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表題作愛傷コレクション

花賀屋清士,39歳,大学客員教授・骨董商
斎条十有,19歳,同棲相手にDVをされていた青年

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「愛されることに慣れなさい──」十有は毎日、花賀屋から甘い愛撫を受けている。継父の性的虐待に耐えかね家出した十有は、知人に暴行を受け逃げたところを花賀屋に拾われたのだ。自傷行為で脇腹に大きな傷跡を持ち、人間不信で自分も他人も愛せない十有。骨董商である花賀屋はアンティークを慈しむように十有の傷跡を愛でて、彼の心を癒やしていくが……。

作品情報

作品名
愛傷コレクション
著者
葵居ゆゆ 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829626313
4.3

(121)

(72)

萌々

(29)

(15)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
29
得点
523
評価数
121
平均
4.3 / 5
神率
59.5%

レビュー投稿数29

これぞ共依存

いや〜〜、もう、すごかった。。仄暗さがたまらなかった…!
葵居ゆゆ先生の作品大好きなんですが、こちら、自分の中のお気に入りトップ3に堂々入るなと思いました。

文字どおり、「ページをめくる手が止まらない」!! というのを体感。

中盤〜後半の、花賀屋の紳士の外面が剥がれ落ち、闇が見え始めてからの怒涛の展開が、もう…!!!

性的虐待を受けていた意地っ張りで健気で不憫な受け君が、素敵な紳士に拾われ救われるー
そんな単純な話では、なかった。。

上品で優しく労ってくれて、非の打ちどころのない紳士(に見える)の花賀屋の「裏側」が徐々に明かされていくにつれ、底知れぬ恐怖感を覚えました。

少しずつ少しずつ依存させて、期待させて、期待に応えないことで不安や我慢をさせて自分のことしか考えられないようにしてー
このじっとり・じめじめ病んでる攻め様がもう強烈でした。

決して、暴力的な怖さではないんですよ。
話し方もいたって丁寧、20歳年下(この歳の差もすごいですよね)の十有に対しても、常に敬語。でも敬語だからこそ異常さが光るというか、より一層恐ろしく感じられるんですよね。

その静かな口調で言われる「ここにお◯っこをしなさい」はね…震えた…怖い、けどなんだだか十有と一緒に興奮する不思議。

自分の中では、これぞ共依存。

骨董品よろしく、優しく丁寧に心の傷を解され、一度突き放されることでより花賀谷のことしか見えなくなり、まんまとその手の中に絡み取られた十有。

この2人の行き着く先はどこなのか…と、読後しばらく思いを馳せてしまいました。

週末ゆっくり、もう一度読み直したい大切な本になりました。

3

読後に読み返したくなります

たまたま見つけた作品。初読み作家様です。
あらすじで興味を持ったので読んでみました。

ずっと受け視点です。
攻めの心情は終盤まで明らかにされないので、前知識少なめに読んだ方が楽しめると思います。

不幸な境遇の十有(とも)は、骨董商の花賀屋の家に逃げ込み居候する。花賀屋に甘やかされ、心と体の傷が癒やされていくが…というお話。

とにかく中学以降の十有の境遇が酷すぎて、読んでいてかなり辛くなります。
読み進めるうちに、十有がかなりの美少年で、無意識で男を狂わすような魔性さがあることがわかってきます。そのせいで酷い目にあってきた為、自己肯定感が極端に低い。

受け視点なので、花賀屋の気持ちははっきり語られなくても、かなり溺愛していることはその行動で明白なのですが、十有は自己評価が低すぎて全くそれに気付けない。

十有が、あまりにも悪い方悪い方へと曲解していくので、「この言葉をなんでそう受け取る?!」とツッコミたくなります。

花賀屋は、かなり重たい少々ヤンデレな溺愛執着攻めなので、その手の攻めが大好物の自分には、大変楽しめる作品でした!少々変態な所もありますが、そんなにヘビーすぎないので、胃もたれしないで読めます。

終盤にようやく攻めの気持ちが明らかになるので、読後は頭から読み返したくなりました。

最後には、割れ鍋に綴じ蓋というような二人で、今後も仲良く暮らしていけそうだな〜という終わり方でした。

最後まで受け視点なので、攻め視点の書き下ろしがあったら良かったな。

後書きで、おまけSSをブログで公開とあったので、見に行ったらリンク切れでした。非常に残念!

終盤までハラハラするような展開で楽しめました!
文体もとても読みやすかったので、先生の他の作品も読んでみたいと思いました。

挿絵はyoco先生。繊細で美しい挿絵で素敵でした♡

シーモア 挿絵付き

1

蒐集家がついに見つけた宝物

表紙のともからは肉感と不良っぽさと怪しい色気を感じましたが、挿絵のともは見た目も大分華奢に描かれていて、素直さと可愛らしさが強い線が細い子だったので驚きました。
私は電子購入でしたが、できればざっと挿絵を見て確認した方が間違いがない本だと思います。

読み始めてまもなくして、“ 鋏で脇腹を刺して以来、色が抜けて薄茶色になった髪‪”‬という設定に、そんなことある?と読む手を止めてしばらく考えてしまい…。
考えている間に、一夜で白髪になったという逸話があるマリーアントワネットが頭をよぎりました。
真偽は謎の話ですが、ともの髪色の変化も、もしかしたら腹を刺したのが原因というより極度のストレスが原因だったのかもしれない?

