初恋をずっと忘れられないアッパーミドル×黒い噂のある羽振りのいい経営者 1929年――享楽的な街・ニューヨークで、男たちは刹那の快楽に溺れる。

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表題作こたえてマイ・ドリフター

エリオット・J・ウィリアムズ,自動車業界勤務
ロバート・フェレーロ,ドラッグストア経営者

あらすじ

――享楽的な街、ニューヨーク。
景気のいい自動車業界で働くエリオットは、知人の主催する新年パーティーで、
初恋の子に似た黒髪で黒い瞳のロバートに一目惚れをした。
その後高級ホテルで再会し、意味深なロバートの視線をきっかけに情熱的な一夜を過ごす。
――ロバートが長期滞在するホテルの一室で彼を抱くようになり数カ月。
ドラッグストア経営者だというロバートは、やたらと羽振りが良く非合法の仕事で荒稼ぎしているらしい。
それでもエリオットは、たとえ彼が裏で何をしていようと、
淡い恋の甘い疼きを味わいながら楽しめればそれで良かった。
しかし、世界を狂わす過酷な運命が二人を引き裂き――?

作品情報

作品名
こたえてマイ・ドリフター
著者
大島かもめ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
GUSH COMICS
発売日
電子発売日
ISBN
9784796415996
4.4

(196)

(124)

萌々

(45)

(16)

中立

(10)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
31
得点
858
評価数
196
平均
4.4 / 5
神率
63.3%

レビュー投稿数31

裏表紙を表紙にしてほしかった

ストーリーも最高なのですが、作画!
1929年のアメリカが舞台なので当時のファッションがかっこいいです!!
撫でつけた髪や、スーツ姿に帽子。
作画にうっとりするってこういうことなんだと実感しました。

ストーリーもとても良いです。

0

しんどい。。。。

1929年ったら世界恐慌。

初めて読んだときは、帯に「享楽的な街・ニューヨークで、男たちは刹那の快楽に溺れる」とあるので、アメリカ社交界のお洒落な男たちによる刹那な恋から、不安定な社会状況に揉まれつつも真実の愛に目覚めるみたいな話かなーと予想していましたが…

私の予想なんて甘ちゃんだったわ……。
予想をはるか彼方に着地した終わり方に、まじか??と。
不安定な社会状況に揉まれるなんてもんじゃなかった……。

基本的に光の腐女子なので、みんな幸せではっぴっぴ〜♪とか、いつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ!ちゃんちゃん!みたいなのが好きなんです。

だから、こういう作品には耐性もあまりないし、うーわーーー………!!とどんよりしたのも事実。

でもただの鬱展開とか胸糞展開ではなく、一貫として大島さんの美学が感じられるところがいいですね。
最後の窓で終わる見せ方があっぱれというか、あそこがあるから萌萌評価です。あの終わり方だけ採り上げるなら神でもいい。
日陰者かつ死なば諸共なだけではなく、あの窓があることによって彼らのこれからの人生にささやかな光が入る瞬間もあるんだろうなと僅かな希望を抱くこともできる。
あれがなかったら、萌〜中立だったかもしれない。

大島さんの作品、全部読んでるけれど(作家買いしてるつもりはないけれど、結果的に全部読んでる)作風が幅広いですねぇ〜。
メリバっぽい今作の次は、アイドルものだったし。

次作も楽しみです。

1

海の見える家

冒頭の「1929年6月」で幸せな展開は望めないだろうなと分かる作品。表紙や中のカラーページの華やかさで上げられて、即落とされる。このタイトルにした理由も謎。刺さる層にわざと届きにくくしてるのかってぐらい、見える部分の擬態が強い。数ページめくれば登場人物が株とか言い出すからたまったもんじゃない。暗黒前夜だぞやめてくれ。家族があるんだろアーサー…!!!
大島先生の作品は雰囲気こそ淡々としているものの、暗くはない印象だから意外だった。こういう漫画の主役はカナッペとりすぎたりしないんだよ…!!!ほんと大島先生の緩急のセンスは謎である。いつもなら嫌いじゃないんだけど、手放しに喜べる展開ではない(というか最早胸糞作品ともいえる。)作品にはシュールなタイプの笑いは求めてなくて。
このまま2人野垂れ死ぬのかな…いっそそこまで描いてくれ。

0

想像を超える重いストーリー...!だからこそ心に残る

1話目は、やたら色気あるいい男2人の大人の関係、萌えるぜ!と思いながら読んでいたら、まさかこんな過去があったなんて、まさかこんな重いものを背負っていたなんて...

重くて仄暗いストーリーですが、二人の間にある愛や恋は本物で、でもだからこそ上手くいかないとこもあって...

とにかく、読み終わったあともしばらくこの作品の余韻に浸っていました。

どんな世界でも、どんな人生でも、ただお互いがいればいい。
そんな2人の映画のような物語でした。

1

罪を背負って生きていく

これは・・・メリバ、ですかね??

