まれるし お話しに急かされることもないのでゆっくりと噛みしめて読めばいいんだろうけど それがどうにもままならず


この巻も 目指す先に重ねる日々と その日々に深まるふたりの関係 ちょうどいい距離に感じる心の安寧ってのはわかるんだけど 中途半端に入るエピに引っ張られてというか つまずいて 
そこに何の意味があったのか 何のために挿入されたものなのかひたすら考えるんだけど 上手くお話につなげられなくてモヤモヤして

なんだろ? これってもう理解力とか読解力の問題じゃないよね? おそらく

いや そもそも目先にいろんな人がいすぎるんだよね 次から次へと
1番苦手なやつじゃん あたしの ←相変わらず自己都合ッ((怒))


父の思いは知れても家を明け渡した兄との関係どうなったのかな とか
今回もいろんなものが盛り込まれてたし 不安なんて多かれ少なかれ誰にでもあるんだけど 結局最後に求めるのは久慈の体温なんだよね と

もうさ 久慈がいないと生きていけないやつじゃんッ


ふたりが落ち着くこの距離感に名前がつくまでは頑張りたいし 見届けたいとは思うのだが
んんん 大丈夫かな ついていけんのかな あたし

2

共に歩む40歳

久慈×吾妻


時間がただ流れて、
2人の微細な瞬間、小さな変化が、
日常の大切さをじっくりと教えてくれる。
40歳の中年に差し掛かって、
人間関係の奥深さや不安が錯綜し、
切ない気持ちもしみじみ・・・。
その人生の「居場所」を模索する時期で、
一緒にいてくれる人がいることで尊さが感じられて、
胸がポカポカになっていっぱいになる。


2人の関係が、
一軒家でなくても変わらず繊細。
久慈の部屋での2人の交流が
世間から離れる小さな幸せのようにリアルで心にグッと響く。

塾講師も翻訳も一生懸命な吾妻。
周りや同僚や先輩、生徒との関わりが、
彼の過去や叶わない恋の思い出がちらりと見える。
ただ好きになってもらうだけでも一苦労・・・もうキュン痛。
大人としての焦燥、自己評価、仕事の価値についても考えさせられる。

次第に久慈に欲張りになっていく吾妻。
久慈に完全に溶け込んでしまいたくても、
本人がその感情が「わからない」だけど、
実は恋だと気付いているのかもしれない。
久慈とずっと一緒にいたいという気持ちは、
最も強い本物の想いである。

それを応えてくれる久慈、
彼の本心もはっきり伝わってくるのが最高。
お互いにとって心地よい居場所で素晴らしい。

時間軸の動きに伴って、

2人の心の動き、周囲の人々の動き、環境の動き、

こんなにも丁寧に描かれているの中、
感情は確かに徐々に燃え上がっていく2人だけど、
その炎が何色なのか、まだ見えない。
でも、自然体のような2人らしい関係性が、
少しずつ未来にちらついていて、
終始、じんわりと愛おしさを感じずにはいられないのです。



・応援書店ペーパー 描きおろしマンガ1P
「くじさくパフェ日記」(電子共通):
ファミレスに来た2人。久慈がパフェを頼みたい理由は・・・

6

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