花賀屋は、骨董の仕事をしていて、アンティークコレクションに囲まれて過ごす人。
このお話を読むまではタイトルから想像してこの人(花賀屋)は傷が好きな性癖の変態チックな人なんだな?と思っていたんですが、傷跡好きの前に“壊れても直さずにいられないほど愛された物が好き‪”‬という人でした。
アンティーク蒐集家で割れた物を修繕した金継ぎが好きだというところには、ただの傷跡好きではない説得力があります。
想像力が豊かなところや愛しさの中に執着を感じるところにはそそられましたし、物を大切にする人は人も大切に扱う人だと思うから大切にしてくれそうな期待を抱かされて、読んでいるこちらも彼のことが気になってきます。
「出回ったら、プラムリーで作りましょうね」。
サラッと、当たり前のように半年先も一緒に過ごしていると言ってくれて、ともはどんなに嬉しかっただろう。
花賀屋の口調と言葉の表現はとても丁寧で優しい。
穏やかさや育ちの良さも表現されているんですが、それ以上にすごく相手への愛を感じるんです。
私は敬語萌え属性は特にない人で、どちらかというと口が悪い(ガラが悪い)人に惹かれる傾向があるくらいなんですが、こんな私でも敬語萌えしちゃいました。

五東はともが髪を切って身なりを整えてから様子がおかしかったので、この人いつか何か勘違いして襲ったりしないよね?と訝しんでしまったんですが、案の定でした…。
五東がそういう行動に出てからの花賀屋は内に秘めた強い執着心と嫉妬心と独占欲を表面に表してくるので、静かな狂気が普段とのギャップで読者としてはおいしかったです。
結果的にはいい火付け役をしてくれたと思う。
花賀谷は変態紳士という設定だそうなのですが、私は後半までは変態とは感じず読みました。
おや...となったのが、村瀬に変態と言われて認めてから。
「おちんちん」「お潮」「お汁」とそれまでと言い方が変わるのです。
ちょっとした変化ですが、急に変態さが増して感じます。笑

予想を裏切る斜め上の展開があるわけではなく、寧ろ予想通りの道筋を進むお話なんですが、ニッチさが現れてくる後半からの花賀屋がいいです。
あくまで優しく愛してくれるし教えてくれるけど、花賀屋好みに育てられたり誘導されたりもするので、甘い調教のようにも感じられました。
ともは花賀屋にされるなら恥ずかしいことも閉じ込められて囲われてしまうことも嬉しくて気持ちいいので、凸凹が噛み合ったカップルです。
執着攻めでもありますが、度が過ぎる程とびきり愛さなければ気がすまないというタイプなので、一味違った溺愛攻めでもあると思いました。
ともは愛され尽くしてこれからもっと綺麗になるんだろうな。

1

割れ鍋に綴じ蓋

歪んでいようがその愛情を喜んで受け入れるもう一つの愛情があるなら幸せでしかない。先生のホームページ(?)のSSも拝見し私も満たされました。

1

攻めのギャップがトップクラス

 花賀屋というキャラクターが今まであまりお目にかかったことのないタイプの攻めで、興味深かったです。古いものや壊れたり傷がついたりして修復されたものを蒐集し、新品とは異なる味わい、背景の想像を楽しむコレクター。その趣味が恋人にも適用され、傷付いた心身に愛情をたっぷり注ぎ込んで、世界に1つ自分だけの色にしてしまいたくなる。ヤンデレ、というほど昏くもなく、でもやはりその愛の形は少し歪。

 受けの十有は性的虐待を受けていた分かりやすく不幸な愛情に飢えている青年ですが、そんな彼は花賀屋が求めている対象にぴったり当てはまった。まさに破れ鍋に綴じ蓋。変態度が高めの濡れ場と普段の2人のやりとりにかなりギャップがあり、正直、花賀屋という人物を完全には掴みきれませんでした。丁寧過ぎる言葉遣いや穏やかな物腰の背景が少しでも見えたらもう少しリアリティがあったかも。後半になるにつれ十有への台詞が恥ずかしいほど甘くなっていくので、最後はちょっと食傷気味に。ただ、十有視点で、慇懃で無害そうな態度の中にじわりと執着や独占欲を滲ませる花賀屋のミステリアスさはとても楽しめました。

1

神作品

ストーリー、キャラ、設定、文章力もどれをとっても私的に高評価でした!
攻の花賀屋先生、やらしくて素敵すぎる。変態紳士というか。でも愛も溢れていて、かなり上位の攻様かと思います。身体もいい。
受は不憫ですが、生粋の闇持ちではないので好感もてました。性格も純粋で、花賀屋先生に会って本来の姿を取り戻していくかんじでしょうか?

年齢差、体格差、身分差(?)、男前×美人、執着、嫉妬、軽いSMテイスト、溺愛。
やっぱりお金持ち攻様っていいな、余裕があって。笑
シーモアさんで本編を読み、他サイトで後日談読みました。後日談もほんとおすすめです。(パーティへ2人で出席するお話…その後のあれこれが愛が溢れてる。)

音声にしたら、声優さん誰かな?と考えてしまった。
花賀屋先生の声、脳内変換難しいです!(皆様、誰の声をイメージしてますか?って脳内変換してる前提ですみません)

0

とっても良かった…!

作家様買いです。

最初、タイトルの意味がわからなかったんです。
どういうことなんだろう?って。
でも、全部読み終えた時にわかりました。
すごいなぁ…タイトルって思いました。

不憫健気受けと溺愛執着攻めが好きな方には
こちらの作品はぴったりだなぁと思いました。

不憫でとても可哀想な受け(十有)が、攻め(花賀屋)さんに出会って幸せになるお話なのですが
幸せになるまでの道のりが結構険しくて悲しかったです。

花賀屋さんももっと言葉にしてあげればいいのに…と思うところが多々あって
十有がどんどん違う方に考えていっちゃうのがとても歯がゆかったです。

最終的には収まるところに収まったし、
ヤンデレ花賀屋さんと愛を知らない十有は
とてもお似合いだなぁって思いました(*´▽`*)

十有はこれからどんどん花賀屋さんに染められていくんだろうなぁ(*´▽`*)
二人のこれからのお話ももっと見たいなぁって思うぐらい
ほんとに素敵なお話でした!(*´▽`*)
買ってよかったです♪

0

ハピエン?