優しい雰囲気の大人の恋物語かな?と思って軽い気持ちで読みはじめたので衝撃が強いです。過去も現在も未来もずっと薄暗い・・・光属性にとっては読んでいて息が詰まりそうになる一冊。

アメリカの上流階級?に生まれた白人と、中華系の父と不本意に孕まされた白人の間にできた混血児。もうこの時点でだいぶダークなのに、マフィア、殺人と・・・。

二人の関係性は、甘い瞬間もあるのですが、手放しに萌えるのは難しかったです。これを切ない、萌える、と感じられる方にはたまらない一冊だと思います。

全体的な描写などは素晴らしいと思うので、萌ではなくその技量に加点したく、中立です。

2

美しい青色でありますように

風と木の詩の昔から生活基盤が安定しないと
どんな大恋愛も関係性がじりじり変容し破綻にむかうのは
世の常なのだなあと物悲しい気持ちになりました
エリオットよりよほど酸いも甘いもかみ分けていたであろうリンチェが
初恋に足を取られて身を滅ぼしたのが哀れです
死の間際に幻相手に海の天使城に連れてかえってと言った少年の終りとは違い、リンチェは恋人の用意した家に二人で帰っていきます
平坦とは言えない逃避行、疲弊と諦めと後悔が繰り返されるのはなんとなく予見されますが、とはいえ傷つけあったり赦しあえるのも生きていればこそ
メリバかなあと思ったけれど意外と救いのある話なのかもしれません
子供の頃に夢見た家とはかけ離れていても窓から見えるちっぽけな海が
せめて美しい青色であることを祈らずにはいられません

2

苦しいけれど読みたい作品

絵が更に洗練されてセクシーになられて表紙から雄フェロモンが漂ってきます。
たいへん素晴らしいこの美しい絵と帯の文からこんな物語になるなんて全く想像出来ませんでした。

もっと違ったストーリーだと期待していたので
半分の3話まで読み、続けて読むには私にはつらく途中で諦め数週間ねかせました。

それでもまだ読む気になれませんでしたがお話を最後まで見届けたいと思い、ラストシーンだけ先に読んでしまいました。
邪道ですがそれくらい甘く華やかなパーティシーンとタキシード姿の2人に魅了されもう少し甘さのある展開を期待してました。

一読後、落ち着いて読み直すと人生色々あっても命があって好きな人が隣に居てくれたら、それが全てなんだなぁと痛感。
まだしばらくは読み返しが出来ませんが今までの大島先生の作品より1歩踏み込んだ大人向きの素敵なお話でした。

3

時代×スーツだけじゃなかった

表紙が素敵で買っていたのをやっと読みました。
古き良き時代のスーツが素敵だわぁと思いながら読み始めたので、良い意味で裏切られました。

特典のペーパー(イラスト?)が本編とのギャップありすぎで、、、
泣き笑いになりました。

3

子供の頃の思い出

はじめは昔のアメリカの社交界を舞台にしたおしゃれな大人のお話かと思いましたが、世界恐慌などの時代背景も相まって緊迫する場面や辛い場面も少なくなかったです。
エリオットとリンチェ、二人とも一緒に過ごした子供の頃の思い出のお陰で辛い境遇でも頑張って生きてこれたのだと思います。
これからも逃げ続けることになるのかもしれませんが残された人生を二人で静かに過ごさせてあげたい…。
最後のシーンは映画のラストを見ているようで、もし映画館で見ていたら涙で席を立てなくなっていただろうと思います。

2

もう少し…

雑誌で1話を読み楽しみにしていた作品でした。その時にはロバートがミステリアスな紳士でネコって最高だなとかいう、実はこんなどシリアスだとは思わず…笑

漫画あるあるなのですが、せっかく白人とアジア混血の二人が主人公なのに、どちらも顔体白人寄りの造形だったのが個人的に少し残念でした。魅力的なのは間違いないのですが。
お話の時代背景や設定が濃い目な分、もう少し描き込みが欲しく感じました。朝夕や土地勘、モブがふんわりしていて…その塩梅は好みですね。

子供の頃の思い出をずっと大切にして生きる二人がすごく素敵です。実は生活が満ち足りていて自分が無知なのだと知る出会いも、子供ながらに相手を守ろうとする気持ちや関係性も、かなりハードでハラハラしましたが尊かった。

1冊にまとめるには勿体無い内容で、二人がすれ違ったり、命の危機があっても間が余りなく、嵐のようでした。偉そうにすみません…
また感想が変わったらコメント欄に感想書きます。

1

どうか幸せに

お話が進むにつれて心がずぅんと重く、苦しくなるのに、構成が緻密で絵も美しく、儚く、読む手と涙が止まらなかったです。


人種差別、格差社会、薬物、マフィア、殺人、世界恐慌...


設定としては決してポップではありません。
1話こそライトに、あー綺麗な濡れ場♡なんて思いながら読めますが、それ以降はページをめくるのに勇気が要りました。

(スーツ美男子の表紙に惹かれ、この2人のまぐわいが見たい!BがLしてるところ見たい!なんて生半可な気持ちで手に取った昨日の自分をぶん殴りたいです。)


幼なじみ、再会ものだと紆余曲折してハピエンがお決まりだと思っていたのですが、これは、、、メリバ、、、ですかね。


どうしてもリンチェの生い立ちや周りの環境を憎んでしまいがちですが、でもこういう背景がなければエリオットとも恋仲にはならなかっただろうし、でもでも恋仲でなければ2人には別々の穏やかな幸せがあったんじゃないか、、、なんて、

正解はないけど色々考えてしまいます。


はあ、しんどい、、、笑

神様お願いだからこの先は2人を絶対に絶対に幸せにしてあげてください、、、


なんやかんやまとまりのない感想を書いていますが、個人的には全人類に読んでもらいたいBLコミックベスト3に入ってくる圧巻の作品でした。

ただ、どうしても苦しい場面が多めなので、好みは分かれるかも。

ストーリー重視派な方には声を大にしておすすめしたい作品ですね。
1本の映画を見終えたような感覚になります。

ちなみに、私は読みながら泣いて、読み終えて泣いて、皆さんの考察を見て泣いて、もう1回本を読み直して泣いたので、涙腺バグってると自覚がある方はお仕事や学校の前日には絶対読まないでくださいね。
目が腫れます笑


感想書いてたらまた読みたくなったのでもう1周してきます涙

5

時代設定すばらしい

NHKスペシャルや映像の世紀スキーとしては堪らぬ世界設定でした。
禁酒法に世界恐慌…世界恐慌の悲惨ぶりをこの攻めも味わうのかーと暗い気分になりながら読み進めていたけど、そうでもなかった。
それよりも禁酒法で捕まった受けのほうが育ってきた環境も相まってつらい…。
でもそこはBL作品ですので。この作家さんの作品はどれもハズレ無しだし、安心して読めたのがよかったです。
BLではなかなかない時代設定を楽しめました。

4

ドリフターとは、だれのことなのか

私の読み込みが甘かったのかもしれませんが、リンチェなのか、エリオットなのか、それとも二人なのか、いまだに考察の余地があるタイトルです。
すごく、深い。

表紙のとても耽美で綺麗な二人の姿に惹かれて、本作を購入しました。
表紙からも感じましたが、さすがの描写力というか、圧倒されたというか。
あ、これは真剣に腰を据えて読みたい作品だ、と思わせるような、そんな印象でした。

羽振の良さそうな、どこか怪しさを感じつつも、エリオットの目を奪って離さない受・ロバート。
良い家に育ち、順風満帆な人生を送っていそうだけれど、実際は過去の憧れに囚われたままの攻・エリオット。
記憶のなかで、エリオットにとっては綺麗な綺麗な宝物であるリンチェ。

再会モノが大好きなんですが、本作の二人は果たして再会してしまってよかったのか。
昔の記憶って、美化されがちというか、手の届かない思い出、宝ものというか。
本作の二人にとってはまさにそれで。
エリオットが無意識でリンチェの面影を追いかけていたように、リンチェの脳裏にもいつもエリオットの影がいたようで。
エリオットを先に見つけたリンチェが、呪いだと、手に入らないと絶望感を感じてしまったことに、切なさがこみあげてきました。
でも、宝物を目にしたら、手を伸ばさずにはいられないのが人間のサガで。

二人が偽名で愛を育んでいる時も、それはそれは美しかったのですが(最高です。めちゃくちゃ綺麗で美しくて、切な甘酸っぱい。スーツ、バスローブ最高!!!!!)
リンチェだとわかってからも、あえてリンチェとしては呼ばないエリオットと、ロバートとして振る舞うリンチェ。
エリオットとリンチェとして、暮らし始める二人。
そして、思い出の中で、キラキラと輝く甘酸っぱい過去のエリオットとリンチェ。
どれも二人の人間の関係性ですが、どれも違って、どれも最高でした。

そんな二人の逃亡劇は長くは続かないわけで。
結局は甘々坊ちゃんのエリオットは、リンチェを守るにしては守りが浅すぎて。
あっさりリンチェはエリオットの守りから奪われてしまいます。
長らくそっちの世界に身を置いていたリンチェなら、その甘さに気づかない訳もなかったんじゃないかと思うんですが、あの頃の、エリオットと出会って友情を育んでいた頃のリンチェに引きずられていたのか、リンチェから積極的に逃げの姿勢をとるというよりも、エリオットが守ってくれていることを享受しているような。
なんだか、夢物語のような。
リンチェにとっては、幸せな時間だったんじゃないかなぁ、と今になると感じますが、読めば読むほど感想が変わってくる本作です。

本作、ハッピーエンドというよりも、メリバな気がします。
ラストの風景は、誰目線なんでしょうか。
リンチェを迎えに行く前にエリオットが部屋から見た景色なのか。
それとも、リンチェを連れ帰って、リンチェとエリオットが二人で見た景色なのか。
それとも、何かがあったあと、どちらか片方が、見た景色なのか。
それとも、ふたりとも見ることは叶わなかった景色なのか。
深読みしすぎかもしれませんが、壁に少しあるシミが、なんのシミなのか。
二人の行く末を暗示しているようで、深読みせずにはいられませんでした。

本人達も覚悟しているように、本編の後は、決して容易な生活ではないでしょう。
でも、二人の幸せを、安寧を願ってしまうのは、それだけこの二人に、ストーリーに惹かれたからなんだろうなぁと思います。

続編を見たいような、このままこの二人の今後のことを多くを知ってはいけないような。

ラストに至るまでの二人の束の間のラブストーリーとか、もし構想があるならぜひ購入させていただきたいです。
こんなにも精巧に一冊にまとめられているのに、あまりにも魅力的な一冊だったので。
もっともっと、エリオットとリンチェを読んでいたいなぁ、という読了後の感想です。

10

しんどい

正装した主役2人の美しさといったら、ため息が出るほどです…
画力が素晴らしいです。

いい感じで読み始めましたが、ストーリーはだんだんしんどい展開に。
これはツラい…

誤解とかすれ違いとか、そういうラブのしんどさじゃないんですよ。
2人揃ってどうしようもなく人生が転落していくんですよ。
社会的にも経済的にも身体的にも…
第1話であんなに美しかった2人は見る影もなくなりボロボロに。
特に、顔に暴行を受けた後遺症が残ってるっぽいのは、わたし的には苦手でした。
作者様、容赦ないですね!