絵師買いした本。 yoco先生の絵が内容とマッチして、レトロ感増してムーディ。
主人公の十有君は、色っぽい美少年なのか、変態に執着されるタイプ。
まともな愛や友情に縁がない気の毒な人。

母の再婚相手から、性的虐待を毎日受けて、自傷。
夫が実の息子にしている事に気付かない、鈍い母親。
義父の虐待から逃げて家出をしても、また虐待男に引っ掛かってしまう。

首を絞められ殺されかけて、逃げだす。
逃げ込んで気を失った先は、こよなく傷を愛する骨董収集家の屋敷だった。
その人は、紳士で優しいけれど、やっぱりちょっと変態。傷を美と愛でる、囲い込み癖のコレクター。
でも十有君を傷つけない、暖かい場所を提供してくれる人なので、今度こそ幸せになれそう。

オマケのSSが二か所にありました。
①縁側コレクション 
https://bit.ly/3sXtXFg

⓶プライベッタ 
https://bit.ly/3LUDrrG

★6/3にyoco先生の挿絵で、また新刊が出るそうなので、楽しみです。

2

タイトル大賞

レーベルがなくなってしまったので、もはや電子か中古でしか入手できない作品なのですが…いや~~~~っ!!素晴らしかったです。yoco先生のおされなファッション誌みたいな表紙、挿絵もめちゃくちゃ世界観にはまっていたので”神”ですね。

変態紳士と不遇な青年のラブストーリーで、攻受の属性が”割れ鍋に綴じ蓋”感がありました。が、そのたとえがちょっと雑に感じられるくらい、丁寧に丁寧に、二人の日常と心の交流が描かれていて、どエロいんですけどほのぼのしてしまったのでした。(エロぼの?)

心も身体も傷だらけの受さん、その傷を骨董の茶碗にある”金継”になぞらえているところ、”修理してまで大切に手元に置いておかれたモノ”という表現がとても印象的で(傷なしピカピカより価値があるように見えて)、本当にこの攻受の関係性、そして”愛傷コレクション”というタイトルの妙を感じてしまいました。葵居先生のセンスがすごいです。

今までの境遇で受けたマイナスの感情を、紳士の手厚い愛情と庇護でプラスにしていくプロセス(の行き過ぎたやつw)、変態、執着、独占って表現ではちょっと物足りないくらいの味わいと複雑さがあって、レーベルの都合で再版されないのがもったいないくらいいい作品でした。そして、自分が疲れてるときとか、傷ついたときに、また読みたくなるかもしれないなと思いました。

10年後の二人、とか読んでみたいな(妄想)。大きな変化がなくても、そのことがむしろ尊い世界観として成立してしまうような攻受でした。

4

甘いのは毒か薬か

甘ーーーーい小説トピで知って読んでみました。
始めましての作家さんです。

確かに甘い。ですが常にゾワゾワしました。
本当はどうなの?どうなるの?何考えてるの?どうするつもりなの?と恐怖と紙一重な甘さといいますか。
砂糖なのか毒なのか?

200ページほどなのですが、すごい盛りだくさんでしたね。

トモが不憫で気の毒で。継父や同棲相手とか、逃げて〜!というか警察や学校や行政を頼ればいいのに。
と毎回思うのですが、被害者は誰にも知られたくないんですよね。愛してくれない母にそれでも嫌われたくなくて、自分さえ黙っていれば…と。
行くところがなくて、自分さえ我慢すれば…と。

花賀屋の家の庭で倒れて、目が覚めたら手当てをされてあってベッドに寝ていて。
美味しい朝食に優しい男の人。

初めて体目当てじゃない優しい大人の男の人で。
トモを大切に大事に大きな包容力で包んで、トモがどんな態度や言葉を言っても家に置いてくれて。

ただ異常に傷に執着するのが気になって。甘々もなぜかゾワゾワしてしまいました。

トモの思い込みや五東の暴走や花賀屋の誤解で切ないのが続き、どうなるの?とハラハラして読むと…。

最初から。なるほど。
変態執着紳士の歪んだ性癖。でもトモは歪んでてもいい!繋がれて監禁されて嬉しい!って。
自分から飛び込んで来ちゃって、花賀屋の好みに仕上げられて。飛んで火に入る夏の虫?

後でわかるあれやこれやな種明かしにもびっくりでした。
エッチもすごかったです!ローション使ってあげて!

2

素晴らしすぎる


 序盤の十有の懐いてないところから、花賀屋の下心のない(ある)優しさを感じて懐いていくところが捨て猫みたい。

 「本盗んで出ていくから」って言った時に、攻めの知り合いの医者に、「なんでわざわざ言う? 迷惑かけたいなら黙って盗んで出ていけばいいのに。わざわざ言うってことは構って欲しいんだろ。出ていくなって止めて欲しいんだろ」って(意訳)言われてしどろもどろになっちゃう受けがかわいかった。

 犯される時に投げられる言葉は罵倒とかばかり。それに慣れていたから、攻めに言われる褒め言葉にむずむずドキドキしているのがたまらなく可愛い。褒められるのが羞恥プレイ。ある意味言葉責め。

 もう、も〜〜〜取り敢えずかわいい!!
 攻めは包容力ありすぎだわ、受けは初めての優しいセックスで蕩けちゃうわで。あまあま。
 愛のあるセックスにぽや〜っとするの可愛すぎでは!?

 五東(♂)と村瀬(♂)もいいキャラ。
 花賀屋が独占欲を出してくるターンからフィーバー。
 他人に十有を触られたことを知り、花賀屋が手錠で監禁する流れが素晴らしい。(まだ付き合ってません)
 監禁されてるのに喜んでる受けがかわいい。

 監禁中のプレイ? がね、もう最高で。膝に乗せて食事を与えたり、飲み物口移ししたり、部屋の中でおまるにおしっこさせたり、たまりません。

 なんやかんや一悶着あって、恋人になってからの花賀屋は包み隠さず変態さを曝け出します。

 展開や攻めと受けの性格から全て、めっちゃくちゃ好みでした。

 起承承承承承承転転転転結ってくらい盛り上がりがいっぱいで飽きません。最初から最後までクライマックス。

 表紙の陰鬱さからは想像もつかないくらい甘々です。純愛と言ってもいいくらい。

2

冷静になると変態紳士なんだけど…

不憫な受けが執着系の攻めに救済されていくお話は大好物なんです。なので、最初に読んだ時はとても刺さるお話だと思いました。

まず、設定がとてもいい!アンティーク、それも傷があるものでも金継ぎをして大事にされているものが好きな骨董品屋兼客員教授の攻めと、家族からも大事にされたことのない、そして元彼から暴力を振るわれて身体に傷痕のある受けというCPです。この時点で優勝です。

人から大事に扱われたことがない受けが、初めて宝物のように愛でられる様子がたまりません。でも20年近く、雑な扱いしかされたことのない受けは、攻めの真っ直ぐな愛情に全く気付かないどころか、真逆の解釈をしてしまい…という、まぁ珍しい展開ではないのですが、攻めによって愛情ってこんなものだよって教え込まれていくその過程が、葵居先生の丁寧な筆致、yoco先生の繊細な絵柄に最高にマッチしているなと思います。