これはハピエンと言っていいのでしょうか…?
再会して今後の人生を一緒に歩めるのはいいけど、新たな苦難の始まりという感じ。
穏やかな日々はおそらく長く続かないんでしょうね。
ただ、絶望的な状況だからこそ純愛が際立つんですよね…
それはわかるんですが、正直言って読後感は悪かったです。
こういう結末に耐性がなくて、しんどくて忘れ得ぬ作品になりました。

9

センスが光るタイトル

大島かもめ先生が描くスーツの男性がとても好き。
ラインが上品で、シワのひとつひとつまで美しい。
瞳の表現と度々描かれていた窓枠が印象的でした。
セリフがなくても、視線だけでその人物の感情が分かるのだからすごい。

春の訪れを感じさせるような甘く柔らかなカバーイラストからは想像もつかない、ずしりと重みのあるストーリーです。
ストーリーが魅力的であると同時に、苦手な分野がある方には少々きついかもしれないなと思うシーンもありましたので、読む人を選ぶ内容でもあると思います。
ひたすらに甘いお話が読みたい方にはおすすめは出来ませんが、一筋縄ではいかない関係や、綺麗な面だけではない人の人生を深く描いた物語が読みたい方には間違いなくおすすめの作品です。

エリオットとリンチェ。
現代と過去が交互に描かれ、2人の過去が明らかになっていくにつれて、幼い頃の口約束と思い出という名の細い糸を握りしめて生きてきた彼らの初恋と素朴な約束が叶うことをどうしても願ってしまう。
狂瀾怒濤の時代に翻弄されながら、人生を狂わせてでも互いを想い合い生きる姿は決して世間一般的には綺麗ではないものだけれど、私にとっては非常に魅力的で美しく見えました。
ラストのその先は知らなくてもいいと思えるほど、揺るがない関係性が丁寧に描かれた良質な1冊でした。

6

単行本になるのを待ってた作品

何かで1話を読んでから単行本になるのを待ってました。

1話目以降は読んでなかったもので、煌びやかな世界観で大人の駆け引きのある恋模様を見れるものだと信じきってしまっていたら、とんでもなくガツンと重くて辛いストーリーでした。

リンチェの幼少期の境遇や事件の顛末ももちろんしんどかったのですが、なによりもショックだったのが最後に出所してきたリンチェが元凶である父親と同じように足を引きずっていたこと。
そして美しさを傷つけられた相貌になっていたこと。
ルッキズムとかでなく、幼少期に混血で差別や暴力を受けていたリンチェにとって、エリオットからかけられた「きれい」という言葉はとても特別なものであろうことが、大人になって再会してからの蜜月期でも要所要所で見受けられたので、言及するような描写は何もなかったのにも関わらず、「それさえも奪われてしまうのか…」と読んでて絶望感でいっぱいになってしまいました。

これから2人を待ち受ける苦難を思うともはやメリバなのではと思ってしまいます。

それでも神評価なのは、もう作者様の力量に感服というか、「人生のままならなさ」とか「愛って救いになるとは限らないんだな」とかを感じて、まるで実在する人間の人生を見たような気持ちになったので、これはもう「ハピエン最高!神!幸せー!」みたいなのとは次元の違うタイプの神でした。


まったくの余談なのですが、この作品を読んでる途中からずっとKing Gnuさんの「白日」が頭の中で流れてました。
作中に雪は出てこないのに何でだろうと思ったんですが、あとから調べたら歌詞がこの作品の世界観と似てるなぁって部分が結構あって(あくまで私の中で)、私の脳みそが勝手にリンクしてセレクト再生したようです。
こんな体験初めてで驚きました。

11

かなりシリアスで切ない、でも尊い愛の物語

大島先生は作家様買いしています。
ただ本作は3年前に1話を試し読みして感動し、ずっと単行本化を待ちわびていた作品。やっとまとまって嬉しい!

まず舞台が1929年のNYというのが格好良くて痺れます。スーツやタキシードを着こなした、オールバックの殿方が素敵すぎます♡
そして先生の作品は、受けがしっかり男性体型というのがリアルで、なのに色気があってすごく好きです。

1話では2人が出会ってセフレのような関係になるのですが、その過程が目線や手の動きなど大変エロティックでドキドキします。
タキシードからの性急な濡れ場シーンとか、オールバックが乱れるとかもう、たまりません!(はぁはぁ)w
とまあ1話でグッと心を鷲掴みされした。

物語は2人の少年時代の描写を挟みながら進んでいきます。この子ども時代が大変可愛い!キスシーンとかめちゃくちゃ可愛すぎてキューンとしました、おぼこい!

などと呑気に書いていますが、物語は段々と不穏な雰囲気になっていき、なかなかハードな描写も出てきます。詳しくは省きますが、表紙は明るい感じだし、1話は暗さはほぼなかったので、まさかこんなにシリアスな展開になっていくとは…という感じでした。
最後まで目の離せない展開で、引き込まれて一気に読んでしまいました。終盤のリンチェの手紙以降は、切なくて涙しました。

今まで読んだ先生の作品の中では、一番シリアスでした。一応最後はハピエンですが、痛かったり、辛かったりな描写が結構あるので、苦手な方はご注意を。

珍しく書き下ろしや後書きのない作品でした。
2人のその後をもう少し読んでみたかったです。
いつか番外編を描いていただきたいなぁ。

多くを乗り越えて結ばれる2人の愛が尊い作品でした。
でもかなり切なかったので、先生の明るめの作品も読み返したくなりました…。

紙本購入 修正は白短冊

10

表紙のイメージと違いビックリ

表紙のイメージから勝手に大人の小粋なお話かと思いましたが、大違いでした。

リンチェの父親のくだりが怖すぎる。
一瞬見えた絵にぞぞーっとしました。
(画力と表現力の高さがこういう場面ても発揮されますね)
悲惨すぎる。史実に基づいているかもだけど。
まさかこんな展開とは予想もしていなかったので。
一見華やかに見える世界の裏側はこうなっているんですよと言われているようで。

でも大人になったリンチェが辛い目に遭うシーンがあまりなくてよかった。
出所後のつぶれた目が痛々しいけれども。
それだけでどんなことになってたのか想像できて怖かったです。
そういう時代だったんですね(今も一部で続いているか)。

先生のきれいな絵と時代背景がマッチしていました(和洋どちらもステキに描かれるのすばらしい)

幼少期の2人が微笑ましく。
再会後の束の間の蜜月期がはかなくて。
この時はよかったと。
世界の裏と表をまざまざと見せつけられた感です。
エリオットとリンチェの住む世界もそうですもんね。

エリオットがリンチェの手紙を
「俺にはこう読めたよ」
と言った、その後のセリフがよかったです。

最後にはエリオットは一緒に生きる道を選んだ。
この先大変だろうけど、別々に生きるより一緒に生きることを選べてよかったと思います。
エリオットは後悔と罪悪感を払拭できるし。
リンチェは救われ報われる気持ちだろうし。
何より2人はずっと愛し合っているし。

前半と後半、同じ作品とは思えないくらい真逆の変化で。
これも時代を表現しているんでしょうね。

よくあることだと思うけど、帯のコピーに惹かれて読む人多いだろうな…。

10

ふたりの幸せを願う

オトナの色気たっぷりのラブストーリーだと思って読んだらとんでもなかった!!
幼い頃に出会った初恋の相手との再会ラブ。しかしラブストーリーと言うには苦しくて辛くて…でもその世界にグッと引き込まる素晴らしい作品でした。
また、大島かもめ先生の美しい絵と作品の時代背景、世界観が非常にマッチしていて、読後は映画を一本観終えたあとのようでした。

きっちりハピエンの形を描いている作品ではないので、終わり方にモヤモヤする方もいるかもしれない。
でもこの終わり方がエリオットとリンチェふたりの未来への想像をより掻き立てる。うまいなぁ。
私はこれはハピエンなのだと思いたい。
ふたりの未来は穏やかで幸せに満ちたものだと思いたいし、そう願わずにはいられない。

7

重めだけど読み応えあり

舞台となる時代が時代だったので、重い話だろうなと予想はしていました。
けれど想像以上に時代に忠実で、かなり読み応えがありました。
淡く甘い表紙から受けた印象とは違う、しっかりとした物語です。

身体だけの関係が、過去に繋がり、2人の心も繋がっていく。
甘いお話ではなかったのですが、土台がしっかりとしているので引き込まれます。

時代の荒波が2人を取り囲み、翻弄していく過程は苦しくなりました。
ただ2人の想いだけは確かだったので、そこを疑うことはありません。

最後まで読むと、表紙はずっとこうだったら良いという希望のように思えました。

過程は苦しかったですが、最後はハッピーエンド。
逃避行ではありますが、2人でいられることがなによりの幸せだと思います。

8

光を目指して

舞台となっている地と年代で明るいお話ではないのだろうなと思ったので、重たい展開を覚悟で読みました。
再会した時こそ華やかで裕福な世界に生きていたふたりが、暮らしも精神面も徐々に下降していく様子は切ないものがありましたが。
美しいだけではない愛のカタチと表面上だけではない繋がりを感じられるお話だったなと思います。

再会したあと過去に触れることなく関係を持ち始めたけれど、一緒に居られる時間は限られていたふたり。
会う時も約束はなく、リンチェの気が向かなくなれば終わってしまうような脆さもありながら。
それでも彼を信じていたいエリオットの想いはいつもリンチェを強くさせていたのだと思います。

違法な仕事をしていることや過去の様々な苦い記憶など。リンチェを縛るものはたくさんあったので、ロバートとしてエリオットに再会した時からこんな悲しい結末が見えていたのかもしれない。
でも全て失って地に落ちてもリンチェと共に居ることを選んだロバートの決意が、結果的に彼を救うことになり。
たとえ誰にも理解されなくても、ふたりなりの幸せに向かっていくことができて良かったなと思いました。

苦しくて切ない場面がたくさんありましたが、そんな中にもふたりだけの光が見える素敵なお話でした。

8

うわ…

刑期を終えたリンチェの顔が…ショックだった〜
これは「こたえて」になんか可愛らしい印象を持っていた自分にはガツンと来た

エリオットは元から1人で退屈しのぎにぶらついてしまうようなところがあったから、リンチェにさえ会わなければってことでもなかったのかも知れないけれど、手作りのプレゼントを贈る辺りなんかは凄く、出会えたことで良く育ったように見えたのにな