でも冷静になるとこの攻め、ある意味とってもヤバいんです。元彼と出くわすと危ないから、というもっともな理由はあるにしろ、自宅に軟禁するし、受けに横恋慕してる教え子に見せつけプレイやっちゃうし、嫉妬から手錠は使うわトイレまで…(皆まで言いません)。なのにヤベーヤツや!!ってならないのは、まず何より紳士だということ。話し方が受けだけに限らず、親友までにも丁寧語だし、怒らないし暴力は振るわないし、骨董品屋さんだからか、着物をサラリと着こなしているし、最後には元彼をしっかり制裁してくれちゃうし。変態プレイをチャラにしてもお釣りが来るんじゃないかと思わせるほどの紳士なんです。タイトルに変態紳士と書いて不快に思われた方がいたらスミマセン、褒め言葉なんです。思えば私は愛が重すぎるゆえの変態は大好きなんですよね(笑)

この作品で丁寧語(一人称が私!)攻めが好きになっちゃったんだなーと冷静に分析できたのは、この本を読んだ随分後のことですが、丁寧言葉での言葉攻め、私の萌えになりました(笑)

3

執着変態紳士の極み

強気健気不憫受け!腹の中は執着変態紳士!
傷つきまくって愛される自信皆無な十有と自分好みにして閉じ込めたい花賀谷さん。
花賀谷さん、とっても愛が重いのに十有には全く伝わらず、
十有は真逆に捉えて苦しんで…すれ違ってお仕置きされて…健気すぎて震える

十有はなんにでも期待しないよう先に自制し
(本当は優しくされたいと気づいたら、
どうして優しくして貰えなかったのか考えて惨めになる)というようなことを言って、
殻を纏い、先に攻撃しちゃう…ツライ

そんな十有が花賀谷さんの優しさに少しずつ癒され丸くなる姿が可愛くて可愛くて。
花賀谷さんの攻めっぷりがすんご~~~くて
自分だけのものにするためにドロドロに甘やかして、トロトロ可愛こちゃんに!
傷を性感帯にしちゃうって!!!!!
そこが十有のキーポイントだっただけに、愛の深さを感じました。
花賀谷さんの行為を真逆に考えなかなか受け入れられなかった十有も
最後はやっと信じられ甘えれるようになって良かった良かった感無量です。

葵居先生のHPやプライベッターでSS読めるんですが、
縁側でニャンコと過ごす光景に癒される。よくぞ、ここまで…号泣
幸せたっぷりなSS公開してくださってるので、二人をたくさん読めて幸せです。

4

最高でした。


念の為、ネタバレにしています。

少し前に発売された作品。
かつ、雰囲気は好きだけど、序盤で読まなくなってしまい、積んでいました。

時間が出来たので、再度読み始めました。

結果、速攻で読み終わりましたー!!

序盤は、受けくんの痛々しい境遇が卑屈に描かれ、少し苦手意識がありました。
ですが、攻め様が最高にツボでした。

大人の余裕を纏わせながら、受けくんを翻弄していきます。攻めさんからすれば、愛情表現なのですが、受けくんは、今までの境遇から、素直に受け取れません。うじうじ系です。苦手な方は注意です。

受けくんの成長と攻めさんの愛情表現を是非読んで確かめてください!!

4

性癖をフルボッコにされた

何回も読み返してます!
攻めの方がずっと歳上なのに敬語で、受けちゃんはタメ口なのがたまりません。善人と見せかけてヤンデレの攻め大好物です。包容力で殺してくるタイプの攻め。涼しい顔でともくんを陥落させちゃうのがまた、ともくんの羞恥心を煽っていってどんどんしおらしくなるともくんが可愛すぎて悶える。yoco先生の挿絵がコレまた素晴らしい。受けちゃんはかわいいわ、かがやさんはかっこいいわ…。今は紙の本が手に入りにくくなっててかなしい〜!手元に置きてえ〜!

3

不遇な青年をふわふわと囲い込む愛

性暴力を受け続けた十有が傷物骨董品コレクターの花賀屋と出会い、傷痕も含めて心身ともに愛されるようになります。

不遇な受けが年上の攻めの庇護下で癒されるというのはよくある話ですが、このお話の攻めの花賀屋は一癖ある変態さんです。一見穏やかな紳士かと思いきや、かなーり偏執的な性格なわけですが、その屈折具合が十有君の傷にぴったりとはまっていく様子にぞくぞくしました。過去の経験から心が頑なになってしまった十有君が、愛されることに喜びを感じながらも素直に受け止められない様子がいじらしくて可愛くてたまりません。

作品の閉鎖的な雰囲気にyoco先生のイラストがぴったりですね。

2

性癖をめった刺しにされる

この作品、ものすごく好き。
完全に2人の世界というか、題材は軽いものではないですし、屋敷の中はどこか閉鎖的だというのに、漂う雰囲気はとっても甘いのが不思議。
日常のやり取りにほのぼのとしたものもあるからなのかな。

タイトルとカバーの印象から、てっきりドが付くほど痛いお話かと思っていたんですよ。
ああ、もっと早く読めば良かった…!好き!
人物設定から話運び、"傷の点検"など、細かなところまでドスドス性癖に刺さりました。
破れ鍋綴じ蓋ものがお好きな方、癖が強い紳士攻めがお好きな方、受けの幸せを願ってやまない方にはハマる作品なのではないでしょうか?
甘々なのに甘いだけではなく、ビターな甘みが広がる。
癖は結構強めですが、個人的には強くおすすめしたい作品。

性的に辛く不幸な目に遭い続けて来た、これでもかと不憫受け属性を背負い込んでいる十有。
タイトルにもある通り、とにかく傷だらけで。
傷を負い過ぎて感覚が麻痺してしまっている上に、優しさや愛情というものを知らないんです。
それ故に、自己評価が低く、自分には価値がないと思ってしまっている。
どれも十有には全く非が無いものだというのに。
ああもう。こんな子、抱きしめてあげたくなるに決まってるじゃないですか。