リンチェのことを思うと自分の生まれを知ってしまっては亡き母からも愛されていなかったとしか思えないだろうし、初恋だからって以上に大切な贈り物だったと思う

あんな風に育って、生きていかなきゃならない子なんていないはずなのに
敵意の連鎖で子供のリンチェの人生があんなに歪んでしまった
ひどい時代のひどいお話だった

ひどくしか生きられない中でたった1つの恋を大事にした2人のお話

7

流石…うまいなぁ~…。

大島先生、流石!確かな筆‼
大人の色気漂う男の描き方が秀逸!そして時代を反映させた背景なんて正に映画の世界を切り抜いたよう!街灯ひとつとっても拘りを感じます(私は特にエリオットの幼少期のお洋服が好きでした)

お話しの展開も練られていて時代の様々な差別(貧富や人種)的思考や流れそのものに翻弄されていく2人の様を詳らかにしていきます
とてもリアルさに裏付けされたお話しです
うまいです、ほんとに。。。

……うまい、だけに、、、うまいからこそ、とても身に沁み過ぎて…少し私には堪えるというか、、、
有り体に言えば…ちょっとしんどくなるお話しでした
涙が零れてしまう…という類のしんどさ、というよりやるせなさを感じるようなしんどさで、、、「時代」という、どう足掻いても太刀打ち出来ない大きな壁を前にした2人の事を想うとただただやるせなくなるのです

簡単に「ずっと2人とも仲良くお幸せにね~!」なんて口が裂けても言えないこの雰囲気…
すごい作品だなぁ……としみじみ思います

評価は悩みます…
読後は、読む前にチョッピリ期待していた心を揺さ振られる感じではない抉られ方なので「中立」が近いのですが、心を抉られる「良質な作品」では確かにあります
正直読み返す事で2人の蜜月さえも切なく苦しく見えて来るのですがこの切なさも作品から得られる貴重な感情!という点を評価させていただきました


最後にこの作品に無粋だと思うのですが折角なので書いておきます
サイトのあらすじ紹介によると…★★電子のみで楽しめるスペシャル修正仕様★★との事です
簡易描き込みにグレートーン修正で白短冊が1本といった修正具合です
そこまで多くの描き込み描写がある訳ではないですが作品を邪魔しない修正ではありました(DMM)

9

シリアス

作家様買いです…。
表紙から華やかで楽しい作品を期待していたので、私の評価はアレなんですが…、スト重の方にはおススメなドラマチックBLでした。

受けの幼少期のエピが辛かったんです。少年の日の初恋キュンは、めちゃくちゃいい話だったんですけど、受けのお父さんの存在がしんどすぎて、彼が受けた虐待と行っていた虐待の内容にズン…ってなって浮上できなかったんですよね(すみません、耐性弱くて…)。ジャズエイジの華やかで退廃的な雰囲気ではじまるんですが、中盤以降ずっとシリアスだったのでちょっと重く感じてしまいました。

読み終えて、ふたりが果たして幸せになれんのかな…っていうぼんやりとした不安が残ったんですよね(結末に余白がある感じが文学的…)。
せっかくだから、海辺の街でひっそりと営まれるふたりの日常(逃避行?)なんかも読んでみたかったななんて軽く思ったんですが(ちょっと糖分欲しかっただけ)、ここまで重厚な内容がちゃんとBLで一巻完結の過不足ない作品になってるってのが凄いっていうか、作家様の気迫みたいなものすら感じられたのですが、受け止めきれなかった自分が残念です…。

9

ドリフター

作家様買いです。
今回もとても良かったです。

1929年6月のニューヨークが舞台…うう…世界恐慌…とビクビクしながら始まりました。

初恋の相手に似ていた黒い瞳のロバートに一目惚れをしたエリオット。
数ページ後にエリオットはロバートが初恋相手のリンチェだと確信します。
この時点では読者には分かりませんが…。

エリオットはアッパーミドル。
まぁ…お坊ちゃんですよね。
なので世界恐慌後、パニックになった勢いとは言えリンチェに対して酷い事を言ってしまいます。

すぐに謝る事の出来るエリオットをリンチェも許して、その事でのわだかまりはないようでした。
リンチェは、生まれも育ちも恵まれてはいなかったけれど心根の優しい人だと思います。

ストーリーは、細かく深くとてもしっかりとした設定で、全コマに無駄がなくとても良い作品でした。
ほぼ切ないですが…。

これからも2人でお幸せに…。

7

深い不快があとを引く

ズンズンズンズン ズンズンドッコ
ズンズンズンズン ズンズンドッコ

タイトル見た瞬間  Σ 今度は芸人ものかッ! ってなったんですよ
ぽちっとな~した時点で表紙画像もあらすじもなかったもので ←相変わらずの先走り

届いた本に愕然 ぜんぜん違ったね 笑っちゃった自分の浅はかさに パパヤ♪とか言ってる場合じゃなかったわ

作家さま買いはしてるんだけど 時代モノや異国情緒溢れられると 苦手かもッ!って
なので今回 上手くハマれるか自信ない発進です


デリカシーというか 配慮も遠慮もない武骨な男性を描くのほんとお上手ですよね

いや そういうタイプが好きすぎるあたしにはヨダレがでるくらいありがたい事なんですが
なんかちょっと パパヤ から抜けきれなくて 落としこまなきゃいけないお話より見た目の部分しか情報を得られていない気がしてきた