そんな傷だらけの十有を拾いあげたのは、花賀屋という大学客員教授と骨董商を生業とする20歳年上の裕福な紳士。
庭に転がり込んだ傷だらけ野良猫のようだった十有を庇護し、じっくりじっくりと慈しみ、溺愛し、気付かないうちに周到に囲い込み、蜂蜜のようなどろどろとした愛情で溺れさせていく。
これが本当にたまらなくて。

不憫で不遇だった子が、純粋に愛されて幸せになるお話は数多くあると思うんですよ。
もちろんそちらも大好きなのですが、スタンダードな作品と異なるのは花賀屋のキャラクター。
着物を身に纏い、物腰柔らかで、常に敬語で包容力がある優しげな紳士かと思いきや…
上品な言葉遣いに騙されそうになるんですけど、良く見るとかなりのねちっこさのある執着・独占欲まみれで、変態さも感じられる攻めなんです。
愛し尽くさなければいられない、屈折した部分のある攻めです。
濡れ場ではそれが如実に出ているかもしれません。
描写が結構濃厚なんですけど、言葉責めをしながら受けを褒めたり甘やかすのがとんでもなく良かった…
葵居先生は毎回新しい扉を開いてくれる気がします。

ただ、十有への接し方が本当に骨董品を優しく愛でるような愛し方なので、傷付いた心と身体に寄り添う優しい物言いの数々がすごく沁みる。
この包容力はこの年齢設定だからこそだと思う。
(印象的にはもう少し上にも感じますが)
丁寧に甲斐甲斐しく大切に磨かれ、少しずつ愛情を知って素直になっていく十有が愛らしくて仕方がないんだなあ。
それと同時に、優しさを素直に受け取って良いものか、なかなか人を信じられない姿が痛々しくていじらしいんです。可哀想で可愛い。
ぽつぽつと素直にお礼を言ったり甘える十有が可愛すぎて萌え転がりますし、さり気なく独占欲を見せたり、甘く優しい檻に閉じ込めるような花賀屋にもどうしようもなく萌えた。
十有視点でお話が進むので、彼の心情の変化が見どころかなと思います。

自分の色で染め上げるまで愛さなければ気が済まない溺愛執着攻めと、誰かに必要とされたい愛情と優しさに飢えている受け。
その人についた傷ごと丁寧に愛し、自らの手で修復し、自分だけの大切なコレクションとして愛でたい花賀屋。
彼の歪んだ部分のある愛し方は、心ごと縛りきられるまで愛されないと不安な十有にはぴったりなんだと思う。
ここまで綺麗な組み合わせは久しぶりに読んだかもしれません。
しかし、絶妙なタイトルが素敵ですね。

攻めも受けもどちらも好みでしたし、読み応えもあり、読後感も良く非常に楽しめました。
普通の甘々ものとはひと味違う甘々なお話が読みたい方はぜひ。

4

若干ヤンデレ×不憫受け

ヤンデレとスパダリを兼ね備えた紳士なおじさん×性的虐待を受けてきた青年

初対面のときは、善意を信用できずにいたけど、段々一緒に暮らすうちに好意を持ち、、、

って感じで、付き合えるぞ!!って感じだけど、受けが今までの環境のせいで悲観しててめちゃくちゃもどかしかった

当て馬の登場でちょっと2人がすれ違いで(?)ハラハラしたけど、最後には想いを伝えあって、ありのままの自分同士で愛し合ってよかった!

最後のセリフでヨーロッパにいく云々の話で、ずっと一緒に、大切に寄り添う姿をらちょっと想像してうふふと笑ってしまった。

何はともあれハッピーエンドでよかったー!
yoco先生の絵の相性もよく、すごく品があり、綺麗

1

愛されるものは美しい

まずカバーイラストが美し過ぎます。yocoさんのイラストの小説が読みたく、その中で一番気になったこちらを選びました。
歳の差、甘々、気持ちのすれ違い、敏感、言葉攻め?とかなりツボが充実していて、ゾワゾワと指が痺れ、毛穴から吹き出しそうな程興奮しました!(笑)

少年を囲い愛する大人の図というのは至ってオーソドックスですが、その愛し方や触れ方、大切にする様子は彼の職業設定で説得力を持ち、想像のしやすさがありました。
大人は骨董コレクターで傷付いた物も補修し、古き物も所持して来た人を想像して大切に優しく扱います。そして変態でもありますが。
傷付いた少年・十有(とも)は家族に愛されず性的虐待を尽くされ愛される事を知りません。死を危惧し偶然、花賀屋(かがや)の家に逃げ込みます。
彼の思考回路はある程度よくある自虐的すれ違いパターンに沿っているのですが、彼の生きてきた道を物語っていて可愛そうで、そして愛らしく応援したくなります。
この十有が、花賀屋と古品市を歩いた時に話す物に対する考えが控えめで、花賀屋と違うのもまた面白いです。

甘える事を知らず出来ずハリネズミな十有の頭を撫で、緊張を解そうと甘やかしまくり溺愛の大人。身体で払う…というのも全部は否定しないし断らない大人。だから初期の段階から美味しいのです(笑)
点検と称してキスしたり傷を愛撫する事で、十有は自分が骨董のように扱われているのだと早々に気付きます。彼に愛玩されたいと、ずっと手元に置いて貰うには傷を付けなければと追い詰め…はぁ最高の展開です。

十有が19歳の割に子供っぽく扱われていたり、歳を取ったらどうするのだろうとか、リアリティはそこまで無く、大味に言えば王道でちょっと話に上手く行き過ぎ感は否めないのですが、設定が上手い(美味い)ので甘く楽しめました。
最後は煮詰めた甘々で、読後感も良いです。

同じ人間でも、花賀屋に出会う前と最後の十有は内も外も見違えるでしょうね。たとえ花賀屋が独占欲があって歪んでいても、十有を大切に育て、手入れをして隅々まで触れ、宝物だ綺麗だと吹き込めば、より美しく真っ直ぐに、より愛おしくなるのでしょうね。金継ぎの茶碗のように、花賀屋だからこそ出来る所業だと思います。
それは普段の物や人に対する考え方にも影響されそうです。
良いなぁ、人を甘やかしたり優しくしたいなぁ、と思えました。

3

挿絵の力が絶大

「愛傷コレクション」というタイトルから勝手に痛いSMものだと思ってたんだけど、不朽の名作BL小説100選にノミネートされたことをきっかけにあらすじを見たら思いっきり誤解してたことに気づいた……。
そして「ときめく恋」という部門にノミネートされてたけど、これってときめき……?

義父から性的虐待をされて育ち、家出先の男にも暴行され輪姦され……という不幸テンコ盛りの少年が花賀屋という男に拾われて溺愛されまくるというお話なんだけど、花賀屋のキャラ勝ちだなと思いました。

一言で言えばとにかく端正な男。
和装、ですます調の丁寧な言葉使い、骨董品を愛でるという風流さ。
そしてyoco先生の気品溢れる挿絵によって、それらの印象が更にアップ。
まさに紳士。
どんなことしても紳士のイメージが損なわれることがないのは、イラストの力だと思います。
そう考えると、挿絵ってやっぱり重要だなぁって思いました。

手負いのハリネズミ状態の受けは何かと針を逆立て、宿代代わりにエロい事をすると申し出るんだけど、当然攻めは取り合わない。
しつこくエロを持ちかける受けに対して、代わりに…とキスをするんだけど、そのキスっぷりにこいつただもんじゃないな……と思ったら、予想通りどころかそれ以上だったわ。

端正な男という印象は相変わらずなんだけど、そこに変態ヤンデレ風味がプラス……

正直言うと、初読み時はちょっと違うなぁと思ったんです。

受けが性暴力にあい続け精液まみれで育ったような子だからこそ、攻めは受けの心が完全に開くまで手を出さない覚悟でいるんだけど、受けはそんな男と出会った事がないもんだから「何であいつはエロい事をしないんだろう?俺に一切興味がない&好きじゃないからだ」とかえって不安に陥っちゃうみたいな。
で、心通じ合ってエロ爆発!みたいな。

そういうのが好きなんで、わりかし早い段階からエロ点検しちゃう攻めに、おいおい……と思ったのも事実なんだけど、きっとこれは一見紳士に見えて実は変態ヤンデレな花賀屋との破れ鍋綴じ蓋カプっぷりを楽しむ本なんだ、と思います。

ヤンデレといっても、胸糞悪くようなヤンデレではないし、愛がありすぎるから、愛が重すぎるからこそというところが良かったです。

7

執着攻め、健気受けの最高峰!!!!

葵居ゆゆ先生作品は本作が初挑戦でしたが、結論から言います。とてもとても素晴らしい作品でした。

継父や元彼からの性的虐待で心も体も傷だらけ、特に心をガチガチに武装している受けの十有くん。
倒れている十有くんの傷の淫靡さに惹かれ、彼を保護し、甘く優しく褒め、時に快楽で蕩かせながら日々磨いて美しくしていく、攻めの花賀屋さん。

お互いに両片思いなのに、受けがこれまで虐げられすぎて自分に自信が持てずすれ違い…この部分は本当に切なかったです。
葵居先生の心理描写の緻密さが光る、素晴らしいくだりでした。

そしてエロ!葵居先生作品はとにかくエロが濃厚&多い!満足度100000%です!!

受けが攻めに言葉責めされ恥じらいながらも敏感に感じる姿があますところなく描ききってありました。
潮吹きする十有くんは死ぬほど可愛いです。ぜひ本編であの可愛さを堪能してほしい!

執着攻め・健気受け好き、濃厚エロ好き、攻めが受けをとことん甘やかす甘々な関係が好き…という方にぜひぜひぜひおすすめしたい!!!!!!
騙されたと思ってぜひ一度手にとって欲しいです。絶対後悔させません!!

素晴らしい神作品です。

7

受くんが表紙と違って、でもすごく良い

溺愛好きにはたまらん一冊でした。

好きと表現したいのにそれまでの生い立ちから中々表現できない受くんと、不惑の変態ではなく変人な攻さん。
好きと言えないし、好きだから離れたほうがいいとひとりで悩みまくる受くんが、とても愛しかったです。

変態と変人は私の中では割と類義語でしたが、受くんのセリフになるほど、と納得してしまいました。
いやでも冷静に、確かに攻さんは変人だけど、変態の性も持ち合わせてるんじゃないか…
変人かつ変態でしたが、紳士な部分もいかんなく発揮されていて、最高でした。
攻さんの友人の、破れ鍋に綴じ蓋の発言がありましたが、まさにぴったり。
良い思いさせてやると言ったけど、それは誰とは言ってないだろ?、の下が最高に気分良かったです。

古いものが好きという攻さんに、共感出来たのも良かったです。
人が大事にしていたものを、時代を超えてまた使えるって素敵だと思います。
金継ぎは親しみがありましたが、銀継ぎもあるとは。

終始穏やかな雰囲気の中で物語が進みますが、受くんの感情がしっかり起伏があって一気に読み進めてしまいました。
ごちそうさまでした。

9

破れ鍋と綴じ蓋

これは!
拗れている人たちを描けば大層面白い葵居ゆゆさん。
今回のお二人も拗れまくっております。

暴力男から殺されかかって逃げ出してきた十有は、邸宅の広い庭で気を失います。目覚めてみれば、時を経たセピア色の物たちに囲まれた部屋の、暖かい布団の中。家の持ち主である花賀屋(骨董商かつ大学の客員教授)は、傷だらけの十有をこのまま出ていかせるのは忍びないと言い、しばらくここにいるよう説き伏せます。十有はその対価を性的な奉仕で支払うと言って聞きません。義父に性的な虐待を受け、逃げ出した先でも暴力的なSEXに甘んじることで、今まで生きてきたからです。しかし、花賀屋は怪我をしている十有に挿入はせず、彼の快感を促すようにしか接触をしようとしません。花賀屋に可愛がられる理由が解らない十有は、自分の傷を気に入っているから(つまり花賀屋が『傷フェチ』だから)だと思い込みます。いつかは出て行かなければならないから、何も期待したくないのに、どんどん花賀屋の側にいたい気持ちが大きくなっていく十有なのですが……

壮絶な経験の所為で「気を許すということは、期待するということだ(だから気を許さない)」と心に決めている様な子が、「優しくされたら優しくされたほうがよくなる(だから酷いSEXをして欲しい)」というような子が、たっぷり優しくされて「嬉しさと寂しさは隣りあわせだな」なんて思っちゃうんですよ。
もう、自己肯定感がとんでもなく低いので、優しくされる度に何かネガティブな理由を見つけないと落ち着かない。ただそこにあるだけでは愛される価値がないと思っちゃっているんですね。
もう、こんなの、涙なくしては読めないじゃないですかっ!