かわいい初恋 蝕まれる生活

もう 察しが悪くてごめんなさい
残り1/3のところでやっと ドリフターのタイトルを落としこめたわ

見殺したわけでも 見捨てたわけでもない
けど 結果的に救い出せなかった自分を悔いて悔やんで 今の自分だったらしてやれるせいいっばいの 愛の逃避行


うううん 思い違いにすれ違い 追い詰められ切羽詰まる焦りや 迷い 動揺の魅せかたが秀逸

家や職を転々と変え 決まった住居も生活を支える財産もない浮浪者 流れ者 漂流者

あの日約束した場所にたどり着けたのはよかったけど じゃれあってるふたりからの転落に激動の時代の渦に呑み込まれたやるせなさだけが残ったな


あぁぁん ごめんなさい
評価下げようとかそういう気は全くないんだけど 確実に人を選ぶお話になっていると思います
丁寧に紡がれたお話だってのはわかるし 時代に流されたふたりの想いや情ってところも存分に読める

ただ このふたりの向かう先に明るい未来が見えなさすぎるってのと なにより

なんの遠慮も躊躇いもない小さな恋をしていた幼き日の亡霊を追って縋って 執念だけで繋がっているような哀れさがね

いや好きよ? 哀れなのも 汚れも穢れも執着も個人的には すきだけど んんんん

8

パパヤ じゃなくて ヤヤやん だった

思い込みって怖いな クッソ笑ったけど

読めて良かった

この週末はこの作品を読むぞ!と楽しみに待っていました
この日の為に1週間頑張りました!
そして、読後の想いを表すのはこの一言に尽きる…
「読めて良かった」
この作品に出会えた事、BL読んで来て本当に良かった
いや、もはやこの作品にはジャンルを超えた「物語」としての読むべき価値が…違う、”価値しか見当たらない”

時代考証も素晴らしくその時代に生きた人と男達の息遣いがページを通して熱を帯びてくる…その熱さに、そして時に苦しい時代の波に打ち震えてしまわずにいられない

痺れる重厚なストーリー軸の中で繰り広げられる大人の色気ある快楽と苦悩
これをこの1冊にまとめ上げる術はさすが、かもめ先生
沢山の方に是非、読んで欲しい名作の誕生だと思います

めくるめく世界、折角の素晴らしい緻密なストーリーと心理描写です
ネタバレせずに読むと先生が描いた世界に没入し、2人を感じる事がより出来るかも?(読後に熱いレビューを読むとまた更にムネアツになります)

見て欲しいシーンや展開はほんとたくさん(というか全部なのですが!)ですが、特に私はメールや動画・電話もいいけど改めて手紙ってグッと来るな、、、としみじみ書き手のリンチェ、そして読み手のエリオットそれぞれの目線で向き合い、胸が締め付けられました

【ドリフター(drifter):放浪者、流れ者、バガボンド】
時代に翻弄されながらも幼少の頃の確かな想いを胸に彷徨っていった先に何を見つけ、ドコに辿り着いたのか?

かもめ先生作品を既読の方には先生の確かな筆から生まれる世界の素晴らしさは既知の事と思いますので早く読んで欲しい!とただただお伝えしたい
そして未読の方で「スト重」「再会」「切ない」このキーワードでお探しなら絶対に外さないです、自信を持って推せます!と声を大にしてお伝えします

先生、素晴らしい作品を読ませて下さってありがとうございました
この1冊、大事にしていきます

8

作家の持つ作風が世界観と見事にハマってる

連載追っていました。
この作品の為だけにGUSH買っていました 笑

初めて2人のイラストを見た時の感動たるや!
大島かもめ先生の描く美しくスタイリッシュな男性達の魅力が遺憾なきほど発揮できる時代背景の作品と思いました。
ヴィンテージスーツとハットのシルエットの美しさ、センターパートヘアのメンズをこんなにダンディで色っぽく清潔に表現できるのって流石です!

作画だけでは無く、ストーリーや当時の時代考察等
まるでアメリカの映画を観ているかの様な錯覚になりました。
禁酒法に絡めて当時のアジアンの置かれた状況や裏の社会。
エリオットとの幼少期の小さな幸せから一転して
過酷な人生を生きる事になるリンチェとの運命の再会。
ずっと心の奥に閉じ込めていた純愛が一気に巻き戻ります。
でもリンチェの生きる為に重ねてきた人生は簡単に変われる訳もなく
エリオットとの甘い蜜月は続かなくて…
重いです、切ないです、その先の2人の幸せを願わずにはいられません!
描き下ろしが無いのも結末を読み手に委ねたんでしょう。
そのお陰で余韻が凄い事になってしまいました。

多分、皆さん心揺さぶられると思います。
私も神だと思います…が、あと1、2話足して手紙の部分を漫画で読みたかった!!
結論を手紙やモノローグで説明受けるのが、どーにもモヤるタイプなので
素晴らしいかもめ先生の表現で、その部分を読みたかった。
(不定期連載追いだったので、纏まって一気読みコミックス派の方との体感熱量の差があるかもしれません)

が、しかし作家の持った作風と世界観がこうマッチした作品はそう無いと思うくらい
素敵な作品でした。

10

最高傑作

今まで読んだことのあるBL漫画の中でも5本の指に入る最高傑作。見事なストーリー展開、夢のような美しさと現実の厳しさと暗さのコントラスト。その中で愛し合う2人。美しすぎて素晴らしすぎて言葉にならない。涙しか出てこない。
大島かもめ先生の素晴らしさを凝縮したような傑作でした。
ラブスーリーでは片付けらえれない骨太ストーリー、先が読めなかった、でもラブストーリー以外の何者でもない。
本当にこのまま映画にできる、華麗なるギャツビーを超えてると思います。