このお話にえらく感心したのは、花賀屋の造形です。
よくぞこんな頑なな受けにピッタリの攻めを持ってきたもんだなぁ、と。
『ヤンデレ』属性とされていますが(確かにそうなんだけれども)でも、一番は『愛の重い人』であることだと思うんですよ。

「お前を俺のものにしたい」っていう科白をよく聞きますが、実は私、この科白がちょっとだけ苦手でして。
いや、ロマンチックだと思いますよ。
そういう気分が解らないわけじゃないんですよ。
でも、うっとりしている私にもう一人の私が言い放ったりするんですよね。
「いやいやいやいや、その人はその人のものだから。たとえ是と言ったとしても、それって気の迷いとか、単なる勢いだから。他人を所有は出来ませーん」

でも「この二人ならあり得るな」と思ったんです。
今まで得られなかった分だけ、人の何倍もの愛を注がれる必要のある十有と、愛が暴走してしまう花賀屋は正に『破れ鍋に綴じ蓋』。
そう言えば始めの方に、花賀屋が金継ぎの焼き物を愛でているシーンがありました。このラストを示唆していたんですね。

今回は、互いに捩じくれている部分がピッタリ合ったので、大団円でお話が終わります。
だから、葵居さんのお話の『どこか寂しく終わる感じ』『ハッピーエンドなのに何故か不安な感じ』を好んでいる私としては「おお、ちょっと毛色が違うな」とも思いましたです。
でも、書かれていることが全てピタッと合って、えらい快感を感じました。

11

ヤンデレ紳士攻

義父からの虐待や同居人からの暴行から逃げ出したところを、花賀屋に拾われた十有。十有は、これまでの経験から、優しくされる事に慣れておらず、助けてもらってもツンケンしてばかり。そんな十有を上手く甘やかして甘やかされる事に慣らして行く花賀屋と、甘やかされる事に怯えながらも受け入れて行く十有だったけれど…。


愛情が行き過ぎて自分色にカスタマイズしたがるヤンデレ変態紳士×傷つけられ続けて自傷的で愛情に飢えた健気な子 というまさに破れ鍋に綴じ蓋カップルでした。傷ついた子猫を徐々に手なづけるように、真綿に包むように愛して行く花賀屋の様子と、戸惑いながらもその環境に依存していく十有に、閉鎖的な淫靡さを感じました。
最初から口淫や身体で代償を支払うという十有に切なくなり、敬語で丁寧かつ穏やかな口調で十有を色々と追い詰めていく花賀屋にきゅんとしたり。
エロは多め。十有の身体の傷の様子を見るという名目なので挿入まで至らない事が多いです。
愛情に飢えていた十有は、これから花賀屋の過ぎるくらいの愛情で甘やかされれば良いと思います。

ヤンデレ変態紳士は最高でした…。でも、気分が悪くなるようなヤンデレ具合でもなく(十有が相手だからかも)、楽しめるヤンデレでした。

6

程よいヤンデレ具合

体に傷をもつ人物の表紙から痛々しい内容かな…とドキドキしつつ手にとったんですが、攻めから痛い事をされる事は無かったです。
攻めの花賀屋はヤンデレと分類されるタイプですが、受けの十有の不憫な境遇を考えると、個人的に全然OKな執着っぷりでした。

はたから見ると、花賀屋は充分十有を気に入ってるんですよね。
しかし十有は過去の経験から、そして花賀屋の性癖から「気にいられてるのは傷痕だけ、そのうち飽きられる」としか思わない。
この十有の想いが悲しくて切なくてもどかしかったです。
そんな十有を、時間をかけてじっくりと手懐けるかのような花賀屋ですが、もう少しちゃんと言葉でも表わせよー!と思いました(^^;;

クズ元彼の問題は解決したけど、十有の家族の問題はそのまま。
母が十有を探しているふうだし、そのうち和解できる事を信じたいです。
でもって、ゲス義父に天罰を!!

愛に飢えてた十有と、愛するものを常に愛でたい花賀谷。
年齢差はあるものの、この二人はずっとうまくいきそう。
十有はもっともっと愛されるが良いよ…(´∀`*)

4

変態紳士は好きですか?

攻めが何気にタイプなので神評価です!!

イラストとの効果が発揮された作品だと思いました。イラストがyocoさんでなかったら、印象が全く違ったとおもいます。エロ度は確かにエロえろなんですが、イラストのおかげで上品さが出ていて、変態紳士も変態よりも紳士の方が引き立って見える。途中どう話が転がるのかわからずヒヤヒヤしましたが、最後は十有くんがこれからも愛されていく様子が伺えてよかったです。

7

変態紳士と不憫受け

斎条十有(受け)は継父から性的虐待を受け家出しますが、その後に世話になった堂地もやっぱりクズでサディストでした。堂地+友人からの暴行と輪姦に耐えられなくなり逃げ出したのですが、追いかけられ窮地に陥った十有は手近にあった庭に不法侵入しそこで意識を失います。気が付くとベッドに手当され寝かされていました。今までの経験上優しくされたことがなかった十有は警戒するのですが、助けてくれた屋敷の主、花賀谷清士(攻め)は傷が癒えるまで居たらいいといってくれます。
初めてクランブルを作ってもらい、夏にブラムリーアップルで作るクランブルが美味しいと聞き、半年後のブラムリークランブルが食べられるまでそばにいさせてもらえないかと思う十有でした。

十有は再婚した母親が理想の家族を手に入れたと喜んでいて、弟の方に愛情があるのも知っていて、でも愛されたくて家族を壊してはいけないとどこにも相談できずに我慢しました。十有は継父からの虐待で「悪いのは十有だ」という暗示を受け続けます。が、この暗示のせいで自分が淫乱で悪いと思い込んでいる十有は、堂地に暴行を受け輪姦されても諾々と受け入れてきたのです。

花賀谷は資産家で骨董商で大学教授もしている紳士的な男性です。蒐集するものは一般には傷物といわれるもので、修理するほど愛さ
れた壊れたものや傷ついたものを愛でています。そのためか傷だらけの十有も骨董のように優しくします。