12

海の見える部屋に帰ろう

作家様買いです。
「華麗なるギャツビー」を思い起こしました。
その頃とほぼ同時代の墜ちる寸前のアメリカ都会の華やかな人々のボーイズラブストーリーです。
マフィア、禁酒法、人種差別が絡みますので少々残酷シーンも有ります。

ホテルのパーティで知り合った黒髪のロバートと金髪のエリオット、その時点では同類のパーティピープルのようなのに生まれ育ちがまるで違う。

なのに子供の頃実は交流があり惹かれあっていた、というよりエリオットを守る為ロバートは父親を刺してしまうという展開がショッキングで切ない。

そのまま行方不明になったロバートとパーティで再会したエリオットは今度こそ自分が彼を護ると誓う。
でも結局自分の手で彼をマフィアから護りきれなかったエリオットが哀し過ぎます。
それでも彼の未来の為にマフィアの残党を殺したエリオットの手は血で汚れていてもう取れない。

出所後のロバート=リンチェを迎えに来たエリオットは彼と同じ処に立っています。
子供の頃の2人は住む世界が違っていたし、再会後の2人は体を重ねていても生きている世界がズレていました。
でも脚を引きずり片目がつぶれてしまったリンチェと少しだけ海が見える部屋で生活しようと決めたエリオットには全く迷いはなく、だから世界も同じように見えるはず、そう思いました。

とても切ないけれどイイお話でした。

濡れ場もとてもよかったです。

13

再会の奇蹟、残酷な運命

エリオット×リンチェ(ロバート)


淡い恋。
偶然の再会。
運命の翻弄により、衝撃と共に疼きを感じる。
涙が溢れ・・・涙が止まらない。
その痛みが胸に突き刺さるのです。


1929年、享楽的なニューヨークを舞台に、
エリオットという自動車業界で働くアッパーミドルが
ドラッグストアを経営するロバートと出会う。

エリオットはロバートが初恋のリンチェにそっくりで、
一目惚れしてしまう。
彼の黒髪と黒い瞳に引かれ、
心が震えるような感情に囚われる。
2人は燃え上がるような一夜を過ごし、
エリオットはその後もホテルの一室でロバートを抱き続ける。

ロバートが実はエリオットの初恋の子、リンチェ。

リンチェがハーフアジアンでいじめられていたり、
父との酷い関係・・・
辛くて不憫な過去を持っていた。

子供時代の2人には特別な友情があって、
淡い恋も芽生えていた。
2人の家庭環境は真逆で、
エリオットはお金持ちでリンチェは貧乏だった。
それぞれの対照的な背景が、
お互いに欠けている部分を埋め合うような関係を築いていた。

エリオットの純粋さや
リンチェからみた人間性が、
当時の彼らの生活の中で新たな価値を見つけたかもしれない。

ある事件が起きて、
それが2人を引き離すきっかけになった。

そんなリンチェがずっとエリオットのことを忘れられなくて、
エリオットからもらったメガネケースをずっと大切に保っている。とか
2人の心の交流や繋がりなど、
すべて胸が締め付けられるほど切ない。

大人になって、
偶然再会する2人が、
初恋を忘れられないという思いを抱えながら、
どう向き合っていくのか、
見守りたいと思うところで、
不穏な要素が・・・。

リンチェが非合法な仕事に関わっているとしても、
エリオットは愛を諦めるつもりはない。

しかし、運命の魔の手が2人を引き裂こうとしている。
1929年、世界的な金融危機である「大恐慌」の始まりだ。

大恐慌の中で、
苦しさがエリオットの心を押し潰すように迫る。
愛は試され、
2人がどのように立ち向かう?選ぶのか?
彼らの選択と苦悩にまた胸が痛むことになる。

エリオットへの手紙の内容は、
おそらくリンチェからエリオットへの
深い想いや心の叫びが綴られているんだろうね。
それは最後に感動が迫るような結末を演出してくれている。

リンチェはエリオットにとって、永遠の初恋。
出会った日からずっとエリオットはリンチェを愛し続けて、
その目は、誓いを立てているように輝いている。

「連れて帰ってくれ」というリンチェの言葉には、
彼がずっと心に秘めていた本当の思いが込められている。

涙と共に読まれる感動的な結末で、
どんな困難に狂わされても、
2人の愛が運命に勝利し、
輝かしい未来が見えてくる気がするのだ。

2人のセックスは、
奥深くに秘められた想いが解き放たれているようで、
嘆き悲しみながらも、
お互いがずっと欲していた関係が現実となって、
愛と痛みが絡み合いながらも、
官能的なエロさで最高。

『こたえてマイ・ドリフター』というタイトルは、
彼らがお互いに愛を探求しつつ、
運命に翻弄されながらも、
自由に動き回る人生を追い求めるでしょうね。
素晴らしい。

経済の混乱や社会の変革の真実の中で、
夢と現実の対立の厳しさに直面せざるを得ない
2人が、
お互いの幸福を優先し、
献身的に助け合って、
どんな罪でも受け入れて覚悟を固めている。
昔からずっと、ただ純粋な愛を抱いている!
愛しくて切なくて苦しみに満ちた
ひたすら感動して心が震え続ける愛の物語でした。

10

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