表紙を見たときも体中痣だらけで、痛い話だったらどうしようと思ったのですが、この作者さんは攻め様に溺愛される話がほとんどなので思い切って読んでみました。実際には、手負いの猫を保護した資産家の男が、やさしくされることに慣れない警戒心丸出しの猫を手なずけていく話という感じです。

傷つけられることしかされたことがないので、優しくされるとどうすればよいかわからなくて戸惑ってちょっとツンデレ風になったり悪ぶったりする十有が可哀想でなりませんでした。好きになった人には好かれたことがなかったため、優しくされても勘違いしないように言い聞かせ、自分にとって悪いよう悪いように捻じ曲げて解釈してしまう十有をいらつくという受け止め方をする人もいるかもしれませんが、私は傷つけられすぎて、優しくされるのが怖いとまでいう十有の心を守る術だったのだと思ったので、早く花賀谷の真意に気付いて癒されてほしいと思いました。

十有視点なので容姿はよくわかりませんが、周りの反応からきっと中学生の時から色香の漂う雰囲気を醸し出していて、継父がそれにやられたんじゃないかと思われます。
自分に非がないように、かつばれないように、十有のせいにして犯し続けた継父は地獄に堕ちろと思いました。継父の虐待がなければ十有の人生は180度違っていたでしょう。

花賀谷は愛情深いのですが、それが行き過ぎるため恋人に逃げられる傾向があるようで、十有に逃げられないようにうまく囲い込もうとしていたのです。でも、十有に対してどこが気に入ったのかはあまりよくわからなかったように思います。一目惚れってやつかな、傷だらけだったし。
自分の変態具合を怖がらせないように少しずつ慣らしていたのに、花賀谷に心酔し手伝いに来ていた学生の五東が十有の色香にやられてしまい、横恋慕したことから話が動きます。五東は1年半も花賀谷の手伝いをしていて信頼されてきていたところで花賀谷も気に入っていたので、十有が自分のせいだと思うのも仕方なく、お互い気の毒でした。

優しくされなさ過ぎて、ちょっとした愛情が全く信じられない十有にとって愛情深すぎて逃げられる花賀谷は丁度良い組み合わせのようでした。いままで、傷つけられすぎて麻痺してしまった十有をたっぷり甘やかしてあげてほしいです。

そして、花賀谷の友人の深瀬は奇特な人でした。初めは得体のしれない十有に対して警戒しまくりできつい言葉ばかり言ってきてちょっと嫌なやつって感じでしたが、本人に変態だと言い切りし、相手に逃げられるのではと心配し、やけ酒に付き合い、トラブルの仲裁をし、しょっちゅう目の前で繰り広げられるいちゃいちゃを呆れながらも受け入れる、懐の深い人?でした。

ただ、継父も堂地も最終的になんのお咎めもないのがもやもやしました。社会的に抹殺されれば良かったのに。また、お母さんと再会できたのかも少し気になりました。十有は絶対無理だと思っていますが、抱きしめてもらえるといいな。

8

きっと何度も読み返す♫

初読み作家さんでしたが、大変大変萌えました!!

40歳骨董商×20歳虐待されてた受け。
環境のせいで歪んで育ってしまった受けの子が、只々優しく愛されることに戸惑ってパニクったり天邪鬼な事を言ってしまう序盤の態度が萌えツボにハマり、可愛らしかったです〜
(攻めはこれを困ったハリネズミさんと表現w)
受けの境遇はかわいそうですが、読むのに痛々しくて辛いというところまでは感じず、読みやすいです。

段々攻めに溶かされてどんどん素直な子になっていくところも微笑ましいし、転の部分のクライマックスの作り方も萌えました。
攻めはどこまでも優しいのかと思えばそんなことはなく、、、
でもやっぱり優しい〜〜!!
攻めが大事な骨董品を愛でるように受けを愛すので、
基本的にエロシーンは甘めで、でもそれが逆にスパイスになっている印象。
とにかくエロエロに感じました(*゚∀゚)

紳士攻め×ツン受けっていう構図も大好き。。
とはいえ受けは本来素直ないい子なので、
中盤からは真面目なかわいこちゃんになってますが、その変化も含めて楽しめました。
ゆゆ先生のブログ掲載SSも含めて一気に読んだ作品です!

12

受けは表紙よりも華奢と思ってください

年の差20歳という、個人的には新記録では?な作品です(年上攻め)。
イラストは大好きなyocoさん。
ただ表紙の受けはかなり首が太めのガッチリ体型で描かれていますが、小説内容と中の挿絵は華奢な美少年風なのでその辺りの違いはご注意を。
わたしは購入前、受けの体型で若干躊躇しましたので。(ムキムキ受け苦手)

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受けの十有は継父から性的虐待を受け高校生の頃に家出し、その後は暴力的な男と同居していた19歳。

攻めは裕福で、趣味道楽に近い骨董商。
大学の講師も務める花賀屋、40歳です。
**********************

同居人からの暴力と輪姦から逃げ出した十有。
そんな時偶然隠れた庭先が花賀屋の家だったことから出会い、そのまま囲われるように世話になるという感じなのですが、この花賀屋は独占欲の塊のような人で、かつそれを面には出さない大人の男であるのが十有を混乱させ誤解させ、最後の最後まで花賀屋の本心に気づかないという流れでした。

個人的には攻めおじさん(40でおじさんというのもあれですが)大好きです。
花賀屋は育ちや職業もあいまって、リアルな40歳よりもずっと大人で年長に感じますが、これは受け視点なのでそれもありなのかなあと思います。
なんていっても年の差があるので。
花賀屋はその穏やかな顔からは想像し難い執着愛、独占愛の人なのですが、それも受け視点のためにちょっと匂わされる程度に表現されていて、それがラスト近くにドーンと破裂する感じでした。
この破裂が好きでしたね。
葵居さんの作品では、一番そういう意味で突き抜けていた気がします。
挿入自体は多くないものの、前戯のようなシーンもひじょうに多く、エロ多めでしたよ。

サブキャラに、花賀屋の友人がたびたび登場致します。
こちらはノンケということですが、男堕ちしてしまう野獣攻めとか読んでみたい大柄男前キャラでした。
スピンオフとかあると嬉しいのですが!

14

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